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第1話
大学の俺の同級生、兎田は名のとおり兎のように愛らしい。
大学三年生で成人しているはずが、身長は一五○センチしかなく、かわいい顔つきをしているから中学生のよう。
そりゃあ女子は「弟ができたみたい」もてはやし、いつも兎田を囲んできゃぴきゃぴ。
女子だけでなく男子にも慕われるほど、無邪気であけっぴろげな性格をしつつ、謎めいた部分があって。
それが、いつも三角のニット帽をかぶっていること。
外にいるときは、どこだろうと何があろうと脱ぐことはなく、夏もかぶったまま。
曰く「病気で髪がうすいから」とのこと。
そのせいか、たまに二三日、休むことがあるものを、ふだんは学校生活を送るのに問題なさそうで、むしろ健康体で生き生きとして見えるような。
なにせインフルエンザに集団感染したとき、同じ教室にいた兎田はけろりとしていたし。
病気が嘘で、若禿を隠しているのか。
髪がうすい以外に、頭を隠したいなんらかの理由があるのか。
そう疑ったのと、ある個人的事情により調査。
講義が終わって、家とは反対方向にいくのについていったなら、なんとバニーボーイが接待をする店へ。
日を改め、変装して入店したところ、兎田が女物の水着のような衣装を身につけ、網タイツにヒールをはき、頭には白い二つの耳、尻には丸い尻尾を生やしていた。
成人しながらも見た目が中学生だから、目のやり場に困るような。
合法で犯罪的な接待を受けられるとあって、兎田の人気が断トツかと思いきや、そうでもなく。
長身の男前だったり渋かったりガチムチだったり、客の好みによって指名は分散しているよう。
あるていどのお触りはいいようだが、本格的な性行為は禁止。
そのはずが、ガチムチのバニーボーイが頬を染め瞳を濡らし息を切らして、乱れる衣装を手で押さえながら歩いていたのは、どういうことなのか・・・。
兎田なんか変態親父の餌食になりそうなものを、際どいことをすると犯罪っぽくなるからか。
客は小動物を撫でるように触れて、その割にたまに瞳を潤ませ太ももすりすりして、欲情して辛そう。
胸ポケットの中にある隠しカメラで、そのエロい顔もばっちり撮って調査終了。
翌日、大学にいったなら、女子に囲まれる兎田に顎をしゃくってみせ「ちょっと話があるんだけど」と人のいない講堂へ。
「は、話って?」とおどおどと聞かれて、机の上に写真をばらまく。
昨夜、バニーボーイの兎田を隠し撮りしたものを。
写真を見つめたまま硬直するのに「これを拡散されたくなければ」と告げたことには。
「くるみを冷たく突き放せ」
くるみとは、高校からつきあっている俺の彼女。
高校での交際は順調で、大学でもラブラブ学校生活を送れるものと思っていたら。
同級生に兎田がいたことで暗雲が。
彼女はとりまきの一人になり、兎田を追いかけるのに時間を割いて俺をほったらかし。
おまけに、まえより口うるさくなり、いちいち「兎田くんなら、そんなことしない」「優しい兎田くんをすこしは見習ったら?」と当てつけてくるし。
「お前はなにもしていないだろうが、彼女の感覚がおかしくなっているんだよ。
このままでは『兎田くんがいるから、あなたはもういらない』って別れを切りだしかねない。
そのまえにお前と距離を置けば、もとにもどって、俺と向きあってくれるはずだ」
「だから」と説得しようとするも、にわかに兎田は顔をあげてにんまり。
目を見開いた間もなく、首をつかまれて、すさまじい怪力でもって机に背中を叩きつけられた。
呻きながら見あげれば、頬を上気させ目をぎらつかせて舌なめずりをする、草食系でなく、ばりばり肉食系男子のような兎田。
あまりの豹変ぶりに呆気にとられると、股間に固く大きいのが押しつけられ「ひ」と肩をすくめる。
「きみが熱い視線を送ってくるから、薬を飲まなかったけど、正解だったね。
ねえ、ほら、俺といっぱいエッチしよう・・・」
いつも女子に囲まれ、下心皆無に可憐な笑顔をふりまいている兎のように愛いやつが。
まさか俺に欲情して、首をつかんで拘束し、なかなかのご立派な一物を擦りつけてくるとは。
頭を混乱しつつ「くう!やめろお!」ととりあえず暴れるも、首の絞めつけが強まって。
「首の骨折られたくなかったら大人しく」と中学生のような幼い顔で脅され、不覚にも怯んでしまい、手足をだらり。
兎田の気が済むまで、なんとかやり過ごそうと思ったが、なにせ溜まっていたから。
彼女が兎田兎田とうるさくなって長くご無沙汰だったし、その原因の当人の腰つきが巧みで「はあ、あ、くう、やめえ・・・!」と快感に痺れてしまうし。
水音が耳につきはじめ「お漏らしすごい」と笑われ、むっとして睨みつけたら逆効果。
中学生のような相手に股を濡らされている現状が目に跳びこんで「や、やめえ、く、うう、んんんあ!」とたまらず射精。
「く、くそ・・・!」と顔を逸らすも、ズボンと下着を脱がされてぎょっと。
まさかのまさか、股間に顔を埋めてしゃぶりだしたのが、どうしようもなく犯罪的な光景で「やめろお!」と思わず頭をつかむ。
引っぱって帽子を脱がせたなら、白く長い耳がお目見え。
「大学にも兎の耳つけているのか?」と思うも、ぴくぴく動くのがどうにも作り物でないような。
しゃぶられて「ん、ふう、んん・・・」と震えながらも、おそるおそる耳をつかむも、外れることなく。
「こーら、いたずらしちゃだめ」と先っぽを強く絞めつけられて吸われて「ひいいいん!」と空イキを。
そりゃあ「この耳はなんだ」と聞きたいが、口を挟む暇なく、先っぽをにぎられたまましゃぶられ、さらに尻の奥を指で突かれて引っかかれ広げられて、あんあん泣き叫んで悶えるばかり。
「ど、どいう、ことおお!この耳、お前、人間じゃ、んくうう!ああ、ああ、やらあ、そこ、やらああ!」
射精させてもらえずイかされつづけ、意識が朦朧とし、息も絶え絶えに。
耳に触れていた手を力なく落とせば、やっと兎田が顔をあげ、耳を揺らしながら微笑。
「これでぼくが帽子をかぶりつづけている謎と、バニーボーイのお店で働いている理由が分かったろ?
