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君の匂いは特別だ。 試し読み
僕の名前は星島祐平
ここ羽山 高校に通う、高校二年生だ。
僕たちには憧れの先輩がいる、本郷明人 先輩だ。
彼は他の生徒とは違う不思議な力を感じる、それを感じる時はバスケ部の試合の時だ、奇麗なフォームと力強いダンクシュートは他校の生徒も先生もクギづけにしている、しかし彼には欠点があった。
それは他人に対して無干渉ということだ。
こればかりは彼の性格の問題なので誰がとやかく言うものではないが、僕は本郷先輩と親しくなりたい、ただそう思ったのだ。
バスケ部
先輩は欠伸をしていた。
今日も眠そうだ、彼はいつも眠たそうな顔をしている。
イケメンなのにと思う。
背も高いし顔は整っているし女子にはモテモテだし、羨ましい点ばかりだ。
それなのに僕はバスケ部といっても背は普通だし顔は……言いたくないけど女子よりだし、女子より男子からの告白が多いし……。
まるで先輩とは反対だ。
「次、二年生」
「はい」
試合が始まる、少しでも先輩の目に付くように動かないと先輩に少しでもお近づきになりたい、た、単純にバスケを上手くなりたいからで下心なんてない。
「祐平!!」
パスがまわってきた、キャッチしシュートに向かおうとするが目の前に来たのは長身の後藤だった。
すかさず脇を通り抜けようとするも大きな掌に止められてしまった。
ミスった、後ろに下がれば良かったと……。
焦らなくていい、試合は始まったばかりだ。と集中する。
試合は負けた。
「はぁ……はぁ…はぁ……」
「お疲れ」
「ありがとう」
同じクラスの福岡裕太 だ、彼は補欠でタオルと水筒を持ってきてくれた。
「ねぇさっきの試合おしかったね、後少しで後藤から逃げられたのに」
「だよね、あそこは後ろにパスか引くべきだった」
思わず先輩を見つめてしまった。
「ねぇ、ずっと気になっていたんだけど祐平は本郷先輩のこと好きなの?」
「は?」
「違ったか、いつも見てる気がしたからさ」
「……見てたのは普通に先輩すごいなって思っただけ」
「あ、なるほど、でも先輩身長もあるしドリブルもシュートも上手いからなんか僕たちとは次元が違うよね」
「うん、でも努力もしてると思う、じゃないとあそこまではなれないよ」
「ほぉーそれはいい褒め言葉だな」
!?
「先輩、お疲れ様っす」
急に頭上に現われた後藤先輩に驚き立ち上がる。
「まぁ、座りたまえ後輩よ」
「あ、はい、ではお言葉に甘えて……」
今は全体的に休憩の時間だ。
「ここで一つ本郷に話を取り合ってもらいたいのなら猫を使え」
「猫? ですか」
「そうだ、あいつは大の猫好きだ」
「は、初耳です」
「まぁあいつすぐ消えるからな、で、裏庭に住み着いているノワールという黒猫のところになにやら通っているみたいだ、お前も本郷を知るとしたらそこからなんじゃないか?」
「そ、そうですね僕も裏庭に行ってみます」
「おう」
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