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第10話
目を覚ましたら白い天井。
あれ?俺どこにいるの?目を巡らせると唯希が横でスタバのバナナフラペチーノを飲んでいた。
「ずるい…俺にもほしい…」
「あ、悠馬くん目が覚めた?具合どう?気持ち悪いとかない?」
何でそんなに心配してんの?…え?おれ…
記憶を辿ると、朝コンビニで春樹に会ってそれから記憶が……
「俺…」
「いいのよ、悠馬くんは何も考えないで。春樹ももう家に帰ったし…あんた春樹に殴られたのよ!今度あったら殴り返してやんなさいよ!」
殴られた…のか…。確かに頭の一部がズキズキする…気絶するほど殴られる経験は初めてだなぁ…おっかないなあ。
「一応、頭も内臓も何もないみたいだけど、具合悪かったらちゃんと言ってね。面会時間いっぱいまで私ここにいるから」
心強いと言えば心強いけど…なにか忘れてる気がするんだよな…ん〜〜
「お腹空いてない?」
その一言で思い出した
「俺が買ったコンビニの朝ごはん…」
「え?」
おじさんの分まで買ったから、3千円近くかかったのに!
「やっぱ春樹殴りたい!」
急に怒りが込み上げてきた!メラメラに!今度会ったら3千円弁償させる!
「悠馬くん朝ごはんから何も食べてないの?」
「そうだよ!朝ご飯買って、帰ろうとしたら春樹に絡まれたんだから。買ったもの返せ」
そりゃあ腹も減ってるってもんだよ!どこも何ともなさそうだから、なんか食べたいなぁ
「今日って帰れるの?」
「ううん、一晩様子見で入院だって。何でもなかったら明日退院できるから」
「ええ〜〜?俺災難じゃん〜今日塾にも行けなかったし」
塾の分は私が教えるから、と唯希さんは言ってくれるけどさ…やっぱ朝の買い物が…ううう
「お、起きたか。具合はどうだ?」
おじさんがきてくれた!うっすらとした意識で、おじさんが俺を覗き込んでるの覚えてるんだよね。
でもそれ以外はあんまり覚えてないや。
「うん、大丈夫だよ。何ともない。殴られた所がちょっと痛いかな〜くらい。今度会ったら殴っていい?春樹!」
俺のその言葉に、おじさんはちょっと困ったような切ないような顔をした。なに?
「まあ、あいつとは会わない方がいいだろうよ。俺が代わりに殴っといてやるから」
「え〜それじゃ気が晴れないじゃん。あ、あと3千円相当のコンビニの買い物!」
「なんだそれ」
それは唯希さんが説明してくれた。俺がかっかしてるから。
「なんだよ、それ俺の分もあったんだろ。俺が立て替えておくよ。後で俺が春樹から徴収するからさ」
さっきからおじさん経由でしか春樹に関われないみたいな言い方…。いや、それでいいんだけどさ。今日のあいつちょっと怖かったしな…。
意識無くしてからの俺がどうだったかは、唯希さんも教えてくれないし。
「元気になったら、今日の話してやるから。今日は大人しく寝てろ。欲しいもんあったら買ってくるぞ」
セブンのチキンとおにぎりは食べたいかな…今何時だ?部屋の時計は14時を指してる。
「晩ごはんまでまだまだじゃん〜ご飯食べたい」
「わかった、じゃあ買ってくるから待ってろな」
おじさんが優しい…
「じゃあセブンのおにぎりと、チキンと、ヨーグルトドリンク」
おじさんは苦笑して、はいよ、と言いながら部屋を出ていった。
「それだけ食欲あれば大丈夫ね」
唯希さんも笑って、ーじゃあまずこれあげようーってプリンを出してくれた。
本日初の食べ物だー。
開けてくれたプリンを、ベッドに跨ってるテーブルに載せて、いただきます。
「うん、おいしい」
やっぱ食べ物は元気にしてくれるねえ。
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