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第34話 7章 囚われの小鳥
その後香は、情欲を刺激された秋月に抱かれる。秋月は香の縛めを解き、責め立てた。秋月は香の精を何度も出させ追い詰めるのが好みだ。最初は、いけない苦るしみの解放で体が喜んだが、何度もだと辛さしか感じない。しかし、これはいつものことだった。
漸く秋月の欲望が静まった時、香は放心状態だった。起き上がるのも辛い体を古城に支えられ、部屋へ戻り、古城に体を洗ってもらう。
お湯で洗い流されながら、自分の行く末を思う。今までの六年も辛かった。それが東月まで加わるのは地獄の苦しのみ。あとまだ四年近くこの地獄が続くのだろうか……それでも耐えねばならなかった。
香の閨の勤めは、神林の男たちだけではなかった。十五歳の頃から、大口の出資者へもその体を供された。香には、宗家の命じるそれを拒むことは許されない。
神林にとって香は大切な花。相手はしっかりと吟味し、最初の行為は必ず神林の座敷で、宗家と若宗家、そして古城が見守った。その後は、相手の指定する場へ、古城が送迎した。
金と引き換えに香の体を自由にする大口出資者は、現在三人。田中食品会社の会長田中宗一、棚瀬工業の社長棚瀬義雄、そして歌舞伎役者の成川菊之助。
今日は田中から別邸に呼ばれている。一代で田中食品会社を興した田中は、息子に社長職を譲たものの代表権のある会長として実権を握っていた。
東京に本邸の他、別邸があり、香を呼ぶのはいつも別邸だった。田中にとって気兼ねなく遊べる場所だった。七十過ぎて突如目覚めた男色に田中は夢中になった。
男色に目覚めたというよりも、香の魅力に取りつかれたのかもしれない。神林の望むままに金を出し、月に一度か二度の逢瀬を楽しむだった。
神林では、田中は老体の為、香の体には負担は少ないと思っているふしがあるが違うのだった。
田中は確かに香の魅力に若返ったように、心が昂るが自身のものは若い時のようにはいかない。手と指、そして舌技を使い、巧みに香りを追い込み乱れさせる。道具を使うこともしばしばだった。
香は、一人翻弄させられて乱れてゆくのは、屈辱感が強く疲弊させられるのだ。
田中の別邸に着くと、沢田という男性に迎え入れらる。沢田はこの別邸を取り仕切っている男だった。自分の主人を七十過ぎて突如男色に溺れさせた香には、余り良い感情を持っていないようで、その対応は義務的で冷たさもある。
香はこの沢田が苦手だった。ことに嫌なのは、田中が行為の時沢田にも手伝わせることだった。
「香様、ようお越しになられました。主が待っております」
沢田に促され座敷へ入ると和服姿の田中が寛いだ様子で酒を飲んでいた。
「おおっ、若さんよう来た、ここへ来なさい」
香が隣に座ると、すぐに抱きしめられ口を吸われた。そのまま舌で香の口腔内を縦横無尽に犯し、香の唾液を啜る。
「若さんの唾液は甘いの、ここのも甘いのではないか……おやっ、もう蜜が出ておるぞ。わしが吸い取ってやる」
香を押し倒すと、その中心のものを口に含む。沢田はそのまま側に控えている。いつもそうだった。
「ああっ、……ああーっ」
田中の巧みな舌遣いに、香は追い込まれていく。我慢しているが、声を漏らしてしまう。田中にとってそれは承知のことで、それが余計に欲情を誘う。
「ああーっだめっ、も、もういくーっ、ああん」
香は田中の口の中で果てる。だが、それはほんの始まり。その後何度もいかされるのだ。
「もう、もうだめっ……ああんっ、許して……許して」
香は息も絶え絶えに哀願する。その濡れた瞳に田中もようやく満足する。
「ふふっ、これ以上いじめて、今後来てくれなくなるのは困るからな」
田中は、香の涙を吸い取る。欲情を静めてからの田中は優しい。沢田から手渡された温かい濡れタオルで、香の体を自ら拭いてやるのもいつものことだった。
「何しろ若さんと会えるのは月一度位だからな、嬉しいのだよ。ほんとはもっと会いたいのだがな」
恨めしいように言われる。田中にとってはそうかもしれないが、香には他の出資者の相手もある。現状でも身がもたない思いなのだ。
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