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22話(6) #
「下着も要らなかったね」如月は片手で睦月の下着を脱がせ、自分のハーフパンツと下着を脱いだ。
「じゃ、挿れるね」
「…あっ……」くちゅ。どろっとした指先が少しずつ入ってきた。ゆっくり、指先が中で動く。
最近の慣らしは焦ったくて、苦手。奥まで入ってこない指に気持ちだけが昂って、早く挿れて欲しくなる。
「ぁっ…あっ…如月っ…焦ったい…あっ…っん…っは…あっ…」訴えても、広げるように、中で動く指先。歯がゆい。
「もう少しだけ、ね?」
いつもそれ。頬を染め、静かに荒い吐息を吐きながらやる如月を見ると、慣らしを楽しんでいるようにしか思えない。
「あっ…んっ…ぁっ…あっ…如月ぃ…焦ったいってぇ…あっ…もう大丈夫だしっ…んっ…挿れて……ぁあっ!」ぐちゅ。指が奥まで入ってきた。
「うつ伏せになって」如月は体を起こし、睦月を動かし、半ば強引にうつ伏せにした。
「…っん…慣らしじゃないのぉ…ぁあっ」隣で座りながら、指を挿れ動かす如月を見る。
「慣らしなんて言いましたっけ?」如月はきょとんとして、首を傾けた。
(言ってないかも!!!)
「ぁっちょっ…音っ…あぁっ…ぁっあっ…そんなっ奥っ…っん…ぁあっ…ぁ……ぁあっ!」
くちゅくちゅと音を鳴らしながら、巧妙に指が奥で動く。前立腺を刺激される度に体がビクビク震える。
「音鳴らした方が気持ち良さそうにしてるもん」
如月は艶かしい笑みを浮かべ、更に音を鳴らせ動かし始めた。
くちゃくちゅぐちゅ。
嫌でも入ってくる、濡れ音。耳から入る刺激に下半身が熱を帯び、疼く。如月の顔が急に耳元に近づいた。まさか。
「ひゃぁっ~~~~っ!」
耳の中で舌が這いずり回り、卑猥な唾液の音が響き渡る。顔が真っ赤に染まる。
「睦月さん、最高に可愛いです…はぁ……もっと…はぁ……指挿れようか」指の根本までしっかり、挿れられ、前立腺を押される。
「んっ…指じゃなくて…あっ…挿れてよ…ぁっあっ…はぁ…ながく…されたらあっ…んっ…あぁっやめっあっ気持ちよくていっちゃっ…もう…なんで止めるの~~っん…あっ…はぁ…」イキそうになると止められる。寸止めひどい。体が小刻みに震える。
「もっとして欲しいのかなって。そんなとろんとした瞳で見つめられたら、何回も繰り返したくなっちゃう」
ぐちゅ。如月は指を動かしながら、そっと、前に触れた。
(触れるだけって……ぁあもうっ)
「はぁっ…やめてっ…ぁっ…もう挿れてよっ…あっ…んっ…はぁ…はぁ…っん…挿れて如月っお願ぁあっあっ!」
出してしまいたい。全身がゾクゾクする。まだ挿れてないのに目がきちんと開かなくなってきた。どうしよう。
お願いと言った瞬間、激しく指が動き、体全体が大きくビクッと何度も震えた。小刻みの震えは止まらない。
「ごめん、お願いが可愛くて。挿れる前に仰向けになって。動けないか」如月に動かされるまま、仰向けになる。
指が抜かれ、脚を閉じて一息つく。如月が準備してる。静かに呼吸を整える。この短い時間で目は開くようになってきた。
如月は睦月に覆い被さり、両脚の間に入り込んだ。入り口に当て、少しずつ奥へ挿れていく。
「っんぁっあっ!」入ってきた。今日はすぐいっちゃいそう。
「今日限界そうだね」奥まで挿れた如月は上の服を脱ぎ始めた。上半身に目線がいく。
「すぐイッちゃうかも……」いつも服着てるのに珍しい。
「なに?」顔を傾け、如月が訊く。
「服……脱いでるから……」白くて綺麗な上半身にそっと手を伸ばし、触れる。
「ん…肌が触れた方が気持ちいいでしょ?
