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御月堂と思わぬ再会をし、安野達と、それから実の子・大河と暮らし始めてから幾分か経った頃。 今日もまた新しい朝を迎え、陽の光が差し込む殺風景に近い部屋で姫宮はぼうっと天井を眺めていた。 この部屋になってから数ヶ月が過ぎたというのにまだ見慣れなく、落ち着かず、ただでさえ眠りが浅いことに拍車がかかっていた。 天井を見つめているうちに瞼が重くなっていき、再び眠ろうとする姫宮を咎めるような視線を感じた。 それはひとりどころではない。 まだ"客"を見送っていなかっただろうか。ちゃんと送らないと。 目線だけそちらに向けると、あれ? と目を見開いた。 姫宮の目線の先にいたのはを"客"ではなく、ハニワの編みぐるみたちだった。 相手していた人ではないことに安堵したのも束の間、次に何故こんなにも頭周りを囲むようにあるのかと覚めない頭で考えつつ、そのうちの一つを手に取った。 赤紫色の胴が長いハニワは、他のもそうだが、とても肌触りがよく、思わずぎゅっとしたくなるものだ。 壊れそうなものを扱うように、遠慮がちに抱きしめ、ゆっくりと目を閉じて、少しした後、開いた。 そうだ、これは世話係の一人・江藤が編んでくれた物だ。 本来の役目である大河と添い寝をすることを小口がしてくれて、大河が嫌がることもなくそうしてもらっていて、そんな小口が羨ましいと、そして同時に寂しさを覚え、衝動的にハニワの抱き枕を買ったと吐露した際、江藤が寂しくないようにとこうして編んでくれた。 お手製というのは手間暇がかかるものだ。 姫宮は一つのことに執着することはなく、江藤のようにこうして一つのことを完成させる努力もないため、何個も作り上げる彼女がすごいと思ったが、人のために時間を割いてくれたことに申し訳なさを感じた。 まさか彼女が後をつけていたことに驚きもしたけれども、そんな彼女に胸の内を伝えても良かったのかと今も思う。

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