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第20話 魔法学園(7)
2ー7 過去
テシガアラは、僕に自分の過去について話してくれた。
「俺は、親が金持ちで子供の頃から恵まれていた。いつだって友だちに囲まれてて、俺は、いつもみんなの人気者だった」
テシガアラは、続けた。
「だけど、それは、嘘、だった」
テシガアラが15才の時、彼の両親は、婚姻関係を破棄した。
彼は、母親に引き取られたが、今までと何一つ変わったことはなかった。
母親も仕事をしていて裕福だったのらしい。
それでも。
「それまで俺の回りにいた連中の態度は変わった。俺は、気がついたら一人ぼっちになっていた」
テシガアラは、通っていた学園で孤独を味わった。
「俺がなんの力も持たないからみんなは、俺から離れていった。だから、俺は、親から金を出資してもらって会社を興した」
テシガアラは、若くして商会の経営を始めたのだという。
「仕事は、順調で、俺は、気がついたら大企業のCEOになっていた」
しーいーおー?
僕が首を傾げているとテシガアラは、王様みたいなものだ、と説明してくれた。
「そうなのか!テシガアラは、王だったのか」
僕が感心していると、テシガアラは、悲しげな表情を浮かべた。
「でも、それで余計に俺は、孤独になったんだ」
テシガアラは、僕に語った。
「誰もが俺の持つ権力、金にばかり気をとられて俺を見なくなった。だから、俺もそんな連中のことが嫌いになった」
そうなんだな。
僕は、テシガアラの気持ちがなんとなくわかるような気がしていた。
僕も同じだ。
王子だった頃、誰もが僕の婚約者になることを望んでいた。
男も女も、みな、僕を王子としてしか見なかった。
誰も、僕個人のことを見てくれる者は、いなかった。
「いつの間にか俺は、人嫌いの自分勝手な男ということになっていた」
テシガアラは、顔をあげて僕のことを見ると瞳を輝かせた。
「でも、レリアス、さんは、違う」
はい?
テシガアラは、僕の手をとった。
「間違えて召喚したのかもしれないけど、レリアス、さんは、俺を見てくれた。しかも、自分だって困ってるのに俺のこと思いやってくれたじゃないか」
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