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25話(7) #
「~~~~っ!! ちょっとぉ…んっ…ぁっ…あっ待って何して…んっ…そんなつけちゃだめっ…あっ…だめだってばぁ…やっ…んっ」
首筋、鎖骨の周り、胸元。汗の香りがする睦月の身体へ順番に何個も何個も付けていく。
「……俺にも付けさせーーぁああっ…んっ…はぁ…あぁっ…んっ…ぁあぁっ…ん~~っ……ちょっぁああっ~~っ」
突起の周りを舐めて、甘噛みする。もう少しだけ。舐めて、噛んで、舐めて、噛んで。下腹部に熱が籠り、性的欲求のまま、突起を強く吸う。
「睦月さん、気持ちいい?」
「…はぁっ…き、きもちいい……俺にも付けさせて?」
頬を染め、目線を上げ、今にも涙が溢れそうな瞳で、私を見つめる。これは反則。その睦月の可愛さに胸がドキっとする。
「付けれるなら付けてみれば?」
腰を動かしながら睦月の口元に首筋を近づけた。
「……おれが…はぁ…まるで付けれない…んっ…みたいな…いいかた…あっ…はぁ…」
睦月が身体をビクビクさせながら、私の首筋に湿った唇を付けた。
ちぅ。
笑っちゃいけないと思いつつ、可愛くて、クスッと笑ってしまう。そんなんじゃ付きませんけど。睦月さん。
「ついた? 睦月さん?」
溢れそうになる笑みを堪えながら、睦月の後頭部に手を回し、優しく撫でる。
「……なんかうまくつかない……もっかい」
ちう。かわい。
「ぁあ~~っ出来ないぃっ!!」
悔しそうに何度もトライする姿が愛しく思える。
「もっとつよくやって、睦月さ……っん…ぁ……はぁ…」
先ほどより強く吸い付かれる。首筋から睦月の愛を感じる。
「きさらぎっ! ついた!」
嬉しそうに笑う睦月の笑顔に釣られ、笑みが溢れた。
「良かったね。今度は自分の中を突いてみて?」
「へ?」
アシスト出来るように、睦月の腰に手を添えた。分かってなさそうなので、睦月の耳元に顔を近づけ吐息をかけながら、囁く。
「動いて。一緒に気持ちよくなろう?」
「もぉっ……ぁああっ!…んっ…はっ…ぁあっ…ん…あぁ~~っ…ん…」
睦月によって、浅くなったり、深く刺さったりが繰り返される。奥深く入ると睦月が頬を赤らめ、気持ちよさそうに潤んだ瞳で甘い声を出す。
「ここ、気持ちいいの?」
「ああぁ~~っ…はぁ…そこんっ…あっ…はぁ…ん…ぁあぁっ…はぁ……っん……あぁっっ!!」
ぎこちなく動きながら、次は自分で気持ち良いところへ当て、震える姿に焦がれ、もう一度突き上げる。
「どうしたの?」
急にぎゅっと抱きしめられた。
かぷ。急に耳を甘噛みされた。息を切らしながら私の耳元で小さく「……もっと」と呟く。希望通り、睦月の腰を揺らす。
「あぁっ…はぁ…ああっあっ…はぁ…んはぁ…ぁああ~~っ」
耳元に睦月の喘ぎ声が響く。吹きかかる吐息に煽られ、性欲が掻き立つ。そんなことして、もう知らないよ?
