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出会い

 俺と妻との出会いは桜が舞い散る春の日だった。30手前にもなり結婚もしていない事を嘆いた両親が見合いを催したのだ。 「此方 白雪(しらゆき) (くれない)さんよ。」 「紅さん、此方が私の息子の御守(みもり) 勇美(いさみ)よ。」  互いの自己紹介が済んだ後、二人きりの方が良いと両親たちは席を外した。  俺は一目見た瞬間から目の前の紅に恋をした。所謂一目惚れだ。高鳴る気持ちを抑えきれず俺は目の前の紅の手をギュッと握りしめ叫んだ。 「お、俺と結婚してくれ!」  紅は驚いたような表情を浮かべて直ぐに頬を赤く染め小さく頷いた。  その時はまだ、紅の秘密は知らないままだった――――。 ・ ・ ・ ・  無事、結納も済ませ結婚式も執り行い初夜を迎えようとしていた時。  紅はベットに正座して俺の目をジッと見つめて口を開いた。そういえば、紅の声をちゃんと聞くのもコレが初めてかもしれない。紅は何時も微笑みながら小さく頷くだけだったから。 「い……勇美……。君に話しておかなければ……いけない事がある…。」  ん?声が…。男の様な声だが…。って、よく見たら喉仏がある様な…ない様な。 「実は……“俺”は……お、男なんだ…。  で、でも!か……下半身がその……女性と……いうか……えっと。」  え?今何て言ったの?下半身が女?え?男?頭の中が色んな単語で埋め尽くされてパニックに陥る。紅は不安そうにチラチラと俺の顔を見ている。  あぁ…何て綺麗なんだろうか…。惚れた弱みと言うのか今まで黙っていた事には少しあれだがそんな事すらどうでも良くなってしまう程、紅に惹かれている様だ。 「つまりは上半身が男で下半身が女って事……か?」 「まぁ……そうなる…。黙っているつもりは無かったんだが……いうタイミングを逃してしまって。すまない…い、今からでも結婚を破棄しても――「結婚は破棄しない。」」 「え……良いのか?」 「俺は其処等へんの屑と一緒にしないでもらいたい。俺は紅に惚れたんだ。  性別が男だろうと女だろうと俺は求婚してたと思う。離縁何て望まれてもするもんか。」  紅は目に大きな涙を溜めて俺に抱き着いた。俺もそれに答える様にギュッと紅の身体を抱きしめ返した。 「俺も……その、紅に言わなきゃいけない事があるんだ…。聞いてくれるか?」 「あぁ…。」 「俺は産まれ付きその……息子が大きすぎてな……。  今まで息子が原因で………恥ずかしながら…・・そう言った事をした事が無いんだ…。」 「そ、そんなに大きいのかい?」  俺は小さく頷き着物を脱ぎ下半身を露わにする。紅は息子を見た瞬間一気に青ざめていった。 「お、大きすぎ……。」 「やっぱりそうだよな……。怖いか…?」 「いいや……俺もこの身体になってからは男性とそういう事をした事が無いから不安ではあるが……。  勇美は俺を傷つける様な事はしないと思っているから怖くはない。」  俺は紅を抱き寄せて口づけを交わす。最初は優しく触れるだけだった物が次第に深く熱いモノへと変わっていく。紅の口から漏れる吐息が余りにも色っぽくて目の前の紅の事しか考えられなくなる。 「んっ……ふぁっ…。」 「紅…。服を脱がせても良いか…?」  紅は頬を赤く染めながら小さく頷いた。触れるだけで壊れてしまいそうでゆっくりと着物を脱がせていく。露わになった紅の身体はとても綺麗でこれから俺が汚していくのだと考えるだけで胸の高鳴りが止まらない。  色白な肌に映える薄桃色の乳首に少し筋肉質の腹、そして毛一つない綺麗な女性器。 「あっ…恥ずかしい…。」 「凄く綺麗だ…。どこを取っても恥ずかしい所何て何一つない。」  唇から順にゆっくり下へと口づけを落としていく。その度にピクンッと撥ねる紅が愛おしい。挿入した時に紅を傷つけない様に潤滑油をたっぷりと指に着け秘部へと差し込む。  指が入る度に紅は甘い声を漏らしながら熱のこもった瞳で此方を見つめる。 「ぁっ……指っ…はいってぇっ…。」 「動かしても良いか?」 「んっ……い、良い。」  ゆっくりと指を抜き差ししながら解していく。時間をかけてゆっくりと…。 ・ ・ ・ ・ 「前戯長いぃっ……んぁぁっ、も、もう良いからっ……挿れてぇっ♡……あぁんっ。」 「す、すまないっ…。加減が分からなくてつい……。」 「来てくれっ……。早く、俺の中にぃっ……んぁぁあ!」  紅が自ら足を広げ秘部を露わにする。その瞬間俺の中で何かが音を立てて壊れた。  そして、気が付いたら俺は紅の腰を掴み奥深くまで挿入し激しく腰を打ち付けていた。 「あっ…おっきっ!んぁぁあっ♡……まっれ…まっれぇえっ♡…あぁん!あっあっん!」 「紅っ!お前は煽り上手だな本当にっ!」 「激しっ!ぁぁあんっ…しゅごっ♡…しゅごぃっ!おぉんッ♡…あっぁあッ!」  何度も何度も突き上げ互いの熱を分け合う。自分たちの愛を確かめ合うかの様にそれは朝方まで続いた。 ・ ・ ・ ・  翌朝、動けない紅と一緒に部屋で朝食を食べながら詳しい話を聞くと 紅は元々は下半身も男性であり何と大日本帝国軍の参謀本部の隊長を務めていたのだという。  ある日 突如として下腹部に激痛が走り股から血が流れだしたと思えば男性器が女性器へと作り替わってしまっていたのだと言う。医者からは【後天性男性器女体化症(カントボーイ)】と呼ばれる症状らしく日本全国でも数千万に1人の確率で発症するらしい。 「その後、軍からは何か間違いが起きてはいけないと言う事で退役させられてしまってね…。このままでは嫁を貰う事も出来ないし…。と悩んでいたら勇美の両親から見合いをしないかとお声掛けを頂いてね…。」 「でも、そのおかげで紅とこうして結婚する事が出来たんだから良かったかもしれないな。」 「ふっ……君は本当におかしな人だな…。  普通は男と聞けば直ぐに離縁を申し込むものだろうに……。でも、結婚したのが君で良かったよ。」  紅は「身体の相性も良いみたいだし」と頬を赤らめて呟いた。  桃色の空気が部屋全体を包み込み俺達は再び愛を確かめ合う様に身体を重ねたのだった。

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