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第1話

チチチと小鳥の囀ずる音で目覚めた亜也乃は、今何時だろうとスマホを探すためにベッドのシーツに手を滑らせた。いつも枕元に充電器に繋がれたスマホがあるはずなのに、どれだけ手を動かしても目的のものに当たらず亜也乃はうっすらと目を開いた。ぼやけた視界を治すために目を擦ろうとするが、岩でも乗っているかのように身体が動かない。そんなに疲れていたのだろうか。ふと昨日のことを思いだそうとするが、黒く塗りつぶされた画用紙のように記憶に靄がかかっていて思い出すことが出来ない。ふと目線を下げれば胸に何か乗っているのが見え、重さの正体はこれだとシーツを少し捲れば見たことがないイケメンが現れた。 「だれ………」 あろうことかイケメンは亜也乃のパジャマを捲り上げ、乳首を口に含みながら眠っているようだ。強盗が腹を空かして亜也乃の乳首を吸いながら力尽きた…なんて考えにくい。それにふわふわな金髪の天然パーマで、目を閉じていても端整な顔立ちだと分かる。そんなイケメンが寝込みを襲ってくる可能性はひとつ。姉の恋人だ。3つ年上の姉の部屋は向かい側。泊まりに来た恋人が間違えて亜也乃の部屋に入ってしまったのだろう。納得した亜也乃はずっとしゃぶられていた乳首のせいでお腹の奥を疼かせているが、これは事故なのだと自分に言い聞かせた。しかし姉はメロンみたいな巨乳なのに間違えるか? 「彼氏さ~ん?起きてくださ~い、僕は姉さんじゃ…」 ペンペン頭を叩いていたら違和感。この男の頭越しに見える部屋に見覚えがない。自分の部屋の壁には恐竜のポスターが所狭しと貼られているはずなのに、綺麗な白いカーテンにスッキリした机。洋服タンスから服は飛び出しておらず、恐竜の模型もない。なにが起こっている?まさか知らぬうちに誰かの家にお邪魔したのだろうか。そんなバカな。 「………ぅ…」 「ひぁっ!」 男が身動いだせいで亜也乃の乳首に歯が当たってしまった。そのまま甘噛みされてしまい、舌でも舐められ亜也乃の心臓は激しく脈打っていた。寝ぼけているらしい男は、しつこく亜也乃の乳首を吸い上げ自身の昂りを亜也乃に押し付けてきた。 (こ、この人、おちんちん勃ってる…!?あ、朝だから仕方ないけど、押し付けないで…!) 自身の部屋ではないので姉の恋人ではない。友達にもこんなイケメンはいない。本当に誰だか分からない。しかし乳首を吸われペニスを押し付けられて黙っているわけにもいかない。やや強い力で男の頭をペチンと叩いた亜也乃は、顔を離そうと男の頬を両手で包んだ瞬間パチリと目が合った。美しい藍色の瞳に吸い込まれそうになっていた亜也乃は、男の顔がゆっくり近づいてくることに気がつかなかった。髪に指を差し込まれ地肌を撫でるように擽られたかと思うと、無防備な唇を奪われてしまった。唇を食まれている最中でも、亜也乃はされていることに理解が追い付かず男の頬を包んだまま目を見開いていた。 「アヤ…口を開けて、そう、上手だね」 口づけの合間に囁かれた男の声は、亜也乃の下半身を刺激するには十分過ぎて分けも分からず絶頂したような感覚に陥った。太ももを擦り合わせて漸く自分がズボンを穿いていない事に気づき、捲られたままのパジャマを引っ張ろうとしたが手首を掴まれシーツに縫い付けられてしまった。殆ど裸のような格好でベッドの上に男と一緒。自分が女の子だったら大変なことになっていただろう。なんて他人事、現在進行形で大変なことになっている亜也乃は口内をなぶられながら息も絶え絶えだ。 「今日は大人しいんだね?