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これからよろしくな彼氏〜

 学校に着くと玄関で早川と会った。昨日の出来事が頭をよぎって気まずいな。  俺の横に居た直登は構わずに声を掛けていた。 「あ、空くんだ。おはよー」 「はよー」 「…………」 「ん?どした貴哉?」 「空くんに警戒してるんじゃなーい?俺先に行くから貴哉の事よろしくー」 「は?ってお前」  直登はパタパタと走って先に行ってしまった。早川と二人きりとか気まず過ぎる! 「おーい、貴哉?まさか中西に話したのか?」 「おう。直登と別れた」 「まじ!?早!」 「おい早川!」 「はい?」  俺は緊張していた。早川を目の前にしてこんなに緊張するのは初めてって言うぐらい。  それだけ俺は早川を意識してるんだ。  それだけ俺は早川の事が好きなんだ。   「早川!俺と付き合ってくれ!」 「た、貴哉?」  俺のいきなりの告白に、早川はもちろん、周りに居た生徒達も驚いて立ち止まって聞いていた。  今はそんな事どうでも良かった。  とにかく今は、早川を手に入れたくて仕方なかったんだ。 「直登とはちゃんと話し合って別れた。俺は早川の事が好きだ!俺と付き合って下さい!」 「はいっ俺も大好きです。よろしくお願いします」  早川が答えると、周りから歓声が上がった。今の俺にはそんな事どうでも良かった。今は目の前で照れながら笑う早川の事しか考えられなかった。 「もー貴哉ってば公開告白とか恥ずいじゃん!早く教室行くぞー!」  早川に手を引かれてその場から連れてかれる。後ろから見て気付いたけど、早川ってば耳真っ赤だぞ。こりゃ珍しいもん見れたな。 「早川~、俺からの告白に照れてんのかぁ?可愛いとこあんじゃねぇか」 「うるせぇ!てか何いいとこ取ってんだよ!俺が告白してハッピーエンドだろここは!」 「お前にばっかいい格好させるかよ。まぁとにかくこれからよろしくな彼氏~」 「っ貴哉ってばホント……」 「あ?なんか言ったか?」  最後まで聞き取れなかったから聞き直すと、早川がピタッと立ち止まってクルッと振り向いた。  そしてニッコリ笑ってキスをしてきた。  ちょ!みんな見てんじゃねぇか! 「お前何してんだ!調子に乗んな!」 「あは♡だって嬉しいんだもん♡」  本当に嬉しそうに笑う早川を見てたら怒る気もなくなった。  そうか、人を好きになって付き合うってこう言う事なのか。  早川の笑顔を見て暖かい気持ちになって自分も笑顔になれる。  一緒に居たい。一緒に居るだけでワクワクしてドキドキする。    こうして俺は早川と恋人同士になった。 ✳︎完✳︎

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