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第1話

見目のいいもののふは、その場で殺されず、総大将の鬼の根城へつれていかれて辱められる。 世にはびこる魑魅魍魎と戦ううちに、そんな噂が耳に。 「鬼が女ではなく、男を?物好きな」と一笑に付したのだが、実際に戦場で殺されないで引きずられていくもののふを何回か目撃。 たしかに整った顔立ちばかりで、目撃したのを最後に生者としても死者としても見かけず、行方不明のまま。 「噂はまことか」と胸騒ぎがして、昔なじみの友である清正に忠告を。 「狙われるのは容姿が優れたやつだろ?わしに注意をするのはお門違いじゃ」 あいにく清正は自分の容姿端麗さに無自覚。 孤児ながらに天子さまのお気にいりとあり、まわりからやっかまれ貶められ、おかげで自分を卑下しがちなのだ。 これまで、いくら思いこみを正そうとしても無駄だったに、今も馬の耳に念仏。 こうなっては我が目を光らせ、攫われぬよう守るしかあるまい。 決意を新たにする我の思いなどつゆ知らず「ああ、だとしたら天子さまが危ういな。命に代えてもお守りせねば!」と意気ごむ清正。 少少、嫉妬しながらも、その言葉に同調しなければ、余計なことも口にせず。 そんなやりとりを経ての戦場。 今までに増して神経を尖らせて、清正と背中を預けあい奮闘。 二人とも剣の腕が立つから、襲いかかる魑魅魍魎を難なく切り払っていたのだが、戦況は予想を裏切りつづけ展開するもの。 もののふと物の怪がいり混じった群れが押しよせて、俺と清正は引き裂かれてしまい。 その大波にもまれながら「清正!清正あ!」とどんどん押し流される彼に向かい、かき分けていく。 清正も俺へと手を伸ばしたものの、人混みに飲みこまれて視界から消失。 ぞっとし、死に物狂いで突き進み、群れから跳びでたところで、小鬼四匹に引きずられる瞑目の清正を発見。 もちろん、すぐに追いかけたが、行く手を阻み強襲する物の怪たち。 小鬼が十匹ほど跳びかかってきたり、大蛇が体に巻きつき絞め殺そうとしたり、天狗が扇子をふって遠くへ飛ばそうとしたり。 それらを容赦なく切り捨て、血を浴び負傷しながらも、清正を攫う小鬼たちをどこまでも追跡。 どれだけの距離をどういう経路や方向で走ったのやら。 戦場からかなり離れた見知らぬ土地の岩山に踏みいり、暗い洞窟の中へ。 はいってすぐに、両脇に等間隔に並ぶ松明が。 延々とつづくような、松明の列の間を小走りにいき、そのうち見えてきた突き当りの障子戸。 障子には奇怪な形をしたものの影が蠢き「や、やめ、やめろおお!」と絶叫が洞窟に響きわたる。 疲弊して意識を朦朧としていたのが「清正!」と目を見開き、障子戸を開けようとしたところ。 急に体を地面に押しつけられた。 我の体を押さえつける巨大な手、その指の隙間から見あげれば巨体の鬼。 我の視線に気づき、鼻息を吹いたなら顎をしゃくって障子戸をすこし開ける。 慌てて隙間から覗けば、小鬼に群がられ、淫らに悶えて喘ぐ清正が。 数えきれない小鬼たちは、甲冑を剥ぎとり着物を破いて、体をくまなく撫でて揉んで引っかいて舐めて吸って噛みまくり。 俺に向かい、足を開いているから、無数の小鬼たちに股間をまさぐられ、しゃぶられて、胸の突起に男根の先端を当てられ揺すられるのが、よく見えてしまい。 生唾を飲みこむと同時に目が合って「ああ、そんなあ、くう、やめろ、やめてくれええ!」と悲痛に泣き叫びながら、白濁の液体を溢れさせる。 「ち、ちがう、わたしはあ、もののけに、快楽、など!あ、ああ、くああ、や、やめろお!ちがう、というにい、んん、んあああ!」 