漸く俺のものになる気になったのかな」 「な……なにぃ………」 「いつもなら部屋に入るなり蹴り飛ばしてきたのに、ベッドに入ることも口づけも身体に触れることも許してくれた。真心が通じたのかな?」 なんの話だ。亜也乃は意味が分からず首をゆっくり横に振った。すると男は亜也乃の乳首を摘まみながら「どちらにせよアヤに触れるから良いや」と微笑んだ。本当に顔が良い。全く知らないはずなのに、どこかで見たことあるような気がしてならない。こんなイケメン1度見たら忘れないはずなのに。 「アヤを俺のものにしたいんだ。ここを許してくれるかい?」 「ここって……?あっ、いや、そこは...」 アナルの縁をなぞられ亜也乃は身体をビクつかせた。この男は亜也乃を抱くつもりだ。だがアヤと親しみを込めて呼ぶこの男を亜也乃は知らない。体格差のせいで亜也乃の力では、男を突き飛ばすことも出来ない。アナルに男の指が挿入されたのを感じ、いよいよヤバいと感じた亜也乃だが弱々しい抵抗は男を興奮させる材料でしかない。元から押しに弱いので姉の命令にも逆らえず、昨日もよく分からないゲームをスマホに入れられて... 「ゲーム……?」 ふと昨日のことを思い出した亜也乃は、姉から勧められた乙女ゲーム「サンタルチア」に出てくるキャラクターに目の前の男が似ている事に気がついた。名前はそうバルカスだ。バルカスには親友がいて、その親友の名前がアヤビス。バルカスには友情エンドしかなく、決して結ばれないキャラクターだと姉が言っていた。対してアヤビスは攻略キャラクターではなく、悪役令息としてヒロインやバルカスに嫌がらせをしてくる嫌われ役だ。追放することも出来るが、アヤビスを追放するとバルカスのルートが無くなるとか。そんなうっすらした記憶を思い出した亜也乃は、にわかには信じられないが自分はサンタルチアのゲームに入り込んだと仮説を立てた。夢だと信じたい一方アナルに感じる男の指の感触と乳首を吸われる感覚が夢ではないと告げている。奇跡的に名前が同じだった為一瞬訳が分からなかったが、アヤビスに亜也乃が転生してしまったようだ。 (こ、このゲーム、チュートリアルまでしか…やってなかったから…んっっ、どんなゲームかなんか分からないのに…あぁっっ…♡♡♡乳首やら、どうしてこんなに上手なの…♡♡お尻激しっ、だめ、イ…イく、イかされちゃ…♡♡♡♡) もしかしてすごくえっちなゲームなのだろうか。亜也乃は乳首とアナルの刺激だけでイってしまい、小さなペニスから控え目な精液を吐き出した。自分の腹を汚したそれを恥じる余裕もなく、間髪いれず引き抜かれた指の代わりに押し付けられた熱いモノに身震いした。待ってと口を開く暇もないくらい、ぬるぬるのアナルは男もといバルカスのペニスを飲み込んでしまった。 「はは…ついにアヤを俺のものに出来た…スゴいよアヤ、俺のが全て入ってる。苦しくない?キスしたいな、でもアヤの可愛い声聞きたいなあ…」 「ま、ぁ……♡♡♡待ってぇ…♡♡♡」 「聞こえないよアヤ、なんだって?」 「待って、おねがぃ……♡♡」 「早く?お願い?…アヤ、そんなに俺のが良かったのか。ああ、可愛いアヤ…一緒に気持ち良くなろう」 寝込みを襲われただけでも驚きなのに、初めて会った男にペニスを挿入されるなんて思わなかった。キスをしたのも初めてだし、乳首をしゃぶられたのも初めてだ。恋人のように舌を絡ませるキスをしながらアナルを突き上げられ、亜也乃はお腹の奥に力を入れた。両乳首を引っ張られたままクリクリ弄くられ、然り気無く亜也乃はイキ続けている。バルカスの腰使いが激しくなり、バチュバチュと結合部から水音が漏れ絶頂が近いことを告げた。気持ちいい場所をしつこく擦り上げられ、亜也乃は無意識に精液を搾り取るためにペニスを締め上げた。