もし今回ゴーに会って自分の抑えが効かなかったら、下手をすれば、もう自分たちの関係は途絶えてしまうかもしれない。 　そう考えると、明日会うのは危険すぎではないだろうか。 　なら、このまま自分の気持ちを打ち明けず友達でさえいいと思う。 　なら、明日は意識をせずに友達感覚で会えばいいんじゃないだろうか。 　そう春は結論を出すと、ゴーへメールを返す。 『明日は僕も休みだよ。そうだ！　前に言っていたレッスン、してあげようか？』 　しばらくすると、ゴーからメールが返ってくる。 『ありがとうございます！　では、例のスタジオでいいですか？』 『ああ、そうだね。そのスタジオなら、いつも行ってる場所だから僕も慣れてるからね』 『じゃ、そこでいいですね。では、また明日』 　二人はやっとのことで会う約束をする。 「やっと会えるのか……」 　そう軽いため息と共に、春はイスに体を預けるのだ。 　明日は確かにゴーと会う約束はした。そしてレッスンをするということにしたのはいいのだけど、果たして春はレッスンだけで止めることができるだろうか。 　だけど、そこで告白をしてしまって嫌われたくない。そうだ、今はまだ会えるだけの存在でいいような気がする。 　次の日。 　待ち合わせの場所のスタジオに春は向かう。 　東京に出てきてからの二度目に引っ越した場所は事務所に近くてスタジオに近いことを条件にこの場所を選んだ。 　昨日ゴーと約束をしたスタジオまでは歩いてすぐの場所。 　春は休みということもあって、約束の時間までいつものようにお湯を沸かし、リビングから見える東京の朝の風景を見ながらコーヒーをすする。