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第86話 番外編|3人でピクニックデート(side シュカ王子)
「阿月ー! はやく弁当を食わせろ。腹が鳴って仕方がない」
むむっとしたつり眉のシュカ王子はまるで幼稚園児みたいだ。ママに「はやく! ごはん!」と言っているみたいに両腕を組んでいる。
阿月は「お待たせ」と言いながら王子のために作ったお弁当を手渡す。すると王子はさっそくお弁当箱の蓋を開けて中身をじーっと観察し始めた。
「どうかな?」
阿月がおそるおそる聞いてみる。王子はふは、と小さく息を吐いて笑ってからこちらを見て肩を抱き寄せてきた。
「最高。さすがは俺の妻だ」
「っ……!」
王子はすぐに身体を話してくれたが、阿月の心は揺さぶられたまま。
不意打ち、ほんとダメ。
頬に熱が集まる感覚にぶんぶんと首を横に振る。そんな様子を気にもせず王子はスプーンでおかずのミートボールをすくって口へ運んだ。
「んっ! うま……」
一口、また一口と大きな口で王子がおかずを口に入れていく。
王子のお弁当にもキャラ弁としてミニキャラクターのおにぎりを作って入れてあるのだが、それに気づいていないようでおにぎりを囲うように置いてあるおかずとミニトマト、ちくわの磯辺焼きをもくもくと食べていた。
「王子、そんなに勢いよく食べたらお腹痛くなるよ」
冷えた緑茶を差し出すと、一息つくように水分補給をしてくれた。それを見てほっとする。
「うますぎて止まらない。緑茶もうまいな」
「良かった。これ、なんだかわかる?」
「ん?」
キャラ弁のところを指さしてみれば王子はやっと気づいたように笑い出す。
「なんだこれ。俺、なのか?」
しまいには腹を抱えて笑う始末。
「そう。シュカ王子をおにぎりで作ってみたんだ」
「その発想は面白いな。どれ、食べてみよう」
阿月は王子の反応が気になって仕方がない。一口おにぎりを口に入れた王子は目を見開いて続けざまに口に運ぶ。
「なんだこれは。うますぎる」
「よかった」
一瞬でお弁当を食べきってしまった王子も木陰で横になっている。
ジスと王子が少し近い距離でお腹の休憩をしているのを見て、なんだかほっこり癒されてしまう阿月だった。
──いつまでもジスとシュカ王子とみんなで仲良くしていたい。
阿月の願いはそっと空に浮かぶ真昼の白い月に吸い込まれていった。
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