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第1話
幼なじみのタカオは小学生のころからモテた。
爽やかなイケメンだし、それでいて容姿を鼻にかけず、おおらかで快活だし。
ただ異性への扱いは下手くそ。
告白を断ったらストーカーされたり、別れた元カノに藁人形を送られたり、女同士のビンタ合戦に巻きこまれたり。
しょっちゅう女トラブルを起し、収拾がつかなくなって俺に泣きつく。
複雑な心境ながら、慰め励ましつづけたのが、まさか報われようとは。
社会人になっても友人づきあいがあり、その日は急にアパートにきて「マサトおお!」と大泣きして抱きついてきた。
宥めて話を聞くと、会社の女上司に迫られて拒絶したら、翌日、自殺したという。
「もうやだ!俺を裏切らないのはお前だけだ!」と泣きじゃくりながら、そのまま俺を抱いて、めでたく結ばれることに。
が、ハッピーエンドとはならず。
交際しはじめて一週間後。
忙しいなか、やっと逢引ができて、いいムードになった、そのとたん蛍光灯が破裂。
それからというもの、エッチな雰囲気になると物が破損してけたたましい音が。
鏡にひびがはいったり、コップが落ちて割れたり、本棚ごと倒れたり。
「き、きっと女上司の呪いだ・・・!」とタカオはすっかりノイローゼに、俺も心を病んでしまい。
略奪愛でないとはいえ、女上司の自殺をきっけに両想いになれたものだから、罪悪感を覚えるような。
とはいえ二人とも別れることは考えず「プロに見てもらおう」との選択を。
ネットで調べて探し、自己紹介が信頼できそうで、ユーザーの評価が高い霊媒師、鬼頭に依頼。
予約した時間に彼の経営する館に二人で赴き、事情を説明。
最後までうんうんと聞いていた鬼頭は「なるほど」と俺とタカオの背後を睨みつけた。
「結界の外に立っているメドゥーサのようなまがまがしい女が、女上司なのですな」
「やっぱり、俺らのそばにいるんですね!
だったら、どうにかしてください!
彼女の怨念で彼との仲を引き裂かれるのはいやなんです!」
「お金はいくらでも払います!」とすがるタカオに「いいえ」と重重しく顔をふる鬼頭。
「はじめに説明したとおりの報酬以上はいただきません。
そのうえで最善を尽くしましょう」
インチキ霊媒師なら、なんだかんだ理由をつけて金額を吊りあげていくだろう。
むしろ金銭のやりとりについて弁えているとなれば「信頼していいかも」と思った矢先。
「そ、それはありがたいですが、具体的にはどうするのでしょう」とタカオが聞くと「なに簡単なことですよ」と応えたことには。
「エッチをしたいなら、彼女の妨害を気にしなければいい」
唖然とする俺らを置いてけぼりに語りつづけて。
「話を聞いたところ、怨霊は直接あなたたちに手だしができない。
どちらかに憑依したり、まわりの人間に憑りついて襲うなど。
物を壊し音を立てるにしろ、きみたちに衝突させるなどはできないようだな。
相当な悪霊ではあるが、現実に干渉するのに制限があるのだろう。
エッチをして死ぬわけでないし、直接、妨害はされないのだから、多少、物が壊れてうるさいのを無視して愛しあったらいいさ」
ただでさえ話についていけないのが「ここで練習するか?」とさらに変な提案を。
「結界内だから、悪霊に邪魔されずエッチできるが、俺が混ざろう。
俺のことを気にしないでエッチできるよう、存分に練習したまえ」
「やっぱインチキか!」と思い「帰ろう!」と立ち上がるもタカオに手をつかまれて。
まさかの「彼のいう通りにしよう」との返答。
「はあ!?」と声をあげる間もなく、立ちあがったタカオに口づけされ、股間を太ももでぐりぐり。
暴れようとするも鬼頭に羽交い絞めされて耳をしゃぶられたり首を舐め上げられたり。
経験豊富なタカオの口づけに俺は弱く「ん、ふう、うんん・・・」と喘ぎを漏らし脱力を。
鬼頭に背中をもたれれば、Tシャツの下に手を侵入させ、乳首をいりじまくり。
あんあんびくびくすれば、タカオが口を放し、頭を下げていく。
