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一度目はフリンのように、外へと導いてくれた人がいたが、再び絶望へと叩きつけられた自分とは違う。 違うけれども、それでも立ち上がろうとさえすればまた温かい場所で希望とささやかな幸せをもたらしてくれる人達がいる。 選択を間違えなければ、手を差し伸べてくれる人がいれば、きっと。 「⋯⋯。⋯⋯っ、⋯⋯ま⋯⋯」 そこでハッとした。 その顔のまま大河のことを見やると、飛び上がった反応をしたものだから、同じように驚いているような顔をした。 「あ⋯⋯ごめんね。ちょっと考えごとをしていて⋯⋯。えと⋯⋯この本が読みたいんだよね」 大河が遠慮がちに頷き、手に取っていた絵本を差し出す。 母親がぼうっとしていたのが気になるらしい息子に、心配をかけるようなことをしてしまったなと思った姫宮は、出来る限りの笑った顔を見せた。 「読むからね」 大河を膝上に抱き直した姫宮は開いた絵本を見やすいように傾け、読み始めた。 自分で読んだとはいっても、音読したわけではないため、目で追っていた時とは印象が違う文に早くも挫折しかけていた。 しかし、そんな諦めかけている母親とは裏腹に、大河は興味が削がれている様子はなく、むしろ真剣に姫宮の話を聞き、目で追っているようだった。 我が子が真剣な態度で聞いてくれているのだ。こちらもすぐに諦めずに読み聞かせをするべきだ。 たとえ、聞くに耐えない読み方だとしても。 「──ラプンツェルは、本当のお父さんとお母さんと再開し、そして、愛する人と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。おしまい」 なんとか読み終えた。 絵本を閉じた時、思わず息を吐いていた。 が、大河が振り返ったことですぐに口を閉じた。

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