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鏡に映った俺と彼(後編)

「ああ、これが孝之のヒートの匂いか!? なんて甘くていやらしい良い匂いなんだ」  俺はどう考えても良い予感はしなくて正人から距離をとった、幸いにも今飲んだ抑制剤はよく効いているようだった。俺は正人の部屋を飛び出そうとしたが、正人がそれよりも早く俺に飛びかかってきた。俺と正人は五センチ以上身長差がある、それに正人は勉強が得意なインドア派だった。スポーツ部の応援などによく行っている、そんな俺には力では敵わなかった。俺は正人を押さえたまま正人の部屋のベッドで、そのまま身動きがとれなくなった。ちょっと力を緩めたら正人が俺に抱き着こうとする、それを振り切って逃げ出せるか俺はよく考えた。 「はははっ、凄くいやらしくて良い匂いだ。孝之、早く孝之のものをまた舐めたい、お尻の穴の中まで舐めてあげたい」 「俺はもう婚約者じゃないんだぞ!!」 「婚約破棄なんて認めない、孝之もあんな女に協力したんだ。あれは犬に噛まれたようなものだ、あんなくそビッチのメス犬なんて抱いたうちに入らない!!」 「それでも一応一回はしたんだろ、立派な浮気じゃないか」 「はははっ、あんなのセックスに入らない。あの女は僕のものを必死に勃起させようと、汚い舌で舐めまくりやがって、僕は必死に孝之のことを考えていた。それで勃起したがあの女の中に近づけただけで萎えた。ざまぁみろ、くそビッチのメス犬」 「本当に嫌だったんだな、正人」  正人はヒートのおかげであの琴美という女性から逃げられなかった、でもあの女の子のヒートは正人を動けなくさせることはできても、正人を気持ちよくはできなかったようた。しかし、今は俺の貞操のピンチだった、抑制剤を飲んだからこうして正人と正気で話していられるが、いずれ薬は切れるだろうし、正人が俺を逃がしてくれるとも思えなかった。そこで俺は逆に正人が俺を抱けなくしてしまえば良いと思った、正人が俺にしたことと同じだった。俺は正人の両腕を頭の上で持って抵抗を封じておいて、それから正人のズボンと下着を脱がせにかかった。 「え!? 孝之、なんで僕のズボンを脱がせるの? ああ、僕のものを咥えてくれるなんて、孝之、孝之、嬉しい!!」 「いいから正人はあんあん言ってろ、一滴残らず搾り取ってやる!!」 「ああっ!! やぁん!! 気持ち良いよ、孝之の舌も口の中気持ち良いのぉ、ああん、そんなにされちゃらめぇ!?」」  俺は正人の上体を起こしてまた両手を拘束しながら、正人のものを舐めたり口に咥えたりしてやった。 「あはっ、気持ち良い、気持ち良いよ。孝之の舌も口の中も凄い一級品だ、ああっ!! いっちゃう!?」  最初の一回は早くて俺の口に入れる前に顔射されたから、顔に正人の精液がついた正人のαのフェロモンもついたのを感じたから、これは抑制剤が効いているうちに絞りとらなくてはと俺は焦った。 「やぁん、孝之。気持ち良い、気持ちが良いよ、孝之の舌がザラザラで、口のなかは柔らかい、ああっ!!」 「孝之、孝之、僕も孝之に気持ち良いことしてあげたい!! 孝之にキスしたいし、乳首やお尻もいじってあげたいよ!! ああっ!!」 「いやん、孝之。舌が絡みついてきて気持ち良い、気持ち良いの。あぁん!! もっとぉ!! ああっ!!」 「いやん、いやいや、孝之のお尻もいじらせてぇ!! 僕のものが受け入れられるようにちゃんと柔らかくするからぁ、ああっ!!」 「孝之、孝之、僕のおちんちんが溶けちゃうよぉ!! そんなに気持ち良くされたら溶けちゃう!! ああっ!!」 「ふわぁ、孝之のフェロモン凄いのぉ、体が痺れちゃうくらいに感じるぅ!! やぁ、またっ、またいっちゃう!!」 「ああん!! 孝之も僕の精液飲んでぇ!! 孝之の精液は凄く甘くてとろけるように美味しかったよぉ、ああっ!!」 「孝之、孝之、やぁん!! 