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「さ、さくらだ くんとはなすのは…おちつく」  ふわりと目の端に涙を溜めながら花が開いたように笑う麻耶に思わずドキリとした。 「…俺もだよ」 「…はいカットー!」  カチンコの音が響いた瞬間夢から覚めたように意識が現実に戻ってくる。麻耶はさっきのドキリとした雰囲気はさっぱりと消え、いつもの強気で凛とした顔つきに戻っていた。 「レイ君さー、足立舞みたいな女の子がすきなの?」 「はあ?」  メイクさんにパタパタと細かいメイク直しをされながら麻耶が聞いてきた言葉に眉を顰める。 「だってさっきドキってしてたでしょ。わたしわかるのよねー」  笑みもせず淡々と話す女って怖えー…。 「…してねーよ。ちげーし」 「ふーん?」  こちらをチラリともみない麻耶の態度が気に食わなくて、周りに人の目がないことを確認して指先に触れる。 「俺は麻耶ちゃんみたいな努力家で芯のある子の方が好きだよ」  触れた指を口元まで持ってきて軽く口づけると、麻耶はふっと笑って手を払った。

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