1 / 1

第1話

大尉として前線から遠い本拠地で指揮をとっていたわたしが、各拠点を回ることに。 「内部の人間の報告では現状がつかみにくいのでな」との将軍の命令によって。 今は戦いが小康状態にあり、とくに危険に晒されず現地視察を順調に。 最後に足を運んだのが、もっとも激戦が繰り広げられている前線基地。 予想通り物資と人員不足がひどく、全体的に士気がさがっていたが、意外だったのは下っ端の兵士たちの奮闘ぶり。 戦況の悪化で割を食いやすい彼らにして生き生きとした顔をし、押しつけられた雑用だろうと粉骨砕身にとりくみ、戦いとなれば目を見張るほどの活躍をしてみせる。 そして彼らが輝かせる瞳を向けるのがガロン中尉。 いかにも高圧的で傲慢な上官といった、いかめしい顔つきに、威圧的な筋骨隆々の体をしながらも「軍神にして聖母」と崇められているとか。 戦場では部下を庇うように盾になって先陣を切り、一人でも死のうものなら自ら墓を掘って慟哭するという。 圧倒的戦闘力を持ちながら底なしに慈悲深いこの男一人で、壊滅しかけの前線基地は保たれているとのことだ。 人一倍、部下思いの中尉がとくに目をかめているのが、下っ端の若い兵士たち。 とあって、ほかの拠点とちがい、下っ端が躍動しているのかと納得しそうになったところで少尉から耳打ちが。 「ガロン中尉は、毎晩、やつらを部屋に呼んでいるのですよ」 わたしの報告によって、物資の補給や人員の補充がされる可能性が。 となれば、この卑しい顔をした少尉のように上官たちが媚びへつらってくるのだが、ガロン中尉だけ不在。 「戦場が今は落ちついているというのに、部下を伴い、危険なところまで見て回っているのです」らしい。 「毎晩」の話といい、わたしに目もくれず、部下の教育指導を怠らない姿勢といい、大変に気にいった。 なので、その夜、わたしの泊まる部屋へ、金魚の糞の少尉をやらせて呼びだしを。 ノックをして入室したガロン中尉は、ごつい軍服がそれでもはちきれそうに胸を張って「なにかご用でしょうか」と直立不動。 「らくにしたまえ」とあえて声をかけず「少尉から聞いたのだよ」と鼻を鳴らして告げる。 「毎夜毎夜、若い部下を部屋に呼び、よろしくやっているそうだな?」 かすかに肩を跳ねるも、それ以上反応をせず。 内心、くすくすしながらも「承知しているだろうが、我が将軍は風紀の乱れを快く思わなくてね」とさも嘆かわしそうに。 「同性同士の惚れた腫れた愛憎めぐる惨劇は、男女のそれより厄介で、内部抗争による自滅を起こしかねない。 実際にいくつかの拠点が自爆をするような事態になったし、スパイの工作で誘発されたこともある。 まあ、きみの場合は、その豊満な体で下っ端の若いのをかわいがり依存させて飼い慣らしているのだろうが・・・。 毎晩、しかも片っ端から若いのを抱いているとなれば、嫉妬憎しみ殺意を抱かせやすい」 「さて、このことを将軍に報告したら、どうなるかな?」と挑発的に笑うと、もう繕っていられず、苦渋の表情。 きっと飢えた野獣のようにに若い兵士の体を貪るだろう、ガロン中尉のような男を子猫を扱うように手玉にとるのはなんとも痛快で、熱い吐息を。 自分が抱かれるとは夢にも思わない、雄の本能を剥きだしの男をとことん愛でてやり、いじましい雌豚に落ちぶれさせるのが、わたしの趣味。 拠点の視察なんて、つまらない仕事をこなすうちのささやかな楽しみなれど、なかでもガロン中尉は逸材。 「さて、どう料理しようか」と考えている間、おもむろにガロン中尉が背を屈めていき土下座。 「どうか、このことを将軍に報告なさらないでください」と懇願しつつ「もう部下を抱きませんから」とは口にせず。 わたしも、そう誓うよう促さないで、磨き上げられた靴の先を頭上に差しだす。 「舐めろ」と命令すれば、一瞬、躊躇するも、眉間に深い皺を寄せつつ赤い舌を。 