気持ち良い、気持ち良いよぉ!! あぁん腰から溶けちゃう、溶けちゃうよぉ、ああっ!!」 「やぁ、孝之にも触りたいよぉ、お尻の中まで気持ち良くしてあげたいの、ちゃんと指と舌で柔らかくしてあげるからね。ああっ!!」  そうして俺は合計で十回正人の奴を舌と口でいかせた、正人の男性器は傷ついていたからそこは避けて、舌と口で愛撫していかせてやった。ところが正人は十回もいったのに、まだ萎える気配がなかった。俺はこいつ後何回いけるんだと混乱した、その時押さえつけられていた正人が暴れた。そうして俺の腕を振りほどこうとした、俺の腕の方も限界が近かったが何とか押さえ込んだ。 「おいっ、正人。お前、普段オナニーは何回くらいしている?」 「やぁん、正人ったらエッチな質問。あはっ、十五回くらいはしてるよ」 「十五回!? 嘘だろ!?」 「孝之のことを想うと、それくらいあっという間だよ」 俺は正人のとんでもない話を聞いて、最後の力を振り絞って正人をベッドに縛り付けた。ベッドの近くに畳んで置いてあった制服のネクタイが役に立った、こっちはもう舌も顎もがくがくでもうフェラチオはできなかった。正人は身をくねらせて暴れた、下半身裸のままで信じられない力を出した。ぎちぎちと制服のネクタイが悲鳴を上げた。 「正人、止めろ。手を痛める!!」 「やぁ、孝之が僕を縛るのが悪いんだもん。解いて、解いてよ。そして孝之の体を可愛がらせてぇ!! 乳首を両方交互に舐めてあげて、それからお尻の穴を口と指でほぐしてあがるから、だから早く解いて、解いてよぉ!!」  そんな恐ろしいことを言われて誰が正人の拘束を解けるだろう、幸い制服のネクタイは頑丈で解けるような気配は無かった。正人は俺のヒートにあてられてまだふらふらだった、俺は抑制剤が効いているうちに家に帰ることにして、携帯から自分の家の母親に迎えに来てくれるように頼んだ。そんな俺と母さんとの会話を聞いて、正人は僕から逃げる気なのっと声が低くなった。そして、正人は喚き散らし出した。 「嫌だ、嫌だ、嫌だ、孝之は僕のものだ。僕の婚約者だ、絶対に逃がさない!! 逃がしてなんてやらないんだから!! うぐっ、うぅ!!」 「小学生の子どもみたいな我儘を言うな!! 俺は物じゃないし、もうお前の婚約者でもない!! ふぅ、もう一度抑制剤を飲んどこう」  俺は柔らかいタオルで正人の口を塞いだ、幸い正人の部屋は防音だったから、外には何も聞こえていないはずだった。そうして正人の部屋の電話が鳴って、孝之様のお母様がお見えですと言われて、俺は正人の部屋を出て行くことにした。正人は死にもの狂いで暴れた、ネクタイよりもベッドの金具が外れて取れそうになった。俺は正人の部屋を急いで出た、そうして怪しまれないように玄関へと落ち着いて向かって母さんの車に乗った。 「孝之、正人くんが嫌ならどこかに隠れなさい。ほらっ、お金と抑制剤。ホテルでもどこでもいいから、とにかく逃げなさい。それから他のαにも気をつけるのよ!!」 「ありがと、母さん。うん、なんとか一週間逃げ切ってみせるよ」  そうして俺は大きな駅で母親の車を降りて、行ったことも無い県の都市へと向かった。抑制剤をしっかりと飲みながら、自宅や正人の家から遠く離れた場所で大手の系列のホテルを借りた。そうして俺はヒートがおさまるまで一週間、ホテル暮らしをして外には出ず、ホテルの売店で食事は全て済ませた。そうして一週間が過ぎて辛かったが、やっと俺のヒートはおさまってくれた。俺はホテルを出て家に帰る前に、一応母さんがいる家に電話にかけた、そうしたら何故か正人が電話に出た。 「孝之、僕の愛しい婚約者。知ってる? 包丁で刺したら人間って死ぬんだよ。それともガス爆発の方がいいかな。ねぇ、孝之はどっちが見たい?」  すぐに俺は電話を切ろうをしたが、正人が物騒なことを言い出したので切れなかった。そして、俺は正直に返事をした。 「そんなものどっちも見たくない」 「それじゃ、僕と結婚して」 「単なる脅迫じゃないか!? 