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「いや、いやいやいや…あんた何者?政治家の息子とか?」
デビューしてすぐに表舞台を去ったと言っても、練習生だった期間は7年だ。7年間もあの表には決して見えない、汚い大人が私腹を肥やすためだけにあるような業界で生きてきたのだから、当然横の繋がりの強固さも、黒い噂の耐えないジョニーグループの権力の強さも知っているつもりだ。
それなのに、あのジョニーグループの権力下である施設を買い取る?そんなことが出来るのは最早政治家や官僚くらいしか思いつかない。
「うーん…お金の出処が心配なのかな?」
ぱちくりと瞬きを数回したあと、ハルは少し困ったように笑う。
「お金のことだったら心配しないで。前職の貯金が一生遊んで暮らしても使い切れないくらいあるんだ」
「金もそうだけど、金だけじゃどうにもならないはずじゃ…」
そうだ。だって力も金も持ったアイツらを動かすのは金だけではとても無理なはずだ。なにか、それを凌駕する程の大きな力がなければ。
「…まあ、簡単に言ったら身内…が、ちょっと強い…かも?」
「はあー?」
どうにものらりくらりと言いたくなさげな様子に不信感が募るが、よくよく考えてみれば別にこの男について知る必要はない。俺は、踊れればそれでいいじゃないか。
「…まあいいや」
うん、やっぱ考えるのやーめた。難しいこと好きじゃねーし。
「俺、ここだけでいいよ。充分」
入口近くから部屋の真ん中まで歩いてみる。光を反射して発光しているようにさえ見える無垢フローリングと、入口正面を全て映し出す鏡は垢ひとつない。
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