戦場で鬼のように敵兵を惨殺して血潮を浴びる男が、性的で侮辱的な行為を強いられるのを悠々と見下ろすのは大変、快い。 「わたしを見ろ」と命じられるまま、涙目で睨みつけ、赤い舌をちろちろ見せるのに耐えられずズボンを膨張。 もちろん彼が気づき、頬を引きつらせるのを見て、靴を後退。 奥歯を噛みしめるような表情で睨みつけるのを「あれを着なさい」と顎でしゃくる。 ソファの上に置いてあるのは女物の布面積が小さいビキニの白い水着。 ガロン中尉の体のサイズを目分量で測ってつくらせたもの。 水着を持ってみせた彼は、わたしに背を向けながらも首や耳を染めて震えて。 「く・・・!」と呻くも、潔く服を脱いであっという間に裸になり、水着を装着。 乳首が浮きでて、一物が布で隠しきれないからだろう。 こちらに振りむいたなら、手で胸と股間を隠したものを「どかしなさい」とは命じず、目を伏せて居たたまれなさそうに佇むさまをしばし鑑賞。 気が済むまで視線で全身を舐めまわしてから「床に仰向けに寝て、足を広げなさい」とズボンをもっこりをしながら冷ややかに命令。 不快感を露に顔をひしゃげて命じられたように動く間に、わたしも立ちあがり彼に接近。 覆いかぶされば、顔を背けられたものをかまわず、水着越しに乳首に吸いつき、強く握りこんでしこしこ。 なるべく声を殺すよう、漏れたとして「ぐう、うう、ぐふ・・・!」と野太く呻いて抵抗。 まあ、しゃらくさいもの。 これまで「はっ、俺が抱かれるなんて」とほざく傲岸不遜な野獣たちを、惨め極まりなく雌豚のように鳴かせてきたわたしに敵うはずがないというのに。 水着の布を十分に濡らしたら上体を起こして「ああ、透けていて実物より生生しいな」と呟く。 赤い肌を痙攣させ固く目を瞑るのにせせら笑い「ほら水着越しに胸を触ってごらん」と新たな命令。 拒むつもりか、固く拳にしたものを、ひどく時間をかけて手を胸に。 おそるおそる触っていたのが、すこしもせずに見せつけるように、つまんでもみもみ。 「どうせ命令されるから」とやけになってか「ん、ふぐう、うぐ」と相変わらず濁声で鳴き、でも、破れそうに張りつめて濡れた水着はびくびく。 それには触らずに、丸見えの尻の奥へ指を。 意外に柔らかく、早く二本目をねじこんで、屈辱にまみれて自ら乳首をいじりお漏らしをしまくる雄偉な男を目で愛でる。 初体験にしては反応が抜群なれど、強情にも唇を噛んで体を固くしたまま。 指を止めて「わたしを見なさい」ときつい口調で命令。 こんどはなかなか従わなかったが、焦らすように指でくすぐれば、ゆっくりと顔をあげて、震える瞼を上げていき。 わたしと目が合ったと同時に、弱いところを爪で思いっきりひっかいた。 「はぐうう!」と涎を散らしてみっともなく鳴いたなら、もうこっちのもの。 間髪いれずに三本飲みこませた指で奥を突いて突いて突きまくったなら「あうう!やめえ、やめろおお!」と拒絶の絶叫をしながらも、自らの指で乳首を愛撫してやまず。 「ああ、あ、ふ、風紀が、乱れる、なんてえ!や、やあ、大尉、殿こそお、こんなあ、あひいん!み、見るなあ、見ないで、くれええ、こ、こんな、こんなあ、情けなあ、俺を、おう、くうおお!」 「見るな」と叫ぶたび、乳首をつねってあんあん腰を跳ねるから可笑しいもの。 「見ているよ、体の奥までね」と耳元で熱い吐息交りで囁いたなら「うふおおう!」と雄たけびをあげてメスイキを。 「くそ、くそお・・・!」と悪態を吐きつつ、わたしを薄目で見つづけ、胸を触りつづけ、下の口でしゃぶりつづける。 態度と反応の不一致が、愉快でしかたなく、くつくつ肩を揺らして私のを剥きだし尻の奥へ。 それまで涙目で睨んでいたのが、怯えた顔つきになって頭を振り涙をぽろぽろ。 どんなに屈強で頑迷な男でも、いざ受けいれるとなると幼女のようにしおらしく泣くのが、毎度毎度、見物。 