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第52話 離れて眠る夜10

 4ー10 エリザベス  「僕は、王太子になんてなるつもりはないですよ」  僕は、告げた。  そんな、しんどそうなこと、付き合うつもりにはならないし!  僕は、自由な町民でいたいんだよ!  だが。  王は、口許を歪めた。  「仕方がない。乱暴なことはしたくはなかったが」  王が合図をすると扉が開いて騎士たちがなだれ込んできて僕は、拘束された。  そして、僕は、王城の奥にある広い豪奢な部屋へと連行された。  騎士たちは、僕を部屋にいれると、ベランダと扉のところに立って僕を監視し始めた。  うん。  これって監禁?  僕は、扉のところに立っている騎士に話しかけた。  「僕をどうするつもりだ?」  「どうも、しません」  騎士は、畏まって答えた。  「あなたは、次期王となられるお方ですから」  なんですと?  僕は、信じられなくて。  正統な血筋の王太子がやらかしてしまって暴動がおきそうになってるのに、僕みたいなよそものを担ぎ上げてたらえらいことになるんじゃね?  まあ、僕は、こんなとこに拘束されたぐらいなんでもないんだけどね。  転移の術があれば、どこであれ逃げることはできるし。  ただ、いろいろややこしいことにはなりそうだ。  ここは、レイラスに相談するしかないが、僕は、家に近づくことができない。  仕方ないので、レイラスをここに呼び出すことにした。  集中してレイラスの気配を探す。  そして、その気配を手繰り寄せて。  突然、つなぎ姿のレイラスが部屋に現れた。  騎士たちが身構えるが僕は、それを手で制した。  「彼女は、レイラス王女だ!」  「なんと!」  騎士たちがざわめく。  「レイラス様?」  ぽかんとしていたレイラスが僕のことを睨み付ける。  「ルルシアお兄様?」  レイラスは、僕につめよった。  「なんで突然、姿を消してしまわれましたの?みんな、心配してますのよ!お母様も、それにアーキライト様も!」  レイラスは、なおも僕を責めた。  「それに、エリザベスちゃんも!エリザベスちゃんは、ご飯も食べなくなってしまって。アーキライト様がどんなにいい匂いがする薬草を用意してもまったく食べようとはしないんですのよ。かわいそうに、すっかり痩せ細ってしまって」  「エリザベスが?」  エリザベスの痩せ衰えた姿を想像して僕は、いてもたってもいられなくなっていた。  だが、もう、アーキライトに会うことはできないし。  思い悩んでいる僕にレイラスが囁いた。  「そっと、知られないようにエリザベスに会いに行っては?誰にも知られないいように牛舎に行けば大丈夫ですわ、ルルシアお兄様」    

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