うるさい二人が居なくなった後、俺は暇だから昼寝でもしようと大きな欠伸をしたところだった。 「おい、少しいいか」 「あ？……げ！戸塚！」 　予想にしていなかった鉄仮面が俺を見下ろしていて思わず嫌な声が出てしまった。それに対してただでさえ怖い顔を更に歪めた。 　な、何の用だ？ 「なんだよ？俺今から寝ようとしてたんだけど」 「すぐに終わる。直登の件だ」 「……直登が何？」 「もう少し真面目に付き合ってやれないか」 「は？」 　何を言い出すかと思えば元彼からの説教か。真面目にってもそもそも本気じゃねぇしなぁ。第一俺自体誰かと付き合うとか初めてだから真面目な付き合い方が分からねぇ。 「直登は秋山と付き合えて本当に喜んでいた。今のままでは早川と接するのと変わらないじゃないか」 「おー良く見てんのねさすが戸塚さん」 「茶化すんじゃない」 「……あのさぁ、その真面目に付き合うっての俺分からないんだけど。教えてよ」 「その対象だけに集中して他には目もくれない事だ」 「はっそれが真面目に付き合うって事なの？」 「少なくとも俺はそうしていた」 「それは戸塚が直登しか見れなかったからだろ」 「お前、直登以外に好きな奴がいるのか？」 「いねーけど」 「早川か？」 「いねーって言ってんじゃねぇか！」 「直登は秋山と早川が仲良いのを気にしていた。もう少し配慮してやれないか」 「うーん、つってもいきなり早川に対して態度変えるのもどうかと……てかそんなに直登の事気になるなら戸塚こそもう一回アタックすりゃいいだろ。今度はキャラ変えてさ！あいつギャップフェチなんだろ？めっちゃ明るくなってみるとか」 「……ちっ」 「あ？今舌打ちしたか？」 「ふん、改めて秋山の事を嫌いだと思っただけだ」 「っ……んなの言われなくても分かってら！」 「遅刻や早退、授業不参加など当たり前にして、口も悪ければ頭も悪い。俺からしたら良いところなんて一つもない」 「テメェ！好き勝手いいやがって！」 「なのに何故だ。何故みんなお前を欲しがる」 「あ？何言ってんだいきなり」 「お前のどこに魅力があるんだ？全く理解出来ない」 「知らねぇよ！テメェこそ僻んでねぇでもっと自分磨いたらどうだ！そんなだから直登に逃げられるんじゃねぇの！？ふんっ俺からしたらテメェのが生きにくそうだけどな！ぜってー戸塚にはなりたくねぇわ！」 「俺だってお前になんかなりたくない」 「だろーな！俺とお前は正反対だもんな！もう知らねーよ！直登の事も自分でなんとかしろ！俺に文句言ってくんなアホ！」 「…………」 「モタモタしてっとマジで直登取っちゃうからな」 　その後戸塚は何も言わずに立ち去った。 　久しぶりに頭にキタぜ！ 　元々嫌われてるのは知ってた。だけど直接言われるとムカつくってか、何か嫌！ 　最後のは脅しだけど、戸塚の為にとかはもうやめやめ！