バルカスが低く唸ったと同時に息も出来ないくらい強く抱きしめられ、次いで体内を熱い迸りが逆流するのを感じた。 バルカスは暫く亜也乃の中に精液を塗り込む為に、ペニスを小刻みに揺らし最奥に挿入したまま亜也乃の身体を触り始めた。絶頂したばかりのため乳首は腫れ上がり、しゃぶられる度に中のペニスを締め付けてしまう。全然萎えないペニスに驚きを隠せない亜也乃は、抜いてくれと掠れた声で頼むが聞き入れないとばかりに唇を塞がれた。 「坊っちゃん、起床時間ですよ。お目覚めください」 再びバルカスの腰が動いた瞬間、部屋の扉をコンコンとノックされ起床時間だと告げられた。朝からセックスをしてしまい亜也乃はカァァァと顔を赤くし、ほぼ裸であるし精液や唾液まみれの身体をどうしようと焦ってしまった。返事をしなければ部屋に入られるかもしれない。どうしよう、ペニスは抜ける気配はなく両乳首は弄られたまま。舌だって絡まっていて、正直返事所ではない。 「坊っちゃん?熟睡されていらっしゃるのですか?」 部屋の扉が開かれそうになった瞬間、亜也乃はバルカスの口づけを無理矢理解き「お、起き…まし、たぁ…♡♡」と悶えながらも返事をした。その声に満足したのか扉は開かれることはなく「お着替えが済みましたら朝食を召し上がってください」と言われ、足音が次第に遠ざかって行った。声からして執事だろうか?アヤビスは悪役とはいえ令息、世話役がいても不思議ではない。だが、こんな姿を見られるわけにはいかないだろう。 「朝ごはん?ふふ、今食べているのにね。ここで」 「あぁっっん♡♡♡♡そこ、やっ…♡♡♡♡」 「アヤがこんなに感じやすいなんて思わなかったよ。常の君は隙も見せず怖い顔ばかりしていたから気づかなかった。乳首も大きくて感度もいい…こんな身体を隠していたなんて。君が望めばいつでも何処でも抱いてあげたのに」 「あっ……♡♡あっあっあっ…♡♡♡おちんぽ止まって……♡♡♡」 「ふふ、またイきそう?あまりイったら持たないよ?」 なにが?と聞き返すための言葉は、バルカスの口内に吸い込まれ再び激しいピストンで最奥を突き上げられ精液を塗り込まれた。漸く抜かれたペニスだが、まだまだ物足りないのか腹に付きそうなくらい勃起し天を向いてそそり勃っていた。あんな長くて太いものが入っていたなんて、亜也乃は無意識にお腹に力を入れたらピュッと中出しされた精液が飛び出した。 「ようやくアヤビスが身体を許してくれたのが、まさか入学式だなんてね。学校さえなければ、ずっとアヤを抱いていられたのに…アヤもずっと欲しかったよな?」 「む、無理……」 「まあいいか。今日から寮なんだから…それに学校でもデキるし」 アナルからだらだら精液が流れるのを亜也乃は静かに感じていた。唾液を飲まされるように唇を貪られ、最奥に精液を出しまくられ初めてが濃厚な思い出になってしまった。 ゲーム内容を懸命に思い出そうとしたが、サンタルチアは全寮生の学園が舞台のゲームだが誰かと恋仲となってもセックスまではしないはずだ。身体をバルカスに拭いてもらっている間考えたが、元の世界に戻る方法はゲーム通りの道を歩むしかないのだろうか。 アヤビス・ゴートン、ゴートン家の長男で甘やかされて育った為ワガママで高飛車。他人を蹴落とし陥れる事に罪悪感を抱かない暴君。それがゲームでの彼だ。そんなアヤビスと共に行動するバルカスは、腐れ縁だという表記だったが寝込みを襲ってくるくらいアヤビスに惚れていたのだろうか。だとしたら悪いことをした。亜也乃はアヤビスのような振る舞いは出来ないからだ。このままでは学園で出会うヒロインにもバルカスにも意地悪が出来ず、追放もされず言われるがままにバルカスとセックスする毎日になってしまう。