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君におはよう

「朔…?」 スマホの向こうで少し眠そうな健太の声。 耳がくすぐったい。 「ごめん、起こした?」 「や、起きてた起きてた、つうかこれから寝るとこ」 「…仕事してた?」 「ん、納期キツくてさ。朔は何してた?」 「目玉焼き焼いて、レタスちぎって、クラッカーティッシュの上に出してた」 「…これから朝飯なわけな。つうかクラッカーは皿に入れてくれ」 君の笑い混じりの声。目に浮かんでくる優しい笑顔。 会いたいって喉まで出かかったのを引っ込めて言う。 「寝る邪魔してごめん。切るな? 仕事お疲れさま」 「うち来る? ごはん食べた後」 「………うん」 気持ちを見透かされた気がして、恥ずかしくて、でも嬉しくて。右耳、君にもらったピアスに触れながら返事した。 健太はフリーのデザイナーだ。納品後は資料だとか書類だとか飲んだ後のペットボトルだとかが散乱してる。 「片付け手伝うからさ、終わったら一緒に昼飯作ろ? そんで、食べて、昼寝しよ?」 「うん」 甘い気持ちで胸がフワフワする。 道中で昼飯の材料と君の好きな桃を買っていこうと思った。

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