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第1話

乙女ゲームが好きな彼女は、俺と会うとき、時間くらいの半分をその話に費やす。 交際をはじめたばかりで、まだまだ浮かれている時期とあり、興味がなくても「ああ・・・熱をあげて一生懸命に話すのがかわいいなあ」と鼻の下を伸ばしてでれでれ。 たまにヒートアップしてまくしたてるのは憎き悪役令息について。 ゲームで断トツに人気が高い美麗で魅力的な王子五人、妻を亡くしたセクシーイケおじの王を攻略しようとすると、必ず立ちふさがるという。 「金と地位がほしいだけの強欲で卑しく浅ましい女だ」とまわりに吹聴。 人を言葉で扇動するのを得意とし、その手口が巧妙なものだから、悪評を途絶えさせるのは非常に難しいらしい。 「ほかのキャラを攻略するときは出張ってこないのに! 王家に近づこうとすると、徹底的に妨害してくるから、わたしまだ一人も落とせていないんだよ! ほかのプレイヤーさんもかなり苦戦してるというし! あの悪役令息、ほんとうは王家の人を手玉にとて、美しい王子とダンディな王を独り占めしてるんじゃない!」 「いやいや、乙女ゲームでそりゃないでしょ」と宥めたのが、まさか当ゲームに俺が転生してしまうとは。 といってもメインキャラでなく、ゲームでは名もなき顔もなき従者のモブ。 それはいいとして仕えているのは、なんと悪役令息が住む屋敷。 「いじめぬかれてボロ雑巾にされる!」と慌てて転職しようとしたが、どうもほかの従者がいうにはゲームとちがうよう。 ある日、青天の霹靂のように改心をして、今まで迷惑をかけた人々、ヒロインにも詫びてけじめをつけ、以降「寛容な人格者」と評判で、まわりから慕われているのだとか。 従者に対しても「今まですまなかった」と頭を下げてまわり、もったいないほどの厚待遇をして働きやすい環境を整えてくれ、いつも労い気遣ってくれているとのこと。 実際、廊下ですれちがったとき「やあ、ごくろうさま」と親しげに声をかけてくれた。 ただ、虚ろな目をして顔色も優れず。 「まさか、なにかご病気なのか?」とまわりの従者に聞いたところ「じつは・・・」と教えてくれたことには。 王家に呼ばれるようになってから、心労がたたっているように見えるという。 悪役令息は妨害工作をやめたはずで、ヒロインにしろ幼なじみの侯爵令息と結ばれそうになっているというのに、どうして王家と距離を縮めているのか。 改心したふりをして悪巧みしているのかと考えるも、ひどく憔悴しているあたり、そうは見えず「ああ、ご主人さま、一人で抱えこまないで」と心配になるほど。 王家とのつながりが気になりつつ「屋敷では心安らげるよう気を配ろう」と心して仕事に励んでいたところ。 その日は徹夜して屋敷の隅から隅まで見回り。 このごろ貴族の屋敷に泥棒がはいる事件が多発しているに警備の一環で。 カンテラを持ちながら階段を上って、悪役令息の部屋のまえに差しかかろうとしたとき。 「くう、うう、ひいぐああ!」と叫びが聞こえ、てっきり強盗が押しいって襲いかかっているものと思い「ジルさまああ!」と部屋にとびこんだ。 果たして、ベッドに寝そべり寝巻きを乱して、黒い布で目元をおおい、足を広げて、尻に木製の男根を突き立て、赤ら顔で泣く悪役令息を発見。 愕然とするのもつかの間「も、もももも、申し訳ありません!」と頭を深々とさげて、そのまま退室しようとしたら「ま、待って!その声、ギリーだろ!」と切羽詰まったような声。 「そ、その、て、手伝ってくれないか。 自分ではあまりうまく動かせなくて・・・」 「もちろん、断っていいし、このことで罰は与えないから」と頬を赤く染め、涎を垂れ流しに息を切らす悪役令息の言葉を信じていいのやらどうやら。 ひどく困惑しつつ、その誘いに惹かれないでもなかった。 目を布でおおい、だれを想像して自慰しているのか気になったし、王家と関わりがあるかもしれないし、前世の彼女の言葉とリンクしているように思えるし。 しばし考えてから「か、かしこまりました、失礼します・・・」とおそろそるベッドへ。 「これを、乱暴に、引いては突っこんでくれ、お願いだ」と切羽詰まったように頼まれて、鼓動を跳ねあげながらも、指示どおりに力をこめてじゅっぶじゅぶ! 男相手に性的なことをするのははじめてだし、大人のおもちゃの使用経験もさほどないが、腰を跳ねる悪役令息はあんあんご満悦そうで、先走りを溢れさせてやまず。 ほっとする間もなく「お、お願い、よ、夜這い、夜這いして、襲っているみた、にい、してえ・・・!」とさらなる、おねだり。 「うまくできるかな?」と不安になるも「や、やあ、こんなあ、寝ている、ときにい、はう、ふうああ!」