俺も如月に何か……。触れていた手を胸の突起へ移動させ、親指の腹で触る。
「…ぁっ……」如月が小さく喘いだ。拒否はしていない。両方の突起を指先でぴんっと弾いてみる。
「あっ……」さっきより声出た。もう少しやっても良いかな? 如月の表情を見ながら何度も指先で弾き、そしてきゅっとつまむ。
「…ん…ぁ…あっ……んっ……ぁあっ…ちょっ…ダメ……もうおしまい」
ぎゅっと瞑った目を薄く開けて『おしまい』と言う姿が妖艶で、魅了され、目が離せなくなる。
「どうしたの? 次は私の番ね」
如月はお互いが吐息を感じれる距離まで、体を近づけた。
*
「んあぁっ!! 如月っ!! ぁっあっあっんっあっぁっあっ」
もう一度奥までしっかり挿れ、腰を動かす。睦月の脚が脇腹を擦り、その触れ合いにまたそそられ、早く動く。
「睦月さんっ…まだイッちゃダメだからね…はぁ…」
いっぱい可愛がったせいか、少し動いただけなのに、顔を紅潮させ、瞳は潤みを帯びて涙を溢している。感情が昂り、腰を激しく振る。
「あっあっんっむりっぁああっ! んんっあっぁっあっちょっあっ激しっあっきさらにあっ」
腰に絡む睦月の両脚がビクビクしながら、締め付けてくる。汗ばむ睦月の身体に、身体を密着させ、きつく抱きしめ、奥まで突く。
「気持ちいいよ…んっはぁ…睦月さん…はっ…」
睦月が感じれば感じる程、中が締まり、快感で目がとろけそうになる。それをグッと堪える。もう睦月の目はとろけている。その瞳に身体の中へ熱が渦巻き、性欲は掻き立てられる。最後まであと少し。
「あぁあっあっあっきさらぎっぁあっきもちいあっぁあぁっ! もうおれっあっんっぁあっ! ああっ」
汗と愛液でどろどろに濡れた身体。涙をぼろぼろこぼし、口からよだれを沢山出している。艶やかで美しい。喘ぎ声も大きくなってきた。
「…はぁ…睦月さん…はっ…もうイッてもいいよ…私ももうイキそうだから…はっ」
何度も奥まで突き、絶頂を目指す。あらゆる隙間をなくすかのようにキツく、強く抱き合った。
「ぁあぁあっもうだめっああぁあっ」
もう私もダメ。抱きしめたまま、静止し、目を閉じる。腰に当たる太腿の感触から睦月の脚の震えが伝わってくる。腕の中では睦月がガタガタガタガタ震えている。
「大丈夫?」少しだけ身体を離し、睦月の顔を見る。
「うん……震えが止まらないけど……」満たされたように微笑む睦月に愛しさを感じる。
ちゅ。愛しくて、愛しくて。そっと口付けする。
「俺もう動けなぁい……」睦月を優しく横向きに寝かせ、向かい合うように寝転がる。
「私も動けなぁい~~ふふ」見つめ合い、睦月の背中に腕を伸ばし、胸の中へ引き寄せた。
ぎゅう。情事の後の幸せな時間。
「たとえ認めてもらえなくても、私は睦月さんを愛してるよ」指の背で睦月の頬を撫でる。
「認めてもらうとか認めないとかどうでも良いのかも。俺は如月を愛してる。お互いが認め合っていれば誰かに認めてもらう必要なんてないのかもしれない」相槌を打ちながら、睦月の話に耳を傾ける。
「だって、お互いを認め合うってことはお互いがかけがえのない存在ってことだもんね」睦月は目を細め、笑った。
「なに、プロポーズ?」睦月の首の後ろに腕を回す。
「そう聞こえた?」お互い顔を近づけ、唇を重ねた。
「プロポーズはまたいつか」
睦月は細めた目をそのまま閉じ、如月の胸の中で眠りについた。眠りについた睦月をしばらく眺め、頭に軽くキスをする。
「いつまでも待ってるよ」
両腕で睦月を優しく包み込む。瞼を閉じると、満たされた想いと一緒に深い眠りに落ちた。
