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第1話
俺と妹は顔がそっくり。
高校、大学とマドンナともてはやされた母親譲りで。
妹はともかく、俺は女顔なのがいやで、物心ついてから柔道を。
長くつづけたおかげで、大学生になった今は立派なガチムチ。
女装したら妹と見分けがつかない、なんて不名誉で面倒なことを避けられたのだが。
「女顔と筋肉が不釣りあいだ!」と野郎どもに嘆かれる一方、順調に見目麗しく育った妹はそりゃあ大モテ。
寄ってくる男どもと片っぱしから交際し、すぐに飽きて捨てるなんて遊び放題。
モテない俺はやっかみもあり「いつか痛い目に見るぞ」と忠告したものだが、まさか、その色恋沙汰に巻きこまれようとは。
大学からの帰り道。
暗い公園を突っ切ろうとしたら妹の元カレ、高野くんが待ち伏せを。
「どうしても綾乃と復縁をしたいんです!
彼女なしでは生きられない俺に、お兄さん、どうかご慈悲を!」
土下座して懇願するのに「いやいや俺は、あいつの恋愛に口を挟む気は」といくら説得しても顔を上げてくれず。
根負けして、とりあえず話を聞くためファミリーレストランへと。
俺はコーヒー、高野くんはコーラを飲んで一息ついてから、あらためて「きみ、あいつのどこが好きなの?」と切りだす。
「顏です!」と即答し、曇りなき眼でまっすぐ見つめるものだから。
冗談でもなさそうに「顔を見るだけでイけますからね!ほんと至高の顔です!」と賞賛しまくるのを、呆気にとられたまま見つめかえすことしかできず。
三倍目のコーヒーを飲んだころだろうか。
酒を飲んでないはずが、酔ったように目がくらくら。
「だいじょうぶですか、お兄さん」と肩を揺すられ「お、お兄さんって、いうなあ・・・」と応じたのを最後に記憶消失。
目を覚ますと、ベッドに寝そべっていた。
自宅でも自室でもなく、見知らぬ天井。
ひどく体が気だるいながら、あたりを見回せば、内装や雰囲気からしてラブホのよう。
そりゃあ「?」だが、もっと不可解なのは万歳した手首を拘束されていること。
縄が外そうと暴れていたら「お兄さん、おはよう」とシャワーを浴びたばかりらしい高野くん。
「どういうことだ!なにが狙いだ!」
「そんなの決まっているじゃないですか。
俺はその顔が好きで好きでたまらないんです」
バスローブの股間あたりがもっこりしているのに慄然。
「逃げないと!」ともがくも、コーヒーに薬を盛られたのか全力がだせず。
もたつく俺の顔を見おろし「はあ、いい、いい・・・!」と裾を分けて覗かせたそれから白濁の液体を飛散。
顔を見るだけでイけるとは、ほんとうらしく、しかも勃起したまま。
顔をガン見しながら鼻息荒くベッドに乗り、俺の足を開いて汚らしい一物を股間に食いこませ腰を揺らす。
さらにはTシャツをめくり「お兄さん、巨乳ですね」と胸を両手で揉み揉み。
妹の身代わりに犯されるなんて、こうなることを恐れ、心身男らしくなったのに。
「よく見ろ!俺には、ちんこがついてるんだぞ!」と喚くも「顔がよければ、男性器がついてようと別に」と一蹴。
ほかの野郎どもはグラビアアイドルの体と合成したり、顏から下を手で隠して見たりして「筋肉がなければ!」と天を仰いでいたのが、顏と体のギャップなんぞ顔至上主義の異常者は屁でもないよう。
「どうしたら止められるんだ!」と焦り、思いつく。
俺が無反応で萎えれば、相手も興ざめするのでは、と。
なんて考える間もなく「はあう!や、やめえ!そんな、強くう、くう、うああ!」と喘ぎを垂れ流しに、股をびしょ濡れ。
