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第4話 短冊に書いたのは

※万年青二三歳様と弥生様の会話から生まれた #七夕BLキャラ短冊 を使わせてもらいました。  もうすぐ七夕だ。  アーケード商店街の屋根の下、等間隔に3つの笹が設置されていた。  毎年置かれているそれは、小さい頃には書いていたものの、最近はまったく書いていない。 「七夕か」  隣を歩いてアイスを食べている友人がぽつりと呟いた。  今年、県外からこの地方都市の大学に進学してきた彼はここの風物詩を見るのは初めてだ。   「書いてく?」 「まあ、せっかくだしな」  誘ってみればひょいとノッてきた。  そうして、小さな子どもに混じってガタイのデカい男二人が短冊を書き始めた。  はっきり言って悪目立ちしている。  道行く人からはクスクスと笑われている。  でも構わない。  彼と過ごした思い出になるんだったら、笑われたって恥ずかしくない。  短冊に書くのは至ってシンプル。 『必勝』    俺たちはアーチェリー部だ。  夏の大会も近い。  個人戦でも、毎年全国大会でいいところまでいっている。  友人とは、高校時代からのライバル同士だった。  彼には負けたくない。  そして、彼に対して抱いている恋心も。  といっても、チームメイトとして関わるようになったのはほんの3か月前からだ。  長期戦なのは承知の上だ。  書き終わった短冊を笹の葉に吊るす。   「必勝って、お前らしいな」 「そうか?」  ふと友人の書いた短冊を見ると、横文字が羅列されていた。 「おい、これ読めねえじゃねえか」 「読めなくていいんだよ」 「何語だこれ」 「内緒」 「はあ?」    その後、しつこく聞いても何を書いたのか教えてくれなかった。  それがわかったのは、夏の大会が終わった後だ。  友人が優勝、俺が準優勝したその日、彼は俺が好きだと告白してきた。  アーチェリーも恋も完敗だった。  

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