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*
「ん~~~~っ」
カーテンから差し込む日の光で目が覚める。如月の腕の中。裸で寝ちゃった。如月も服着てない。昨日の情事を思い出し、頬は染まり、体が少し熱くなる。
「…ん……睦月さん…おは…なんで赤くなってるんですか?」指先で目を擦りながら見る如月に異常なくらい心臓がドキドキする。
「あ……いや…別に……」
起きたばかりの体に触れ合う肌は刺激的で、むらむらする。目覚めた瞬間には既に立っており、そこへ拍車をかけている。
「……当たってるんですけど」如月がじぃっと見てくる。
「仕方ないでしょっ……」抜いて欲しい。抱きしめた腕を離してはくれない。
「朝えっちする?」如月が妖しくクスッと笑った。
「えっ!! する!!」思ってもみない願い出。する以外答えはない。
「あはっ、うっそ~~」イラッ。気持ちを弄ばれた!! 如月は抱きしめていた腕を離した。
「ひどい。こんなに俺をむらむらさせといて!!! 口でして!!!」如月の表情が固まる。
「いや……それはちょっと……すみません……自分で処理をお願いします」徐々に如月が離れていく。許すまじ。
「捕まえた!!!」如月の手首を掴む。
「え? ちょっと……何させる気?!」手首を振り払おうとしているが、ギュッと掴む。
1人でやっても、中々イケないし、物足りなさしか感じなくなった。これは如月せい。絶対如月のせい。
「何って、俺のために一肌脱いで? 自分1人じゃもうダメなんだよね」はぁ、ため息をつく。
「……なるほど。1人でもイケるやり方を教えればいいんですね」なんか違くね?
「いや、そういうアレじゃ……」如月はベッドの隣にある引き出しから何かを取り出した。
「いやいやいやいや、ちょっと、それは違うでしょ~~~~」手で目元を押さえる。
「え? あげますって、これ」そんなピンクな道具要らんし!!!
「それ、誰が使ってたの?!?!」もはや昂った感情は道具を見たことで落ち着いてきた。
「え? それ聞きます?」如月は恥ずかしそうに目を逸らした。
「訊くでしょ!!!」間接的なアレになるし!! たぶん!!
「私と千早」
如月の顔が真っ赤に染まった。前の恋人とどんなプレイしてるの!! なにもう!! 耳まで真っ赤にして!! かわいい!! だけど、先の細い挿入できそうなその道具は使いたくない。
「まぁまぁ、やってあげるから」如月は覆い被さるように近づいた。
「もうおさまったわ!!!」ローションを付けている。本気だ!!
「ぇえ? ちょっとだけ試してみよ?」片膝を持ち上げ、先端を当てた。
「あっ…やめてっ…んっ…」体がビクッと反応する。
「あーーやっぱりやめ。なし。私にしか感じて欲しくない」如月は自分の指と入れ替えた。
「ぁあっ…そゆ問題じゃ…あっ…朝っ…朝だってばぁっあっ…もぉ…」指がどんどん奥へ入ってくる。
「…あっ…だめっ…前も…いいの? あぁっ…んっ…ぁっ…あっ…まっ…きもち…んっ…」一階に聞こえないように口元を押さえる。みんな起きてるかもと思うと性欲が湧く。
「我慢してる感じもいいね」如月は前で動かす手を早めた。
「んっ…あっ…んっ…ぁあっ…あっ…はぁっ…出ちゃう…んっ…ぁっ…ぁあっちょっあっ…はぁあっ」急に後ろも前も激しくするから出ちゃったぁ。
「見て、いっぱい出た」如月はどろどろした手のひらを見せた。
「なんで見せるの……」恥ずかしくて頬が赤くなる。
如月は赤くなった睦月を見て満足気に微笑んだ。
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