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第8話 誓いは永遠に

 荒い息が治らないうちにキスを交わす。  上も下も満たされて、俊はしばし愉悦に浸った。 「なあ、我慢できただろ」    得意げに笑う哲に俊は一瞬首を傾げたが、すぐに何のことだか思い出した。  哲は情事の際に花を食べ尽くしてしまうが、今日は大半が残っている。  確かに、宣言通り我慢している。 「よくできました。でも百点じゃない」 「どうして?」 「僕のお世話は?」 「もちろんするさ。このあとにね」  俊の脚が下ろされて正常位になると、哲から戯れるように顔中にキスをされる。  それを受け入れつつ、俊は哲の柔らかい髪をすいて手の中で遊んだ。    哲が満足すると繋がりがゆっくりと解かれ、その刺激に悶えた。  白濁は最奥に留まっているため出てくることはない。  哲に軽々と横抱きにされるとバスルームへ連れて行かれる。  その途中、甘えたな哲からまたひとつおねだりをされた。 「今日の花、またサシェにして」    花生みの花は、花食みが食べるだけでなく持ち歩くだけでも精神安定の効果がある。  花が大量に残った時は俊がドライフラワーに加工したあと、ポプリやサシェにして哲に贈っている。 「もちろん。いくらでも」  グッと首を伸ばして哲にキスを送る。  ちゅっちゅっと甘いキスを交わしながら、二人はバスルームへと消えていく。  人がいなくなったサンルームには花が咲き誇っていた。  それを見下ろすことができる棚の上。  そこには、哲と俊が連理の花枝の契りを交わした時の薔薇と棘がガラスドームに収められている。  契りの証であるそれらは、不思議なことに二人が離別し没花となるまで誓いを守るように朽ちることはない。  雨が上がり雲間から差し込んだ光は、祝福するかのように薔薇を照らして煌めいた。

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