警察に電話するぞ!!」 「それで孝之は大事なご両親を失うの? 僕も刑務所送りかもしれないけど、何年かしたら出てくるから」 「ふざけんな!! 正人の要求は結婚か?」 「そうだよ、孝之。僕と結婚して。もう嫌なんだ、婚約者じゃ我慢できない。孝之と結婚したくて堪らない」 「分かった、俺はとりあえず家に帰る」 「うん、待ってるよ。大好き、愛してるよ。孝之」  俺は恐る恐る警戒をしながら自宅に帰った、そうしたら母さんと父さんが無事でいてくれた。でも俺が帰ってきたことは喜んでくれなかった、神里家が結納金として一千万を強引に置いて帰っていったということだった。そして婚姻届まで俺は渡された、夫の部分は既に正人が記入してあって、後は俺が妻の欄を書くだけになっていた。俺は翌日の学校に一千万と俺は未記入の婚姻届を持っていった、そして孝之のクラスに行ってすぐにそれらを突っ返した。そうしたら、正人は皆には聞こえない小声でこう言った。 「どうしても僕と結婚してくれないなら、僕は本気で孝之の両親を殺すよ」 「ちょっと場所を変えるぞ、生徒会室に行こう」  俺は本気で俺の両親を殺しかねないような顔をしてる正人を、とりあえず人目のない生徒会室に連れていった。 「場所を変えても同じだ、僕の意見は変わらない。殺人犯になっても数年で出て来てやる」 「いやもう、結婚、結婚、止めてくれよ。正人、お前顔も良いし金も持ってるんだから、欠陥Ωに構うのはもう本気で止めてくれ」 「孝之は欠陥Ωなんかじゃない、ちゃんとヒートだってきた。だからまたくるはずだ!!」 「それで俺にヒートがきたら、お前は俺を強姦するのか? 正人」 「ちゃんと合意して孝之を抱きたい、だめならそうだ!! 僕は強姦犯になる!! うぅ、うえええぇぇん、孝之。うぅ、僕を見捨てないで、うぅぅ、お願いだから捨てないでよ。うぅ、うえええぇぇん」 「なんで強姦犯になるって奴が泣くんだよ」  正人はしばらく俺に抱き着いて泣き止まなかった、全くすることなすこととんでもない奴だ。でも俺がヒートの時に可愛がってやった正人は可愛かった、本来は正人はああいう可愛い奴なのだ。でもαのプライドとか、家の重荷とか、そういうのが邪魔してできあがったのが今の正人だ。俺は正人のことが愛おしくなった、俺に振られても振られても諦めない可愛い正人が欲しくなった。 「ほんっとしょうがねぇな。婚姻届。書いてやるよ、正人」 「え? 本当? 孝之」 「正人は俺がいないと駄目みたいだからな、正人を犯罪者にもさせたくねぇし」 「うっ、うん、うん。僕は孝之がいなきゃ駄目だ。孝之がいない僕なんて欠陥品だ」 「ほら、書いたぞ。一緒に出しに行くか?」 「当たり前だ、今すぐに行く!!」  こうして俺と正人は役場まで婚姻届を制服のまま、授業をさぼって出しに行った。正人は婚姻届にほおずりしていて、ずっと俺の手を握っていた。そうして書類は受け付けられて、俺は神里孝之になって。正人が俺にぴったりとくっついて離れなくなった、俺は今日は神里家に泊まること、正人と結婚することを母さんに電話で伝えた。母さんは驚いていたが一応受け入れてくれた。そうして俺たちは授業をサボったまま、神里家の正人の部屋まで来た。俺は置いてあるキングベッドに座って、正人を抱きしめながら聞いた。 「それじゃ、授業をサボったわる~い生徒会長さん。さぁ、これからどうしたい?」 「孝之を抱きたい!!」 「ええい、結婚した後で抱き心地が悪いとか、文句言っても知らねぇぞ」 「そんなこと絶対言わない、はぁ~。孝之の良い匂いがする、早く、早く、脱いで」  正人は制服を脱ぎながら俺の制服も脱がせようとした、そうしてやがて裸になって二人でベッドに倒れこんだ。正人が恐る恐る俺にキスしてきたので、俺がそれを捕まえてがっつりとディープキスしてやった。正人は顔が真っ赤になったが、今度は俺のものにフェラとお尻の穴をいじり始めた。