「いくよ」
睦月の腰へ回した腕に力を入れた。
「ぁあっ待っあっぁっはぁきらさぎっんっあぁっ」
遠慮せず、激しく何度も突き上げた。
「あぁっんっはぁ激しっはぁあっやっぁっあっはぁ」
私の首の後ろに腕を回し、ぎゅっと、しがみついてくるのが愛おしい。
睦月の幹が腹筋の間に挟まり擦れ、刺激となり、蜜が溢れてくる。全てが気持ち良いのだろう。甘い吐息と、甘美なる喘ぎ声。顔を真っ赤に染め、とろんとした大きな瞳から涙が流れるその姿はもはや、絶景。
そろそろ……。
睦月を強く抱きしめ、快楽の先に向かって突き上げ続ける。
「あっはぁやっきもちぃっぁあっあっおれっあっもうっだめっはぁぁっあっあぁああっ~~……」
「はぁ…んっ…あっ…はっ…ぁっ…はぁっんっっ!!」
2人で辿り着いた快楽の絶頂。この上も下もくっついている密着感が幸せ。お互いがお互いの腕の中で震えを感じた。
「おれ、もうちょっときさらぎに色々してあげたかった」
「十分してくれたじゃないですか」
「嬉しかったですよ、きすまーく」
「ん~~~~っ」
「~~~~っ」
睦月の頬を両手で挟み、愛情たっぷりに口付けする。睦月とベッドに寝転がると、掛け布団を手で掴み、一緒にいもむしのように包まった。
睦月さん、おやすみ~~。
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*
ーー翌朝
「あーーーーっ!!!」
ガバッと上半身を起こし、頭を抱えた。
またえっちしてそのまま寝ちゃった!! 俺のばかぁ。今日帰る日なのに!! 全然帰る準備出来てないし!! えっちしてばっかで何してるの!! 俺!!!
「ん~~睦月さんおはようございます……ふぁ~……」
隣で如月が欠伸をしながら起きた。
「帰る準備全然出来てない!!! 全部如月のせい!!」
「なんでですかぁ~~」
「だっていつもいつも俺のことえっちな気分にさせる!! だから如月がわるい!!」
人差し指で、如月の頬を押すとぷくっと膨らんだ頬が潰れた。ぷぷ。
「なっ!!! 全部私のせいにするならこうしちゃいます」
「ぁあっちょっどこ触って!!! 何してんの!! やめて!!」
きもちぃーー! もぉ!!!
「ふふ、睦月さんの弱いところは全部把握しています!! それでも私のせいにしますか?! それとも謝りますか?!」
不敵な笑みを浮かべ、布団の中で俺の幹を握り続けている。
「しない!! 俺の不手際だった!! ごめん!! だからやめて!! 早く準備しないと!!!」
布団の中で少しでも動く手にどきどきする。俺ってほんとだめな子!! やめてと言いつつ、何か期待する自分が恥ずかしくて、両手で顔を隠す。
でも如月が俺にナニするのか気になって、指の隙間からこっそり見る。
「……何見てるんですか」じとり。
「み、みてない……」ちらちら。
「…………」
「…………」ちらちら。
「見てるでしょうがぁああぁああ!!! 何を期待してるのかなぁあぁあぁ?!?! 睦月さぁあん!!!」
首に如月の腕が回ってきた。
「ぎゃあぁああぁ!!! ち、違うの!!! 今から如月に口でして欲しいとか!!! そんなべつに思ってないし!!」
ぺしぺし。回された腕を叩く。
「思いっきり本音出ちゃってますから!!!!」
「あれ? おっかしぃなぁ~~っはぁ…んっ」
「ちょっと!!! 勝手に感じないで!!!」
如月は俺のズボンから手を抜いた。
「あぁ~~ーー……」
残念。がっかりして、口が開いたままになる。
「どんだけ!!! あとはご自分でご自愛ください!!!」
首にあった腕は緩まり、両腕で後ろから抱きしめられる、如月の脚の間にすっぽりはまった。
「そう言いつつなに?」
後ろを振り向き、如月を見ると、恥ずかしそうに目を逸らされた。
「……帰ったらしばらくいちゃいちゃ出来ないと思うから今のうちにいちゃ溜め」
ぎゅう。如月の顎が頭の上に乗る。抱きしめる力が強くなった。
「いちゃ溜めって。溜まったらもう抑制出来なくなるやつ」
「ふふ。そうかもしれないですね。さ、帰る準備しましょ」
「如月、その前に……ん」
振り返り、如月の顎に触れ、少し自分へ引き寄せる。昨日は求められたのにキス出来なかったから。今日は俺から。優しく唇を重ね、長めに押し付けた。
「お兄ちゃん降りてくるの遅いし!! 何してたの!!!」
「準備し忘れてて……今準備してたら遅くなっちゃった」
えっちしていて準備し忘れて遅れました、なんて言えない。それにしても昨日は幸せすぎたぁ。お互いの顔が見えるし、あの密着感は良いなぁ。スーツケースをゴロゴロ引き、玄関まで運ぶ。
「もーー何やってんの!! あれ? お兄ちゃんなんか首に……あざが……」
ーー思い返す記憶。
首筋、鎖骨、胸元……如月による愛のマーキング。かぁあぁあっ。赤面。光の速さで首筋に手を当て隠す。見ちゃだめっ!!!
