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出会い3

「じゃあ可愛いって言われるのは喜んでいいのかな」 「可愛いという形容詞が嫌でなければ喜んでよ。褒め言葉として言ってるから」 「じゃあ、ありがとう。格好いい立樹に言われるのは特に嬉しい」  そうだ。可愛いと言われるのは初めてじゃない。付き合ってきた彼氏にも言われてきたし、それ以外の男にも言われてきた。でも、言われて一番嬉しいのは立樹だ。歴代彼氏には申し訳ないけれど。 「立樹、今日ピッチ早くない?」  見ると、立樹のグラスはほぼ空になっている。来たのは悠の方が早いから、普通なら悠の方が早く空になるはずなのに。 「喉乾いてたのと、彼女のことでモヤモヤしてるからかな。ママ、ビールおかわり」  そう言って立樹は二杯目を注文する。そんな立樹を横目で見やる。  可愛いと思うのなら好きになってくれればいいのに。そしたら、わがままなんて言って困らせたりしないのに、と思う。    彼女はどんなにわがまま言ったって、女っていうだけで立樹に好きになって貰えるんだ。そんなのずるい。ゲイにとってもノンケにとっても性別という壁は高いんだな。 「モヤモヤしてても別れないんだろ?」 「このくらいならね。もっと酷くなったら考えるけど」 「そうなんだ。立樹も大変だね」 「悠だってそんな経験あるだろ?」 「何回か繰り返したら別れるかな」 「一緒だよ」 「一緒かぁ。やっぱり恋愛面倒くさい」 「そんなこと言ってると彼氏できないぞ」 「彼氏かぁ」  確かに面倒くさいだなんて言ってたら恋愛なんてできない。それは確かだ。でも、恋愛するのなら、立樹としたい、と思う。  あぁ、やばいなぁ。好きになっちゃったみたいだ。確かに、好みどストライクだ。だから声をかけたのもある。だけど、立樹がノンケである以上、この思いは実らないのだ。  ノンケなんて好きになったら負けだよなぁ。まぁ、負けもなにも好きになっちゃったら仕方ないんだけど。落ちようと思って落ちてるんじゃないしな。 「どうした?」  立樹が心配気に訊いてくる。 「え? いや。次はいつ恋するのかな、って思ってさ」 「彼氏できたら紹介しろよ。ジャッジしてやるから」  いつ恋ができるかなんて、今してる。そんなこと言えないけれど。  自分で自分をジャッジしたらどうなるんだろう。 「自分をジャッジしたらどうなる?」  いたずら気分で訊いてみた。  「自分を? 難しいな。まぁ、でも真摯に付き合うから悪くはないと思う。って自分のことそういうの自意識過剰かな?」  立樹はそうやって笑う。そっか、真摯にか。やっぱり彼女が羨ましい。しばらくはこの気持ちと付き合うしかないのかな、と心の片隅で思った。

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