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28. 運命の番? ②
「麻琴 が、自分の気持ちにいつ気付いてくれるかなって、ずっと待ってたんだ。だから、昨日、麻琴の気持ちが聞けて本当に嬉しかった」
蒼人は、ニッコリと微笑む。
表情筋が死んでるなんて失礼なことを言うやつもいたし、そのクールな感じが良いのよーなんて言う人もいた。
でも、おれを見る蒼人はいつだって、優しくて嬉しそうで幸せそうだった。
今この瞬間だって、ほら、おれの大好きな蒼人の笑顔だ。
「……俺は、きっとこの世に生を受けた瞬間から、ずっと麻琴のことが好きだ」
蒼人からの返事は、おれのすべてを満たしてくれた。
おれ自身が自分の気持ちに気付いていなかった時から、本能はこの言葉をずっと待っていたのかもしれない。
「生を受けた瞬間からって……」
「大げさに言ってんじゃないぞ。……俺達は運命の番だからな」
そんな大げさなって言おうとしたら、蒼人が言葉を重ねてきた。
「……運命の番!?」
重ねられた言葉にびっくりして素っ頓狂な声を出してしまったけど、予想した通りの反応だったのか、蒼人は楽しそうにニコニコと微笑んでいる。
「運命の番って、会った瞬間にビビッと来るもんじゃないのか?」
運命の番が出会う確率は低く、都市伝説とまで言われている。だからこそ、あちこち噂レベルでいろいろな仮説が囁かれている。
おれのイメージしている運命の番も、いつだったか、母親と一緒に見ていたドラマの影響だ。
「俺は予定日より一ヶ月も早く産まれて来たんだ。麻琴を守るために、同じ日に産まれてきたんだと思ってる」
「そっか……。会った瞬間が赤ちゃんじゃあ、わからないわけだ」
おれは、あははと声を上げて笑う。
同じ日に同じ産院で産まれたおれ達は、ただの仲の良い幼馴染ではなかった。
医学的に証明されたわけじゃないけど、きっと、蒼人が言うようにおれ達は『運命の番』なんだ。
春岡 先生も言ってたじゃないか。無意識下でお互いを必要としてたんだろうって。
「運命の番……かぁ」
えへへ……と顔がだらしなく緩んでしまう。
事件の真相も分かったし、お互いの気持も確認し合ったし、不安も何も払拭されて……?
あれっ?
そこまで頭の中で考えてから、ふと思い出す。
「そう言えば、蒼人が休学した理由ってなんだったんだよ?」
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