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第20話 ※

「そうだ。そなたは天上の国と冥界どちらも行き来できる。王子の世継ぎを産み、赤子が1歳になるまで天上の国で育て、1歳の誕生日を迎えたら冥界に連れ帰ってきてほしいのだ。そなたの血を引く子どもならば、生きて冥界へも降りれよう」 「ま、待って。それじゃあ、僕はジスじゃない男の人とえっちして、子ども産めってこと?」 「うん。そうなるな」 「えっ、やだ! 僕はジス以外とえっちするなんてことはやだっ」  あまりにも鼻がツンとして、玉ねぎを切った後みたいに瞳が潤んでしまう。僕は本心を言ったまでだ。 「……」 「ぐす……」  あまりに想像の遥か上をいく話に、なんとか飲み込んだものの消化できない自分がいた。  だって、まだジスとえっちして1日も経ってないのに……。もっと一緒にいたいのに。  僕が下を向いてめそめそしていたら、ゴッ、という鈍い音がジスの座っている方角から聞こえて、はっとする。 「な、何やってるのジス!」  ジスは自分の拳で自らの頬を2回も殴ったのだ。慌てて声をかけて、強く握った拳を押さえつける。ふらふら、と力なく拳がベッドの上に落ちた。 「すまない。こんな……身勝手な夢を押し付けようとした自分が恥ずかしい。それに……わたしもまだ離れたくないんだ。そなたともっと一緒にいたい」 「……僕もっ」  ジスの口から本音が聞けたのがとびきり嬉しくて、その胸に自ら飛び込んだ。ジスは驚いたのか時が止まってしまったかのように動かなくなる。 「その夢を叶えるのはもうちょっと先でもいいかな? 僕はまだジスのこと知りたいよ」  ぎゅう、と大きな胸板に掴まっていると、ジスが僕の背中に手を回してくれた。 「ああ。もっとそなたのことを知ってから考えよう」  ジスの腕の中で強く抱きしめられる。それが、合図かのようにどちらともなく口付けを交わし始めた。僕らの口元から、ちゅく、ちゅ、と響く甘い音。ジスが僕のおしりを服の上から揉みこみ、撫で回してくる。僕もジスの首筋に舌を這わせる。  そのまま深紅の色のベッドに落とされる。部屋は少し暗くて、そのせいかジスの緋色の瞳がギラギラと輝いているように見える。 「ん……んむ……はぁう」  服を脱がされ、僕はジスの指先に簡単に囚われてしまう。へその近くの腹辺りを、撫でるように触れられ気が果てそうだ。ただ弱い刺激なはずなのに、僕の足の間にあるものはぐん、と力強く上を向いてしまう。恥ずかしくて手で隠そうとしたら、その手ごと繋がれて、ジスの口内に飲み込まれていった。 「ぁ……ぁっ。そこ、だめ……ゃら」  舌先で幹の根元を舐められ、どんどんと速さを増していくジスの舌。思わず、腹の奥に力が入る。  だめ、イっちゃう……。 「ふぇ?」  ぱ、と果てそうになった直前にジスが口を離した。僕のものは訪れるはずだった強烈な刺激を待ちわびて、ヒクヒクと震えている。 「え、待っ……」  そのまま、ジスに見下ろされたまま。目でイかされた。その獣のような瞳に見つめられただけで、達してしまった。びゅく、びゅくと飛ぶ白蜜が僕の胸のほうまで飛ぶ。

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