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第1話
矢代 仁、二十代半ばにして映画ドラマ舞台に引っ張りだこの俳優。
芝居の技術を評価されながらも、素行のわるさが目立ち、世間の好感度は低い。
きっかけは共演したアイドルに「その腐った根性を治せないなら、とっととアイドル辞めろ!」と罵ったこと。
激怒したファンとマスコミに叩かれまくるも、以降、大物俳優、世界的映画賞を獲った監督、有名プロデューサーに悪態を吐きつづけ、そのたびに炎上。
それでも仕事のオファーは絶えなかったが、今年発表された「キライな芸能人」の断トツ1位に輝くという事態に。
そんな悪名高い矢代仁のマネージャーに俺が抜擢。
憧れの俳優、彼のいる事務所に就職できて万々歳だったのが、まさか初仕事でとんだ外れくじを引かされるとは。
果たして、仕事をしだしたら、噂どおりの口のわるさ。
ちょっとしたミスをしただけで「仕事に対する気合が足りていない証拠だ!つぎ、同じ舐めた態度とったらクビにするからな!」と超高圧的説教を噛ましたもので。
これじゃあ、マネージャーがどんどん逃げるのもうなずけるが、俺はかなりの負けずぎらい。
相手の当たりがきついほど「なにくそ!」と食らいつきたくなる性分。
「すこしの、いちゃもんもつけられないほど、完璧にこなしてやる!」と躍起になって仕事にまい進。
おかげで「若いのにいいマネージャーだね」と評判になったものを、矢代の厳しい指摘や注意は相かわらず。
対して「こっちはこっちで考えているんですよ!」と負けじと刃向かうようになり、俺らは毎度、怒鳴りあうように打ちわせを。
まわりは見ていて心臓がわるくなるらしいが、すくなくとも俺は「えんりょなく意見をぶつけあうのはいいこと」と捉えていたし。
まあ、アイドルのファンに殺人予告をされても、けろりとして仕事をしていたという矢代にしろ、屁でもないだろうと思っていたのだが。
撮影が終了し、矢代を家まで送り届けようとしたとき。
車に乗ろうとした矢代の頭に卵が投げつけられた。
「あんたに罵られてから、もっちー、演技の仕事してないの!
どう責任とってくれるのよ!」
声のするほうを見やれば、五六人の女の子の塊。
「もっちー」とは例のアイドルで、彼女らはファンなのだろう。
もちろん俺はマネージャーたるもの、彼女らを宥めようとしたが「ははは!」と癇に障る笑いが。
「よかったじゃねえか!腐った大根だとばれるまえに、引っこんで!」
ぎょっとする間もなく、矢代の頬を石がかすめて。
怒り狂ったファンが石を投げだしたに、慌てて矢代を乗せて発車。
車中で「どうして、彼女たちを煽るようなことを!」と責めるも、卵を頭につけたままうな垂れて、だんまり。
「いつもなら、憎たらしい口をきいて笑いとばすのに」と調子が狂い、俺も口を閉じて運転。
マンションに到着しても顔を伏せ、ふらふらしていたに、寄り添って部屋につれていき。
ソファに座らせ「明日はオフだから、しっかり休んで」と声をかけ去ろうとしたら、腕を引っぱられソファに押し倒された。
一瞬、殴られるかと思ったのが、ところがどっこい、顔中に口づけを。
寂しい思いをした犬が、やっと帰ってきた飼い主の顔を舐めまわすような。
キライな芸能人1位になったとき「光栄です」と皮肉たっぷりに鼻で笑った、あの矢代が。
アイドルファンの襲撃如きに、心が折れそうになっている?
にわかには信じがたく、されるがまま、呆然としていたら、手で股間を揉まれて。
思わず止めようとするも、額をくっつけ「ねえ、俺のも触ってよ、お願い」としおらしく涙目で乞うのに、心が揺れてしまい。
生唾を飲みこみ、すでに張りつめているのをにぎりこんで、ズボン越しにしこしこ。
「ああ・・・」と悩ましい声を漏らしつつ、矢代も手を動かしだす。
負けずぎらい者同士「どっちが先にイかせられるか」との競争になるかと思いきや。
「ああん、いい、いい、もっとお、俺の、おちんちん、かわいがってえ」と矢代はヨがりにヨがって、あっという間に射精。
別人のように俺に甘えてすがってくるから、頭が混乱しつつ「か、かわいいかも」と呼吸と鼓動が乱れて。
「や、やっぱり、キラわれるの、辛いですか」とおずおず聞くも、応えずに「なにも、考えたく、ない」と俺のを手で絞めつけ、おねだり。
ギャップ萌えというか。
「もっと俺だけが知る矢代の顔を見たい」との衝動にかられ、ズボンをおろし、尻の奥に指を。
ぐちゅぐちゅとほぐし、拡張工事をしながら、さっきの問いの答えを求めたら。
「お、俺、命、燃やす、よう、仕事、したい、で、でも、みんな、そこまで、しなくても、って、呆れて、も、もっちー、もお、活動の、片手間、てえ、俺、俺え、寂しく、てえ」
聞きいる俺に「ばかあ、考え、たくな、のにい!」と叫び、焦ったようにズボンを脱がして。
ゆっくりと俺のを飲みこみ「あ、あう、ふああ」ともどかしそうに腰をゆらゆら。
寂しさを紛らわそうと必死な彼が、哀れで愛おしく「俺は、あなたを一人にしない!」と強烈な突きあげを食らわし、断続的にずっちゅずっちゅ!
「俺も、命を賭けるよう、あたなに食らいついて、仕事しますから!」
「はひい、ほ、ほんとお、俺、はじめ、から、おまえ、しゅきでえ、ああ、ああ、はあん、おちん、ちん、も、しゅきい、もっと、もっとお、俺、愛してえ、俺も、だいちゅき、だからああ!」
濃密な一夜をすごしたあとも「マネージャーとの不仲説」が流れるほど、俺らはお互い一歩も引かず喧嘩してばかり。
「このままじゃあ、心の病気になるんじゃあ」と親が心配したが、いやいや、むしろ心身は健康。
夜には俺を溺愛する「抱かれたくない芸能人1位」にもなった俳優をおいしく頂いている。
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