もし元の世界に戻る方法が追放だったら、完全に詰んでしまったではないか。まず第一にバルカスに抱かれてはいけないはずだから。 「アヤの乳首見ていたら吸いたくなっちゃうね。ちょっと吸っても良いかな?」 亜也乃の了承も得ずに乳首にしゃぶりつかれ、アナルが呼吸するように収縮し始めた。パクパク動く様を見られたら、またペニスを挿入されてしまう。ダメだゲームが進まなくなる。 「ば、バル…カス、もうヤメ…」 肩を押した瞬間バルカスは勢いよく顔を上げた。藍色の瞳を見開いて亜也乃を見ていて、その頬は若干赤くなっているような気がする。 「名前、呼んでくれたの?アヤビスが…?俺の名前を?」 「え…?バルカス?」 「アヤが、ああ、アヤ…」 これ以上ないくらいバルカスのペニスは勃起していて、亜也乃は今自分は裸だからアナルは無防備な上中出しされたせいでぐちゃぐちゃなまま。すぐにペニスは挿入出来てしまう状況なため、アナルを隠すように足を閉じた。しかし嬉しそうに微笑むバルカスの口には亜也乃の乳首があり、アヤ、アヤと愛おしそうに名前を呼びながら舐めしゃぶられた。 (なんてえっちなゲームなんだ) 全年齢向けのソシャゲが、まさかこんなグロテスクなまでペニスを全面的に押し出しているなんて。アナルに出された精液は流れ続け、舐められまくった乳首は引っ込むことはない。バルカスに口内をしゃぶられ乳首を引っ張られながらも、なんとか着替えることができた亜也乃は今からアヤビスとして生きて行かねばならぬことに不安を感じていた。恐らく自分がアヤビスである限りバルカスとのセックスは続くだろう。何とか辛く当たって本来の関係に戻らないといけないのに、部屋を出た矢先ドアに押しつけられバルカスに唇を奪われてしまった。 「アヤ…」 低く囁かれてしまえば力が入らなくなる。亜也乃もといアヤは服の上から乳首を捏ね回されてしまい、このままではベッドに逆戻りしてしまう。現にアナルは濡れ始めていて、ぽたぽたと出された精液が太ももを伝う感覚があった。 「今日のアヤは本当に可愛い。なにか悪いことを企んでいたりするのかい?」 ずっと乳首を弄られているアヤは返事も出来ず、喘ぎ出す口を押さえるので精一杯だった。部屋から出てしまったせいで、誰がいるか分からないのにこんな姿見られたら。 「ちくび、やめへ……♡♡♡」 「それは無理だよアヤ。ようやく君に触れられるんだ。君の気が変わらないうちに触っておかないと」 「見られ、ちゃうから……♡♡♡♡あっっ♡♡」 「……アヤ、もう一回抱いても良い?一回でヤメるから」 ズボンの上からアナルをぐりぐり指で触られ、アヤは自分の身体が浅ましくもペニスを欲していることに気づいてしまった。 「おはようございますお坊っちゃん方。朝食の準備が出来ておりますのでお急ぎください」 身体の大きなバルカスのおかげで、アヤは死角になり何をしているかまでは分からないはずだ。先ほどセックス中に部屋をノックしたのはこの執事らしく、アヤはチラリと執事を盗み見た。少し長めの銀髪を後ろで結び、顔立ちの整った男であった。乙女ゲームだからか、登場人物の男性は皆カッコいい。しかしアヤは普通というか目は大きく可愛いタイプで、ヒロインに惚れられる要素はない。どちらにせよアヤビスは攻略キャラクターではないので、惚れられることは元々ないのだが。 「早く行こうアヤ。執事の雷が落ちる前に」 「う、うん…」 バルカスの言葉に素直に従うアヤを驚いた目で見ている執事だが、すぐにキリッとした顔に戻り「転ばぬようお気をつけください」と心配してくれた。

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