男にして、ときに男の目を眩ませるほどの美麗な顔にして色香を放つ清正だけに、泣いて乱れるさまは、場ちがいにも艶めかしい。 が、見惚れたのも一瞬のこと。 もののふとしての矜持が踏みにじられるのを放っておけず、暴れて鬼の手から脱出しようとしたが、さらに強まる圧迫感。 あばら骨や背骨にひびが入ったようで、それでも這いずりでようとしたら、握りつぶさんばかりの力が。 「ぐうう・・・!」と体の力をぬけば、握力も弱まる。 「ほかに手はないか!?」と考えを巡らせる間もなく「くそお、やめ、尻に、そんな、いっぱあ!」と悲鳴が耳を打ち、また障子戸の隙間に目を。 四つん這いにさせられた清正の尻に小鬼たちが群がり、無数の舌と指を埋めこんでいるよう。 ほかの小鬼たちは体の下にもぐりこみ、継続して一物や胸を弄んでやまず。 小鬼たちの頭や指から覗く一物は白濁の液体を漏らさず、痙攣するばかり。 といって、さきほど以上に清正は狂ったように快感に痺れているように見え、だからこそ「み、見るなあああ!」と魂の叫びをあげるように懇願を。 「もののけに、けがされる、俺を、見たら、お前の魂もお!おう、おふう、く、はあ、お、お願、だあ!天子、さまには、俺が、死んでも、このことはあ・・・!あぐう、ふあ、あひいい!」 喉が潰れんばかりに悲鳴をあげたら、ぐったりして、どれだけ小鬼たちが触り舐めても反応は小さく。 痛ましいさまを見ていられず、骨の激痛にかまわないで「清正、逃げろ!逃げてくれ!」と訴えたら、にわかに鬼の手が離れて。 「今だ!」立ちあがろうとするも、清正に群がっていた小鬼が障子戸を倒して一斉に俺へと。 数えきれない小鬼が体にのしかかり、結局、動けず。 歯噛みしつつ室内を見やれば、胡坐をかいた鬼が頭を垂れたままの清正を持ちあげ、その尻に巨根を突き刺そうと。 「は、入るわけ、や、やめろおお!」と命乞いするように訴えることしかできない我を小鬼たちは嘲笑。 もちろん巨体の鬼も聞く耳を持たず、巨根を埋めこもうと無理矢理に。 先端をねじこまれ揺すられ「はう、んん、ああう、ふひいい・・・!」としばし悩ましく体をくねらせはしたが。 じれったくなってか、勢いよく体を降下させ、同時に腰を突きあげ、鬼とあっての怪力ぶりに、股から裂けて体が真っ二つに。 大量の血潮を浴びた鬼は舌なめずりをしたなら、痛快とばかりに高笑いをし、俺を押しつぶす小鬼たちもけらけら。 あまりに悲惨な清正の最期を受けとめきれず、放心する我の頭に鬼たちの笑いが刺刺しく響き、耐えられないで目を瞑ってしまい。 「重定!」と揺さぶられて瞼を跳ねあげた。 目の前には体が真っ二つになっていない清正が。 「もうすこしで出陣だぞ・・・って顔色がわるいな?夢見がよくなかったのか?」 噂に惑わされて悪夢を見たのだろう。 と分かっていても、無傷の清正を見ると胸が揺さぶられて、思わず抱きしめようとしたところ。 「て、天子さま!」と床にひれ伏す清正。 慌てて我も頭を垂れれば「面をあげよ。二人とも健闘を祈っておるぞ」と微笑みかけ、背を向けて去っていかれた。 天子さまのありがたいお言葉をいただき、感極まったのか、清正は震えてひれ伏したまま。 一方で我はすこし顔をあげて遠ざかる背中を見たのだが、ふと振りむいた天子さまが含みのある笑みを。 細めた瞳はひどく冷たく、悪夢の鬼たちの哄笑が甦って、心臓が凍りついたものだ。 元の小説「鬼退治のゲームオーバーは屈辱的で死よりも救いようがない」は電子書籍で販売中。 詳細を知れるブログのリンクは説明の下のほうにあります。

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