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第2話 side-朝陽

「あ、そこはちょっと待って。先にソースとかレードルで計ってからの方がいいから」 オープンまで3日を切り、キッチンメンバーに軽食の手順を覚えさせる 比較的経験者が多いのは助かるが、やはりキッチンメンバーでも今回のアルバイトが初めて。という子も数人おり、出来るだけ丁寧に指導していく モーニングタイムやランチタイムは戦争状態になるから、今のうちにレシピを頭に叩き込み、少しでも効率良く作れるようにちょっとしたアドバイスを伝えていく 「竹内、そろそろ休憩~」 司馬が声を掛けてくれ、他のスタッフにも声を掛けていく 「竹内、今日の帰り飯行こうぜ。明日からはそんな余裕もなくなるし、今のうちにこっちの美味いもの食いに行こうぜ♪」 軽くウィンクをしながら話し掛けて来る司馬につい笑みが溢れる 「あ、オレこっちで食べたい物あんだ!しっかり英気を養う為にも行こう!」 ガシャンッ パリンッ 何かが盛大に割れる音が奥から聴こえ、司馬と顔を見合わせて慌てて音のした方に向かった バックヤードに入ると、甘いジュースの香りと割れた瓶が散らばっているのを見て、何があったのかを察する 慌てて割れたガラスを集めている子を制止し 「ダメだよ。怪我するから、とりあえずキミはこっちに。司馬、ごめん。他の子たちと掃除任せていい?オレはこの子の手当してくる」 先程のガラスで切ったのか、指先からはポタポタと血が溢れているのを見て慌てて綺麗なタオルを取り、これ以上血痕が落ちないように抑えながらその場から事務所に移動した 「はい。これで大丈夫!でも、あぁいう時こそ、冷静にならないと。 キミが、ここの副店長になるんだし、焦らなきゃ仕事は一番丁寧なんだからさ 誰でも最初から完璧な人なんていないし、みんなでこの店を作るんだからさ、一緒に頑張ろ」 さっきまでパニックになっていたのか、落ち着いた途端ボロボロ泣き出した彼女の頭を優しく撫でてやり、泣き止んでくれるのを静かに待った 「とりあえず、今日は水仕事は他のメンバーに任せていいから 傷も酷いようなら後で病院には行ってな」 徐々に落ち着きを取り戻し、新しいタオルで涙を拭いながら 「ありがとうございます。色々焦ってしまって…」 「引越してきたばかりってのもあるだろ?今はオレと司馬もいるから頼ってくれよ。それで、オープン初日の戦争を勝ち抜こうぜ♪」 司馬みたいにカッコよく言いながらウィンクをしてみるも、元々あまりウィンクが得意じゃないせいで両目を瞑ってしまい 「ふふっ、竹内さん、ウィンク出来てないじゃないですか。可愛すぎですよ」 カッコよくは出来なかったが、笑って貰えたのでヨシとしよう… ちょっと、いや、かなりオレ的にはダメージがきたけど…

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