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第24話

 バスルームから部屋に戻ると、照とヴァレリオはお互いに背を向けながらベッドの端と端に寝ころんでいた。仲良くなるのではなかったのかと僕は思ったけど、そんなこといきなりには無理だと思い直す。ただ、そうなるように二人が努力しようとしてくれただけで僕は嬉しい。でも、二人が本当に仲良くなれば、それはそれでもっと嬉しい。僕は本当に二人が好きだから。 「……お待たせ。準備できたよ」  僕はそう言ってベッドに近づいた。寝ころぶ二人のちょうど間に。   二人は同時に跳ね起きると、僕を見つめた。二人からの真っ直ぐな視線に、僕の心臓は急にバクバクと暴れ始める。  ああ、まいったな……本当にこんなことになるなんて……。  僕は心の中でそう弱々しく呟く。これから起きることに僕は耐えられるのだろうか。二人の男を相手に僕はどうすればいいのか分からない。セックスなんて女性ともしたことがないというのに。 「摩央……」  照は僕の名を優しく呼ぶと、すっと僕に近づいた。まるで無重力のように軽やかに。気づいたらあっという間に僕の脇に来ていて、僕の肩を抱いている。ヴァレリオは照に一歩遅れて僕に近づくと、照と同じように僕の脇に座り、僕の頬を優しく撫でる。その指先はひんやりと冷たくて、僕はぞわっと鳥肌が立った。  僕は黙って立ち上がると、数歩前に出て、着ていた薄手のガウンを脱いだ。もちろんその下は全裸だ。こうもしないと、この場から逃げだしてしまいそうになる。これは僕なりの精一杯の勇気だと、二人が思ってくれるとありがたいのだが。  二人が僅かに息を呑むのが分かった。僕は背後から二人の視線を痛いほど感じる。爪先から頭のてっぺんまで、熱い視線が這われていくのを感じ、僕の体がじんわりと熱を帯びていくのが分かる。  ぎしっとベッドが軋む音がした。二人のどちらかが立ちあがり、僕に近づくのが分かる。照か、ヴァレリオか。二人のうちどちらかが僕に近づき、何をするのか。それを想像すると、僕は強烈な興奮で頭がぼんやりし始める。 「摩央……奇麗だ」  そう言って、僕の腰に腕を回したのはヴァレリオだった。ヴァレリオの手は器用に僕の腰から臀部を流れるように愛撫する。その手はやはりひんやりと冷たくて、それが余計に敏感に僕の肌を刺激する。 「はっ、あ、ヴァレリオ、だめ……」  僕は身をよじりながら、思わずそんな声を出してしまい、恥ずかしさで、更に体が熱くなる。 「奇麗だ……摩央……好きだ」   ヴァレリオは僕の耳元にそう囁くと、耳の中に舌を入れる。その感覚が耐えられなくて、僕はヴァレリオの舌から逃れるように首を曲げると、その舌は、今度は僕の首筋を執拗に這い回る。ヴァレリオの舌は手とは真逆に熱く潤んでいて、首筋を愛撫されるたびに、僕の興奮を示すメーターは上昇していく。 「あっ、いやだ、それ……あ、んっ」   僕は体をくねらせながらヴァレリオの愛撫に耐えていたが、ヴァレリオはいきなり僕の正面に位置を変えると、僕の顎を掴み持ち上げ、激しいキスを落とした。さっきまで僕の首筋を愛撫していた熱く潤った舌は、今度は僕の舌に執拗に絡めつけてくる。 「ふんっ、んんっ、はあっ」  僕は激しいヴァレリオのキスに翻弄されてしまう。こんな激しいキス今まで一度もしたことがない。口移しで何かとてつもなく強い感情が僕の中に入ってくるような感覚だ。怖いのに満たされる。そんな不思議な感覚。 「あっ!」   その時、僕の背後から腕が伸びてくるのが分かった。その腕は僕の両脇から入り、僕のお腹辺りに手が置かれている。 「摩央……やっとこの日が来たな……」  僕の後頭部に顔を埋めた照が、湿度のある声でそう言った。 「て、照……」  僕はヴァレリオからのキスを逃れて、後ろを振り返った。でも、すぐにヴァレリオに顎を掴まれ正面に戻されると、更に深いキスを浴びせられてしまう。 「んんっ、ふあっ、んっ」  その間に照の手は、まるでじらすように僕の腹部から上へと這い上がっていく。このまま核心的な部分に触れられたらと期待してしまう自分が嫌だ。そんないやらしい自分が耐えられないと思えるなら、それはまだ僕に理性が残っている証拠だ。 「あっ……」  照は両手で僕の胸の突起の周りを、ぐるぐると弧を描くように指を滑らせた。わざと核心部分には触れないように、意地悪な指遣いでぐるぐると。そのじらされ方に僕は、触られてもいなのに、いやらしく突起を固くさせている自分が益々嫌になる。 「摩央、乳首立ってるぞ。触ってもないのにいやらしいなあ」  照は僕の耳にわざと聞こえよがしにそう囁く。 「ううっ、やだ、じらすのやめてっ」  僕は堪らなくなってそう叫んだ。 「触って……早くっ」  僕はヴァレリオから素早く口を離すと、照に振り返り上目遣いでそう叫んだ。 「……ヤバい、どうしよう、マジで興奮する……」  照は苦しそうに顔を顰めると、僕から目を逸らして天を仰いだ。  