いつの間に出したのかローションまで使って、俺の後ろを丁寧に優しく正人はほぐしていった、最初は俺は違和感しか感じなかった。 「ふぁ!? 正人そこ、そこもっといじってぇ」 「孝之、ここか。ここなんだな」 「ははっ、凄い。男でもケツで本当に感じるんだな」 「孝之の精液が美味しくて、お尻の穴が僕の指を食べちゃいそうだ」 そうやって正人は丁寧に俺のお尻の穴をほぐしてくれた、そうしたら一刻も早く入れたがったので、俺はサービスで正人の前で両足を大きく開いてやった。正人はすぐに俺の中に突っ込んできた、丁寧にほぐしてあったから痛みは感じなかったが、やはりすごい違和感を感じた。でもそれも正人が腰を振り始めたら快感に変わっていった。 「あっ、ああっ!! 正人、今良いところに当たった、んん」 「孝之の中凄く気持ち良い、気持ち良い。ここか、この辺りが孝之の良いところなのか!?」 「あっ、正人、気持ち良い。お前可愛い顔してるぜ、そこが愛おしいんだけどな」 「孝之、孝之。これで気持ち良い、凄く気持ち良いの? 孝之なら可愛いって言っても許す!!」  俺はあんあん喘ぐタイプじゃなかったので、正人の耳元でささやくように気持ち良いとか、もっとしてとか言ってやった。そうしたら正人が部屋のあるボタンを押した、するとプラスチックだと思っていた壁が鏡に変わったから俺は驚いた。鏡の中で俺は突然のことに驚いてきょとんとしていた、正人は真っ赤な顔で一生懸命に俺を気持ちよくしようとしていた。 「なんだ、正人。こんなラブホみたいな機能、いつ付けたんだよ」 「ずっと前からあった、夜に孝之と寝る時は孝之の顔が見えるようにしてた」 「マジかよ、気がつかなかったぜ。俺、寝たらもう基本起きないからな」 「今も孝之の全身が見れて嬉しい!! ああっ、孝之中出ししていい?」 「いいけど、俺ちゃんと大学には行きたいんだけど」 「赤ちゃんが産まれても大学には行ける!! 孝之が世話できない時には母や乳母に任せる」  そういって正人は両足を開いている俺をガンガンせめてきた、俺は限界まで両足を開かされて正人のものを受け入れさせられた。正人は真っ赤な顔で一生懸命に腰を振っていて、俺は気持ちの良かったがそんな正人が可愛いかった。 「孝之好き、大好き、もう僕のものだから、物じゃないけど他の人には渡さないから!!」 「当たり前だ、他の奴なんてもう指一本触れさせるなよ。俺はお前のものなんだからな」 「ああっ!! 幸せだ!! 孝之が優しい、僕と結婚してくれた、それに今、ああっ!! いっちゃう!!」 「あっ、今な。正人の熱い精子が入ってきたのを感じるぜ」  そんなことを俺が正人の耳元で言ったので、正人はそれから興奮して朝まで俺を離してくれなかった。まるで離したら俺が消えてしまうように、正人は俺を抱きしめて離さなかった。おかげで完徹をしてしまった、まぁ若い今頃だからできることだろうと俺は思った。 「正人、どんだけ中出ししたんだ。後から後から溢れてきて止まんねーじゃねぇか」 「うぅ、すまん。でもかき出さないでくれ、もしかしたら僕との子どもになるかもしれない」  俺はそんな我儘を正人が言うので、仕方なくティッシュでケツに栓をしておいた。そんなに簡単に妊娠するとは思わないが、正人がそうして欲しいというからそうしてやった。そして俺は服を着ようとしている正人を捕まえた。前面と上まで鏡の状態では正人の表情がよく見えた。不安、強い喜び、そして隠しきれない欲望。こりゃ、俺は二徹かなっと思って正人に言った。 「正人、ちょっと何か食って寝てからしようぜ。もうそんなに不安がるな、俺は正人の嫁なんだからな」 「うん!! そして僕は孝之の旦那さんだ。孝之大好き、食事はまた後にしよう!!」  そうして俺は鏡の世界で正人に押し倒された、なんだか何十人も正人がいるみたいで、可愛い泣き虫がいっぱいだと思ったのは俺だけの秘密だ。

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