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帰り道
「わー、もう外暗いぞ」
靴を履き替えながら、外を見て話す声が聞こえた。
部活が終わり、それぞれが帰っていく。
文化部でほぼ帰宅部の俺はこの時間まで残っている事が珍しい。
今日は日直で真面目に日誌を書いていたら寝てしまい遅くなってしまった。
時計を見ると18時45分
夏だったらまだまだ明るい時間だ。
靴を履いて外に出ると風も大分冷たくなっていた。
「もう9月も半 だもんなぁ」
ボンヤリ呟く。
夏の終わりを感じ季節が変わる事に寂しさを覚える。
暗いと言っていたが、足元がしっかり見えている事に気が付いた。
空を見上げる。
「月がデカイ……。あ、もしかして今日満月?お月見だったりする?」
スマホを取り出して調べてみると9月17日は中秋の名月とあり、お月見の日で合っていた。
月を見ながら夜道を歩く。
「あれ?いつもの時間じゃないから今日は居ないか……」
足を止めて周りを見回す。
半年前、ここで野良の子犬に会った。
お腹を空かせてすり寄って来たので、帰って食べる予定だったパンをやったら、その日以降、毎日同じ場所で俺を待っていた。
野良が人に懐いたらロクな目に合わない。
分かっているのに、ついつい可愛がってしまっていた。
仕方ないなと面倒を見ていたが、居ないとこんなに寂しいと思うなんて、俺の方が依存してたんだなと苦笑した。
残念に思いながら、また月を見ながら歩き出す。
「おわっ!!」
足元の何かに引っ掛かってコケてしまう。
「あ、ごめんなさい!俺、腹減ってて……」
電柱に背中を預けてうずくまってる男が居た。
「あ!尚哉だ!」
何で俺の名前知ってるんだ?!と問いかける間もなく抱き付かれた。
「俺、ずっと待ってたんだよー!お腹ペコべコだよ〜!!」
え、ちょっと待って!!どういう状況?!?!
ベリベリ!と音がするかの勢いで男を引き剥がす。
「俺、お前の事、まっっっったく知らないし!!いきなり抱き付かれても困るんですけど!!」
「えー?!酷い!!毎日会ってるのに……。いつもくれるご飯楽しみにしてるのに……」
まるで子犬の様にシュンとしてる姿に何か悪い事をしたみたいだ。
……ん?言ってる事に引っ掛かりを覚える。
「毎日会ってる?いつもくれるご飯……??」
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