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DayOfWeek(5)

 その翌日、山本と1on1のMTGをすることになった。1on1は週に一回やってたんだけど、本来それをやるべき上司の佐藤と中村が今週立て続けに死んだから急遽ボスである山本がその対応をすることになって。だからといっても山本が全てを相手に出来る訳でもないから、俺が呼び出されたのはほぼイレギュラーみたいなものだった。  1on1なんてのは名ばかりで、内容は立て続いた佐藤、高橋、中村の死で俺に仕事の皺寄せが来たことに対するメンタルケアに近いものだったけど、その時鈴木が異動希望を出しているということも一緒に聞かされた。  山本のほうも昨日から人員補充の交渉をほうぼうに出しているらしくて、他部署からの応援が来るまではもう少しだけ頑張って欲しいという内容だった。結局のところ来週すぐになんて人員は補充されないから、半月くらいは今の状態で頑張れという意味合いの労い。  ――本当に、コイツは昔からこういうところ全然変わってなくて。  誰にでも良い顔ばかりをするけれど結局は自分のことが一番可愛い山本の話を聞く振りだけをしていたら、一瞬山本以外の声が聞こえたような気がして再び視線を画面の中の山本へ移した。 「清、聞いてるのか?」 「……聞いてますよ」  画面の中にいる山本の姿には何も異変が起こってなくて、流石に佐藤の件とか中村の件で俺も少しは神経が参ってるんだなってことを初めて自覚した。  山本の話はこれまで以上の責任感を持って仕事に取り組んでいって欲しいという内容で、こちらは佐藤の代わりの仕事も片付けなくちゃいけない手一杯の中、そんなことを言う為だけに態々呼び出して時間を拘束しないで欲しいと心底思った。  zoomの無料アカウントでは四十分間という制限時間あって、それが終わりかける頃山本は時刻を確認してから嬉しそうにこれから子供を保育園に迎えに行くから中抜けをすると口に出した。子供が生まれてからの山本はもう本当に子供のことが可愛いらしくて、俺から見ればそれはただの親バカにしか見えなかった。  最期に山本が俺に向けた言葉は「今度ゆっくり話そう」で、それはリモートワークではなく偶には会社に出社しろという意味でもあったけれど、そんな「今度」が二度と来ないことを俺は知っていた。  これからも人の少ない状況で頑張れと言った検討違いな労い、少し前に生まれたばかりの子供のことを嬉しそうに話す間、そろそろ保育園へ迎えに行く時間だと言っていた時、山本の背後にずっと黒い人物の姿があったからだ。 了

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