「あ、いや、これは……虫……虫刺され…そう!! 虫刺され!!! 虫に刺された!!」
もうこれで押し倒すしかない!! イケる!! 誤魔化せる!! そんな不自然ではない!! 夏だ!! 虫はいる!!
「なんで3回言ったし。虫刺されのわりには色が赤くなかった気がするんですけど」
誤魔化せてない!!!
「それはアレだ、虫だって奥深く吸う虫もいる訳だ。皆が皆、赤くなる訳じゃない!!!」
力説。自分で言って意味がわからない。
「それ、なんの虫?」冷たい目をしている。
「卯月さん、おはようございます~~」
スーツケースを押しながら、如月が来た。
「如月にも首にあざが……! それはアレなの?! 奥深く吸う虫のせいであざが?!?!」
「え? あぁ~~まぁ? 私のは奥深く中々吸えなくて、何度も失敗しながら吸い上げた愛のーーん~~~~っ!!!」
如月の口を両手で塞ぐ。これ以上だめ!!!!
「ちょっと!!! 恥ずかしい!! 何言っちゃってるの!!! 妹に言わないで!!! これ以上ぶっぶーー!! 禁止!!!」
如月の頬を片手で引っ張る。
「いたぁーーーーい!!! やめて!!! 離して!!! いたい!!!」
「虫刺されと誤魔化そうとしたがぽんこつな嫁に暴露されて自爆した兄」
「卯月 も黙れ!!!!」
卯月の首に片腕を回す。
「いやぁああぁあーーーー!!! きもーー!!! 年頃の女の子にさわるな!!! 香水くさぁあい!!」
「くさくないわ!!! 適量しか付けてないし!!! 兄の抱擁をきもいとか言うな!!!!!」ぎゅううう。
「いたぁあぁあい!!! 睦月さんほっぺ離して!!! 赤くなる!!!」
「相変わらず君たちは朝からうるさいね」
小春が呆れたように玄関へ来た。小春だけじゃない、如月家の家族が全員見送りに来てくれた。如月のほっぺと卯月に回していた腕を離す。
「なんだかんだ、妹も一緒に長居してしまい、すみませんでした。でも弥生さんの家族の皆さんと過ごせて、すごく楽しかったです」
「お世話になりました。ボロくて狭いですけど……よかったら今度はうちへいらしてください! あの……来年も来ても良いですか?」
ドキドキしながら、順番に如月家の家族の顔をひとりひとり見ていく。目が合うと、みんな、にっこり笑ってくれた。
「いつでもおいで。息子の大切な、お嫁さんだからね」
義母の嬉しそうに微笑みをみて、安堵する。
「ありがとうございます! 来年もまた来ます!! あ、なんなら年末も顔出しますから!!」
「小春お姉さんまたねーー!!!」
卯月は小春に手を振った。
「はいはい~~」
「待ってるよ~~」
手を振りながら、荷物や如月家からもらったお土産をもって、玄関を出た。
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