と悪役令息はのりのり。 ふと思いつき「そんなにこわいなら、やめます?」と男根をストップ。 目隠し越しに睨みつけながら、もどかしそうに腰を揺らして「あ、ああ、く、んん・・・」と浅く埋められた男根をしゃぶしゃぶ。 「ほんとうは夜這いされるの期待して待っていたんじゃないですか? 俺が部屋の前を通るのを見計らって、はしたない喘ぎを聞かせて、回りくどく誘っちゃって、まあ」 「や、やだあ、ちがあ・・・」と泣きじゃくって顔ふるのに「嘘つき、体は嘘をつけないですよ?」と急激に男根をドリルのようにねじこんで、奥をえぐるように突きまくり。 ほんとうに体は正直で「んひいい!」と射精して、あとはずっと噴きだしっぱなし、もうひとつ木製の男根をとったなら、口に咥えてしゃぶりつく。 うしろとまえを同時に偽の男根で犯されて恍惚とするようにヨがるのに、すこしむっとして「男に夜這いされて、そんなうれしいですか」と刺々しく告げ、寝巻きから覗く乳首を舐めて吸って口づけ。 「う、うれし、わけじゃあ!お、俺だって、はじめ、はあ・・・!」となにやら弁明するのが余計に苛ただしく、精液だだ漏れの先っぽを絞めつけ、乳首をかるく噛むと「や、やあ、止め、られるとお、んふ、くうう、んあああ!」と空イキしたよう。 さっき廊下で聞いた喘ぎは痛々しかったのが、今は鼓膜がくすぐったいほど悩ましく、見目麗しい青年の悪役令息の痴態は目が眩むほど卑猥。 俺の息子がズボンを裂かんばかりに突きだすのを宥めながら「はじめはって、ほんとうに 夜這いされたこと、あるんですか?」と呼吸を乱して問いつめる。 「そ、それは・・・」と口にしたきり、顔をそらして無言。 黒い布越しにその視線が木製の男根に注がれているようで、胸がむかむか「俺なら」と武者震いする息子を剥きだしにし、悪役令息の足を持って広げる。 さんざん木製の男根で荒らされ濡れたそこに「お望みなら毎晩、夜這いしてあげますけどね!」と一気に奥まで押しこんでぐぶぢゅうう! きっと木製の男根で想像していた相手より、見劣りするしテクニックも敵わないし、同時にまえとうしろを咥えさせてあげられないし、胸をときめかせられないだろうが「ジルさま、ジルさまあ!」と誠心誠意をこめて情熱的に腰を打ちつける。 「んあ、ああ、ああ、ふああ!ど、どしよお、従者に、夜這い、されて、こんなあ・・・! も、もお、んふう、ど、すれば、いいのお・・・!でも、でもお、体は、どしてもお、ひぐうう!」 喘ぎ混じりになにや葛藤して迷っているらしい言葉が途切れ途切れに。 あんあんメスイキさせつつ、吸いつき絞めつける具合がよく、夢中に腰を強打。 が、ふと前世の彼女の発言が甦って。 「あの悪役令息、ほんとうは王家の人を手玉にとって、美しい王子とダンディな王を独り占めしてるんじゃない!」 まさかと思うと同時に「やっぱ、やばあ、夜這い、いひいい!」と強く圧迫したのに耐えられず「う、くうあ・・・!」と注ぎこむと「ああ、しゅごお、いっぱああ!」と大変、おきに召してくれたようで、俺の腹に潮をとびちらした。 射精したことで、すこしはクールダウンして、今さら「しまった!」と血の気が引く思い。 「も、ももも、申し訳ありません!」と慌てて引きぬくも「ああう・・・」とすっきりとした顔をして悪役令息は熟睡。 「やっちまったー」と後悔しつつ、丁寧に後処理をし、深々と頭をさげてから退室。 翌日、よくて屋敷を追いだされるか、最悪、処刑されるかと思ったのだが、朝に起きてこず。 昼も起きてこないで、それはそれはそれで気が気でなかったところ執事から「ジルさまがお呼びだ」とご指名が。 生きた心地がしないまま、部屋に行ってみると、悪役令息は疲れたようにベッドに寝そべりながらも、前より顔色がよく、陰鬱さがうすれて、どこか清々しい表情。 「すこしは元気になったのか?」と胸を撫でおろすも、すぐに昨晩の狼藉について謝罪しようとしたら「わたしがお願いしたのだから、どうか頭を下げないでくれ」と仏のようなほほ笑み。 「それで、その・・・きみがいやでなければ、これから、たまに夜、つきあってくれないか?」 王家と関わることなのか、なにか思い悩んでいるような彼が、俺が夜這いすることで気が紛れるなら、お任せあれといいたいところ。 「いや、いっそ、このまま奪ってしまって、結婚させないで屋敷にいつづけてもらおう」と胸のうちで決意をし「いいですよ」とにこやかに応じたのだった。 「悪役令息になった俺が夜這いされてどうする」のおまけの小説。 元ネタの小説は電子書籍で販売中。 詳細が知れるブログのリンクは説明の下のほうにあります。

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