ズボンと下着をずらして、濡れた股に顔を埋めてしゃぶしゃぶ。
ずっと異性と恋愛していたから舌づかいは拙いし、俺のほうが気が引けて、やらせないのが、いつになく貪るように。
たぶん胸をまさぐる鬼頭と張りあってのこと。
「やあ、だめえ、こんな、だめってえ!」と顔を振りつつ、お漏らしがだらだら。
ぶっちゃけ、乳首をつまんで引っぱられるのがたまらなくて。
すこし痛いのが好きなれど、タカオは男の経験はないから。
「痛くして」と求められないし、タカオもタカオで遠慮がちで、いちいち「だいじょうぶ?」と聞いてくるから、じれったく物足りない。
が、今のタカオは「ほらほら、俺よりよくしてやれよ、彼氏」と鬼頭に煽られるままがっついて、これまたたまらない。
乳首をつねられたなら耐えられず「んふううう!」と射精。
快感がすぎるあまり腰がぬけたようになったのを、鬼頭はゆっくりと床に寝かせて四つん這いに。
垂れる頭をつかんで、薄く開けた唇の隙間に巨根を押しつけて、容赦なく腰を強打。
恋人でない男の一物なれど、その荒っぽさがきらいでなく「んん!んくう!ふうう!」と即復活したのから先走りを垂れ流し。
もちろんタカオは指を咥えて見ていなく、尻の狭間に顔を埋めこみ舌をねじこんできた。
舌の挿入は初めて。
いつも指でほぐしてくれるが、おそるおそると動くのがもどかしく、自分で準備を。
今は準備をしてなく、固く閉ざされたそこをタカオに舐めまわされ指でかき乱され、すこし乱暴なのに「いい!すごく、いいいい!」と体は大よろこび。
二人が張りあって「俺のほうが気もちよくさせる!」「いや天国を見せるのは俺だ!」と快感を叩きつけるように与えてくるものだから、もはやキャパオーバー。
「んんんくう!」と人生初のメスイキ。
タカオの初エッチのときには、できなかったのが。
息を切らしながら「はあ、ばかあ、二人、とも、目的が、もお、ちがあ・・・」と訴えるも、聞く耳を持ってくれず。
体をひっくり返され、鬼頭に抱きついたら「お先にどうぞ」といった直後に、タカオの元気爛漫の息子が突撃。
「いい?なあ、いいのか?」とおどおどしていたのが嘘のように、強烈な突きあげを畳みかける。
鬼頭への対抗意識満点だが、突かれるたびに股が擦れあうし、熱い胸板に乳首が摩擦するしで、俺はヨがりまくり、インチキエロ霊媒師は「揺するほど、ちんこ同士しこって気もちいなあ」と挑発しまくり。
「くそお!もっと、もっと俺のほうがよくしてやるからな!マサト!
悪霊がどうした!硝子を割ろうと、マサトを愛するのを俺はやめない!」
まんまと頭に血をのぼらせ、恥ずかしい発言をしつつ、暴力的なまでの腰の強打の畳みかけ。
「ば、ばか、ばかああ!」と罵るも、破裂するように快感が体内で弾けてやまず、メスイキしっぱなしで鬼頭にすがりつき、あんあん大泣き。
「前も、後ろもお、やあ、だめえ、そんな、早く、しなあ、でえ!もお、除霊、しろよお!騙され、てる、のにい、どおしよお!気もちいよおお!」
奥深く勢いよく注ぎこまれ「初エッチよりずっとしゅごおお!」と潮を吹いてしまい。
で、終わりではなく、こんどは鬼頭に突き上げられ、タカオに抱きつきあんあん。
ただ、さすがに疲弊したのと過剰な快感を受けとめきれずに、途中で意識が朦朧と。
目を覚ましたのは風呂でのこと。
さすがに正気にもどったタカオが「ごめん、俺、どうかしてた」と尻の奥に指を深く埋めこみ、精液をかきだした。
謝りつつ、苛立ったような指づかいがわるくはなく「いい、からあ、しよお」と誘って第三ラウンドに突入。
鏡が割れまくって、風呂のお湯が荒波になったとはいえ、かまわず愛しあってフィニッシュ。
インチキ霊媒師は根本の解決をしてくれなかったとはいえ、男を抱き慣れていないタカオを焚きつけてくれたのだから、まあ、よしとしよう。
以降は、悪霊が暴れているかのように物が破壊され音が鳴っても、むしろ燃えあがって二人の愛を深めたものだ。
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