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出た!貴哉のノリツッコミ〜

 ベッドの上で早川に押し倒される形で寝転がっていた。やべーな、俺このまま早川にとんでもねぇ事されちまうわ。 「貴哉、逃げないで」 「だってお前が変なとこ触るからだろ!」 「嫌だった?」 「当たり前だろ!」 「おかしいなぁ」  頭を捻って不満げに言う早川。何が言いたいのか分からんがとにかく早くこいつをどけないと。 「なぁ早川、一回座って話そうぜ」 「このまま話せるじゃん」 「いやいや、このままだと何かと俺が不利だろ」 「あのさ、俺の読みだと貴哉も俺の事を好きなんじゃないかなぁって思ってんだけど、どお?」 「直球だな!」 「貴哉にはこの方が分かりやすいと思って♡」 「さっきも言ったけど、分かんねぇんだよ」 「キス、ハグはOK。でもエッチな事はダメ。うーん」 「あ、あのさ」 「でもなぁ、絶対貴哉は俺の事好きなんだよなぁ」 「おい早川!」 「え、何ー?」  一人で話を進めて行く早川に少し大きな声で言うと、パァッと笑顔で覗き込んで来た。 「俺、誰かを好きになった事ねぇから良く分からねーけど、キスしたりくっ付いたりするの嫌じゃなかったら好きって事なのか?」 「それは人によって違うけど」 「あと、早川とキスしたりくっ付いたりしてるとドキドキがすげぇんだよ。さっき抱き締められた時も暖かくて居心地良かったし」 「うん。好きだね俺の事」 「そっか、これが好きなのか」 「エッチな事は初めてだからダメだったのかもな」 「なるほどな。じゃあそれは追々と言う事で……って何だよこの展開は!」 「出た!貴哉のノリツッコミ~」 「ふざけてんじゃねぇ!」 「うん。ごめんごめん。じゃあ改めて言うよ」 「…………」  話が逸れそうになってイラッとしたけど、早川は俺を起こしてベッドに並んで座った。  そして俺の手を握って笑顔で言った。  こうなってから改めて向き合うと恥ずかしいな。 「貴哉の事が好きです。俺と付き合って下さい」 「……おう」 「やったー♡ちょー嬉しい~♡」 「何度も言うが俺は誰かと付き合ったりした事ねぇからそこら辺期待すんなよ!その他諸々は早川に任せるから!」 「はーい♡」  まさかこの俺があの早川と付き合う事になるなんて……正直何をしたらいいとか思い浮かばないけど、それは早川が何とかしてくれるだろ。  んー、それにしても何か忘れてるような? 「なぁ早川、俺何か……あー!」 「ちょ、いきなり大声出すなよ」 「待った!やっぱ今の無し!」 「はぁ!?そんなのダメに決まってんだろ!」 「ちげぇよ!俺まだ直登と付き合ってんだよ!それなのに早川とも付き合うなんて出来る訳ねぇだろ!」 「そんな事なら早く振ってやれよ」 「あ、明日言うよ。だからそれまで俺と早川が付き合うのは無しな!」 「そこは付き合っちゃっても良くない!?」 「ダーメ!早川とはちゃんと付き合いたいんだ!だからもう少し待て」 「貴哉がそう言うなら待つよ。あ、中西を振る時流されちゃダメだからな!あいつ口が上手いからな~」 「大丈夫だ。俺を信じろ」 「はは、かっこいー」  この後は少し話して早川は帰って行った。  一瞬危ない事になるところだったがなんとか免れたな!  それにしても俺が早川を好きになるなんて……  うし!明日は直登と向き合うぞ!

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