「はあっ」  その時、照は僕の胸の突起を指先で弾いた。両手で僕の両方の突起をクリクリと執拗に捏ねる。 「うっ、て、照、はあ、ああっ、気持いいっ」  気づくと僕の口からヴァレリオの口が離れていた。ただ、正面から照に胸の突起を愛撫されている僕を見ている。その目は今まで見たどのヴァレリオとも違う目をしている。ヴァレリオが雄の本能を剝き出しにしているようなその瞳に、僕はぐいぐいと惹き込まれそうになる。  僕はヴァレリオに見つめられることで、更に興奮が増してしまう。照からの愛撫に、僕の感度はどんどん研ぎ澄まされていくような気がして、このまま行ったら自分の体はどうなってしまうのか。全く想像が追い付かない。  僕は、照から胸の突起を弄られているうちに、自分の中心が淫らにも屹立し始めていることに気づいた。それは二人にもすぐに気づかれてしまい、僕は思わず自分のそれを両手で隠した。 「何故隠す?」   ヴァレリオはあの瞳のまま僕に問いかける。その声には、ヴァレリオ特有のあの重低音な響きが僅かに滲んでいるような気がして、僕は自分のそれから手を離すと、慌てて両耳を塞いだ。 「そうだよ。摩央……隠すな。全部曝け出せ」  照はそう言うと、ヴァレリオの腕を引っ張り、今度は照が僕の正面に立った。 「俺も曝け出すから……」  そう言うと照は、僕の目の前でいきなり服を脱ぎ始めた。躊躇いなく服を脱ぎ捨てる姿が本当に格好良くて、僕の胸は切なさで締め付けられる。  全裸になった照は、引き締った体が麗しく、僕は思わず照の腹筋に誘われるように手を伸ばした。その視線の下には、腹に付きそうなほど屹立している照の中心がある。  「分かる? 俺が今かなり限界なこと」  照は自分のそれを手に持ちながら、僕を見つめた。 「お前だけじゃない。俺もだ……」  ヴァレリオは僕の背後でそう言うと、いきなり僕の肩を掴み自分の方に向けさせた。そこにはいつの間に脱いだのか、全裸になったヴァレリオがいる。 「いつの間に……」  僕はその素早さに何だかおかしくなってしまい、思わず吹き出した。でも、一瞬で僕から笑顔が消えた。僕の目に映るのは、笑えないくらい猛々しい存在感を放つヴァレリオの中心で、僕はそれを呆然と見つめた。   無理だ……。  これは夢だろうか? 現実にこんなものがこの世に存在するなんて。照も男の僕から見ても立派だと分かるが、ヴァレリオのものはスケールが違う。アルキロス星人は体の基準がそもそも地球人とは違うのだと、僕はその事実を絶望的に思い知らされる。   「照……僕は死んじゃうの?」  僕は震える声でそう言うと、縋るように照に振り返った。 「はあ……ヴァレリオは俺をイライラさせる天才か? お前のそれサイズ変えられないの? アルキロス星人ならそのくらいできるだろう?」  照はヴァレリオの中心を苦々しく見つめながら、嫌味を込めてそう言った。  「無理だ……これはアルキロス星の成人男性の一般的なサイズだ。俺だけが特別ではない」  ヴァレリオは自分のそれを見下ろしながら、少し自慢げにそう言う。 「……ったく、じゃあ、アルキロス星人の超能力に、摩央の体に負担を与えない力とかないのか?」  照の言葉にヴァレリオはしばらく黙り込むと、何かを閃いたのか急に目を見開いた。 「特別なローションならある。それはアルキロス星人が性行為をする時に必ず使うものだ。このようにサイズが大きい我々男が、女性器を傷つけないようにできている」  「それは今あるのか?」   照はイライラしたようにヴァレリオに問いかけた。 「俺の部屋にある。今テレキネシスで手元に運ばせる」  ヴァレリオはそう言うと、静かに目を瞑った。そして、指先に念を送るような仕草をすると、いきなり部屋のドアがバンっと開いた。僕と照は驚いてドアの方を見つめていると、何かが見えない速さでこちらに近づいていることに気づいた。その何かを目で追うと、その何かはヴァレリオの手中にパっと収まる。  「これだ……」  ヴァレリオは僕と照に綺麗な水色をしたボトルを翳した。 「媚薬効果もある優れモノだ……絶対に摩央の体を傷つけたりはしない」  ヴァレリオは僕を見つめながらそう言うと、僕に近づき、僕をそっと抱き寄せる。 「おいおい、何でそんなもの今持ってるんだ? 何を期待して地球に来たんだよ」  照はヴァレリオからボトルを奪い取ると、繫々と見つめた。 「SPが持ってきた。地球で俺が様々な経験をしたいと言ったからだろう。流石我がSPだ。気が利いている」   ヴァレリオは僅かに笑みを浮かべながらそう言うと、いきなり僕の顎を掴み、また深いキスを落とす。  「ふ、んっ」 「続きを始めよう……」  ヴァレリオは、僕にキスをしながら照を見つめている。 「はあ、しゃあないな……」  照は溜息交じりにそう言うと、背後から僕に近づき、僕の中心にゆっくりと手を伸ばした……。 

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