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第12話

宇井と本社近くのホルモン焼きで夕食をとった帰り道、彼と過ごした時間を振り返る。 からかうと、すぐに顔を真っ赤にして怒る宇井が可愛い。 味覚はまるで子供みたいで、苦いものや辛いものが苦手らしい。 ビールも苦手なのに、同期会や会社の飲み会では、周りに合わせてビールを頼む。 バカにされたくないという理由だから、ますます可愛い。 宇井と一緒に過ごす時間が、俺にとって一番心地よい。 今まで誰かといて、こんなに自然体でいられたことなんてなかった。 そんな穏やかな気持ちで家に帰ると、玄関には彼女の靴が置かれていた。 重いため息が漏れる。

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