こそこそ調べなくても、聞いてくれればよかったのに。
まあ、こんな体でも、俺、かわいいから割とふつうに学校生活送れているけど、不便なこともあってさ。
兎と体質が同じで万年発情期なんだよね。
薬を飲んでおかないと、さっきみたいに凶暴に襲いかかってしまう。
かといって薬の副作用がひどくいから、あまり飲みたくないし、なにより性欲が満たされないんだよ。
おまけにぼくは女より、きみみたいな雄雄しい男が欲しいときたもんだ」
にやにやして胸を撫でられ、歯噛みしつつ、息子を膨張させてぶるり。
俺にそういう趣味はないはずが、兎の耳をつけた中学生のような男に興奮しているようで自己嫌悪。
顔をしかめたのを、どう受けとったのか「やっぱり、薬で抑えるんじゃなくて、エッチして発散するほうがいいよね」と笑みを深める。
先っぽから手を放したとはいえ、代わりに紐で縛って、かわいらしい顔に似つかわしくない巨根を誇示。
「や、やめろ・・・やめてくれ・・・バ、バニーボーイのことも、耳のことも、だれにも云わないから・・・!」
泣きじゃくって懇願するも「べつにばらしてもいーし、それに逆に煽ってるよ?」と兎の耳をぴんとして笑いかけ、容赦なく巨根で貫いた。
「はぐううう!」とすさまじい熱と射精感がこみあげるも、紐が阻止。
行き場を失くした熱が体の中を暴れまわるように快感がほとばしってやまず。
おまけに目を瞑っても、幼気なバニーボーイが俺を犯すさまが脳裏にありありと浮かぶし。
屈辱感と背徳感がない交ぜになって快楽に昇華し、腰を打たれるたび、どうしよもなく体が歓喜するのを止められない。
「や、やあ、やめて、くれええ!体があ、変、なるうう!」と悲痛な叫びをあげながらも、バニーボーイの巨根を旨そうにしゃぶしゃぶ。
「ああ、ああ、あああう!や、やらあ、中学生にい、犯されて、みたあ、で、俺、俺え、こんなあ・・・!おおう!おふ、おおん!も、もお、ちんこ、破裂しちゃあああ!」
注ぎこまれたと同時に紐が解かれ、瞼を跳ねて「おふううう!」と一見、いじらしいバニーボーイを見あげながら潮をまき散らした。
もちろん万年発情期の成年兎男は、これしきで満足せず「はは、ぼくたち体の相性がいいね」と即復活して、あらゆる体位で俺を犯したもので。
日が沈んでやっと解放。
ぎりぎりで意識を保ちうつ伏せに倒れる俺に曰く「きみとなら薬がなくてもやっていけそうだよ」と。
「だから、これからほぼ毎日、きみが相手をしてくれない?
相手をしてくれるなら、この講堂にはいったときから録音しているのを、彼女に聞かせないであげるよ」
急な脅しを飲みこめない俺に、胸ポケットから録音機をだして見せスイッチオン。
「くるみを冷たく突き放せ」と俺の声が。
すかさず手を伸ばしたものを「ざんねーん」とかわされてしまい。
「データーはこれだけじゃなく、家にあるパソコンにも送られているから。
さ、どうする?」
兎田の熱狂的ファンの彼女に聞かせたら、即アウト。
「バニーボーイの店のことや、耳のことばらしていいのか」と脅しかえしたいが、実際、二人とも暴露した場合、俺のほうがダメージがおおきい。
みっともない自分の喘ぎを聞かされては、選択の余地がないだろう。
「うかつに兎田に手だしするんじゃなかった」と悔いながらも「・・・分かった」と返答。
「脅されてしかたなくって顔しているけど、ほんとうかな?
兎の耳がある、中学生みたいなぼくに、また犯されたいと体が欲しているんじゃないの?」
涙目で睨みつけたものを、否定はせず。
それからは約束どおり、大学で兎田に凌辱される日日を。
毎日、ショタに犯される犠牲を払っているくらいだから、なにがなんでも別れまいとし、努めて優しくしたら「やっぱ、ショタより、大人びた男がいいよね」と傾きかけていた彼女の心を奪取。
ただ、彼女から誘われてもエッチをせず。
ぶっちゃけ、さんざん兎田に犯されているからか、彼女に欲情する気力がなかったし。
ショタのバニーボーイの巨根を咥えてヨがる体になってしまい、果たして彼女相手に勃起するのか、自信はなかった。
BL小説「万年発情期バニーボーイ」のおまけです。
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