乳首を指で弾かれるたび「んん、んああ!」と先走りが溢れるし。
まんまと妹の代わりに犯されてヨがる俺を眺めつづける高野くんは、恍惚とした表情で射精しまくっているよう。
惨めさを噛みしめて睨みかえせば「いい、いいですよ、お兄さん・・・!」とより興奮。
「ああ、お兄さん、綾乃よりエッチでかわいい顔するもんだから、もう、俺え!」
遮二無二、擦りあげてくるのにたまらず「や、やだあ、やだって、ば、ばかああ!」と俺もついに射精。
ひどく不本意のはずが、体は快感に酔いしれているし、ときめくように鼓動が早まるし。
たぶん高野くんが、妹の代わりでなく俺自身を見てくれているのと「綾乃より」と褒めてくれたからだろう。
裏を返せば、これまで妹を通して見られるのが、いやだったのかも。
あらためて自覚するも、なんとなく認めたくないし「妹より?ほんと?」とうれしがっては、調子に乗らせるだけだし。
「は、はあ、こんな、こと、したって!虚しい、だけ、だぞ・・・!」
「いえいえお兄さん、ぜんぜん虚しくありませんよ。
むしろ綾乃とのエッチより顔面観賞を堪能して、甘い甘い快楽を味わってますよ」
「お兄さんの顔が素敵だから・・・」と熱っぽく囁き、胸を揉みながら尻の奥へ指を。
固いので濡れた股をぐちゃぐちゃにされながら、乳首を弄ばれ、尻の奥の拡張を進められる。
相かわらず高野くんがイきまくっている一方、俺も俺で視線がかち合うだけで射精しそう。
目をつむり顔を逸らすも「はあ、お兄さん、瞼閉じた、その顔、すっごい、淫らあ、くああ、はああう・・・」とうっとりと喘いで煽ってくるし。
「顔がいい」と褒められつづけ、体だけでなく心も陶酔してしまい。
「俺、綾乃より、お兄さんの顔のほうが、好きかも」なんて告げられた日には、心身が感極まって「やあ、やひいい!」とメスイキ。
これ以上、褒め殺しにされたら狂ってしまいそう。
不安になって、今更「わ、わかった!」と提案。
「綾乃と復縁できるよう手伝うから、だから・・・!」
最後までいわせてくれないで「いいんですよ」と高野くんの精液まみれの息子が押し当てられ痙攣。
「綾乃より、お兄さんの顔が、俺、大好きになってしまいましたから!」
熱烈な告白をするとともに、最奥まで一気に埋めこんだ。
「らめええ!」と泣き叫ぶのとは裏腹に心身が大歓喜して「うふおおお!」と潮を吹いてしまい。
「お兄さんの、顏、大好き!はあ、お兄さん、顔を、愛してる・・・!死ぬその瞬間まで、お兄さんの顔、見ていたい!」
腰の強打に合わせてラブコールを畳みかけられ、体内で快感が弾けてやまず、胸が痛いほど、きゅんきゅんしてやます。
「く、くそお、あああう!顔、だけ、好き、なんてえ!中身、関係な、くふああ!こんな、下衆、野郎にい!どうして、俺え、こんなあ!はあうん!ば、ばか、おっき、らめ、らめえってええ!」
「いい、いいよ、お兄さん、その顔、好きいいいい!」と間近で顔を凝視しながら注ぎこみやがって。
まあ「やああん!見ない、で、おおう、おふうう!」と潮を吹いた俺も俺だが。
事後、結局、高野くんは妹との復縁などどこ吹く風で、俺と死ぬまで生涯を共にしたいとプロポーズ。
正直、満更でなかったとはいえ「殺さない限り断れなさそう」と怯えもあって、受けいれることに。
が、それから一週間後、妹ができちゃった婚を。
生まれてくる子供の顔が妹そっくりだったら、また高野くんが暴走するのではと、今から心配している。
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