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攻めるネコ1
キョウスケはぴくりと眉を上げた。
叶真がもう一度キョウスケと寝ることになったとき、真っ先に思いついたのがこれだった。受身でありながら男としてプライドを保つ方法。それはネコであっても相手を攻めることだ。主導権を握ることで相手を征服し、叶真のテクでキョウスケを屈服させる。それが叶真の考えたキョウスケの出し抜き方だった。もちろん体格的にキョウスケが抵抗すれば難しいかも知れない。そこは叶真にとっては賭けだ。
キョウスケは心理を計ろうと叶真をじっと見つめるが、やがて諦めたように小さく息を吐いた。
「まあいい。つまらなかったらすぐに交代だ。俺を楽しませてみろ」
「……減らず口叩けるのも今だけだからな」
叶真はキョウスケに跨ったままシャツを脱ぎ捨てる。キョウスケは上半身を起こすと同じようにシャツを脱いだ。
二人が服を脱いだことで場の雰囲気が変わった。始まったな、と叶真は思う。普段の生活から淫靡な空気に変わるこの瞬間が、叶真の雄としての本能を刺激させる。タチとして男を抱いてはきたが、ネコとしては初めてなので若干の戸惑いはある。だがキョウスケを一泡吹かせたいという気持ちが叶真を奮い立たせた。
キョウスケの胸板は逞しく、飾りのような乳首はとても愛撫する気になれない。そもそもタチの胸など愛撫するのだろうか。あまり触れられたことがなかったなと叶真は思い出すと、その手をキョウスケの下腹部へと持っていく。
「おい、いきなりか? 随分飢えてるんだな」
「てめぇの胸なんざ触る気もしねぇよ」
「雑な男は嫌われるぞ。キスくらいしたらどうだ」
「誰がてめぇとなんか……。それに俺は身体だけの奴とキスはしない」
貞操観念は低い叶真だったがキスだけは違う。それだけは心を許した相手にしかさせなかった。
「キスは特別か。意外とロマンチストだな」
「……うるせぇ。ほっとけ」
いつもの馬鹿にした言い方ではなかったが、子ども扱いをされたようで恥ずかしくなる。
誤魔化すようにキョウスケのズボンの前を寛げると、叶真は下着の上からそっとキョウスケのペニスを握る。
そこはまだなんの反応もしていなかったが、それでもかなりの質量だ。タチとして男の性器を愛撫したことはあったが、今までのそれとはまるで感触が違う。
「立派だろう?」
「……まぁまぁだな」
素直に認めるのは悔しいので叶真はそう言ったが、本人が言うだけのことはありソレは立派だ。これが更に大きくなるのかと思うと恐ろしくも感じる。
叶真はつばを飲み込むと優しくそれを撫でた。外見上荒々しいセックスをすると思われがちな叶真だったが、実際は驚くほど丁寧に相手を抱く。激しいのが好みだと言われればその通りにしていたが、要望がなければ相手に触れる手は繊細そのものだ。
下着の上からゆるゆると刺激されるのはもどかしいのか、キョウスケは眉間に皺を寄せている。キョウスケの性格上、激しいセックスのほうが好みなのかもしれない。
いけ好かない相手に合わせたセックスなどする気はなかったが、今日の叶真の目的はキョウスケを楽しませ、鼻を明かしてやることだ。もう止めてくれと言われるまで搾り取るつもりでいる。そのためならば相手の望むようなセックスも悪くはない。
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