哀れむどころか、断然、高揚して、陥落しかけの惨めたらしいガロン中尉に「ああ・・・」とうっとりと告げる。 「毎晩、きみが抱く部下が、今のきみを見たらどう思うだろうね?」 目を見開いたと同時に、奥まで一息に突入してじゅぶぢゅうう! 直前の言葉に揺さぶられたせいもあるのだろう「っ・・・・!」と白目を剥くほどの衝撃を受けたよう。 丸々飲ませてしばらく動かなければ、意識がもどった顔つきになり、でも、だんだんと悩ましい表情に。 身じろぎするたびに「ん、くう、ああ・・・」と今までになく弱弱しい喘ぎを漏らし、物欲しげに見上げてくる。 すぐには応じてやらず「ここに呼び鈴がある」とそばにある紐に手をかけて、にこやかに脅迫を。 「これを引っぱれば、きみが愛する下っ端の若いのが、すぐに駆けつけてくるよ」 「それだけは!」とすがろうとし、わたしの要求を察して悔しげに頬を引きつらせる。 敵意剥きだしに恨みがましい視線を寄こし、でも「ど、どうか、お願いです、大尉殿・・・」とさも慇懃に。 「大尉殿の、性器を、わ、わたしの体の中に、どうか、お収めを・・・く、そ、そのご立派なので、部下を食い物に、する、わたしを、正して、お導きを・・・」 「よかろう」と舌なめずりをして、勢いよくぬいたなら、あらためて大砲のように打ちこみ、断続的にそれの繰り返し。 はじめは屈辱に苛まれて、顔に深い皺を刻んでいたものの、紐を引っぱるそぶりを見せれば、乳首をつねってみせ「もっと、もっとですう、大尉殿おおお!」と腰をふって媚びまくり。 ただ、そうやって下手な芝居をするうちに快感に翻弄されて頭も体も混乱したのだろう。 胸を突きだして、揉むのを見せつけ、わたしの息子をしゃぶりつくし「大尉、殿、大尉殿おおう!」と恋焦がれているかのように見つめて呼ぶように。 「ああ、はう、ああう、こ、こんなあ、初めてええ!大尉、大尉殿、のお、おちんぽ、お、おお、奥深くにい、んあ、ふひいい、しゅご、しゅごおお!ど、どおかあ、風紀、乱す、愚かでえ、淫らなあ、わたしに、もっとお、お仕置きを、ちょおだああ!」 「ふふ、時間が許す限り、お仕置きしてあげよう」とにこやかに返せば「あ、ああ、ああん、ありがとございましゅうう!」とあられもなく泣いて鳴いて、布を突きつけて潮をまき散らした。 すっかり屈服して雌豚に成りさがったガロン中尉は、うっすら笑みを浮かべたもので。 そうして滞在一週間、彼を隅々まで味わいつくした。 毎晩、部下を抱くのをやめない彼を、そのあと呼びだして、とりもどそうとした雄の本能を粉々にするように身も心も蹂躙して雌豚に貶める。 おかげで退屈な視察が大変、充実したものになり、褒美として「この基地の支援を最優先してもらうよう将軍に頼もう」と約束して、名残惜しくも去ることに。 兵士たちが整然と並び凛々しく佇んで見送るなか、何人か刺刺しい視線を寄こすものが。 ガロン中尉の夜伽をさせられているだろう下っ端の若いのばかり。 帰りの車中「妙だな?」と首をひねって考えこむ。 完全に雌豚になってしまうのをおそれて、彼は猛烈に部下を抱いたはず。 事後には腰が立たなくなり、息も絶え絶えになっただろう部下が、呼びだしを食らって部屋をでていく上官の行き先を気にかける余裕もないはず。 生真面目な彼が口外するはずもないし、太ももの内側につけた跡を、乱暴に抱かれる部下が見つけるはずも・・・。 そこまで考えて、なるほどと肩をすくめてため息。 車窓から前線基地を眺めながら思ったことは「支援の指揮を自分にさせてもらえるよう将軍に頼もう」と。 「すぐに舞いもどったあかつきには、あらためて、お仕置きしないとな」と笑みを深めて。 BL小説「中尉殿が貴様の体をご所望だ」のおまけの短編です。 元の小説は電子書籍で販売中。 詳細を知れるブログのリンクは説明の下のほうにあります。

ともだちにシェアしよう!