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29話(5)#久しぶりの再会に愛が止められない?!夜の病室で過ごす甘い時間?!
睦月さんが意識を失って2日。佐野家と病院を往復する日々を送っている。病院から受け取った、あたたかいおしぼりを軽く手で冷ます。
台風はもうどこかへ過ぎ去り、外は大地を焼き尽くすような灼熱の太陽が照り付け、アスファルトは揺らめいていた。
「睦月さん、身体拭くよ」返事のない睦月の身体を優しくおしぼりで拭いていく。
「お兄ちゃん、いつ起きるかな?」卯月さんも日に日に元気がなくなっている。
「さぁ……」気の利いたことが言えるほど私も良い状態ではない。
汗ひとつかいていない睦月の身体を丁寧に拭く。くすぐったいって笑ってくれそうなのに。眉も動かない。
「たとえ、起きなかったとしても、私がずっと面倒みますから。睦月さんのことも、卯月さんのことも」卯月の方をみて微笑む。
「ありがと」拭き終わったおしぼりを綺麗に畳む。
がららら。
ドアが開いた。
「お迎えに来たよ」小春だ。
「ありがとう」睦月の服を正す。
「じゃあ、如月。私小春さんと行くね」小春は睦月の顔を見ても、何も言わず、卯月と一緒に病室を出た。
居た堪れなかったのかもしれない。私1人では卯月さんの面倒をみることは出来ないので、私の実家へお願いすることにした。
このまま睦月さんの目が覚めなかった場合、卯月さんは実家で引き取るつもりだ。そして、私も実家へ帰る。そんなことあって欲しくはない。
「ねぇ、いつ起きるの? 睦月さん」睦月の頬を手で触る。
意識がなくても声かけは脳に刺激を与える。名前を呼んだり、話しかけるよう、医者に勧められた。2人の時間は声をかけ続ける。でも、反応がないのはさびしくて。
「5日離れるって案はやっぱり私も無理かもね。いい加減さびしいよ?」スマホで時間を確認する。
「私も一旦、佐野家へ戻るね。また夜にくるよ。少しだけ待っててね」顔を近づけ、睦月の頬に口付けした。
ちゅ。
軽く頭を撫で、病室を出た。
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*
曇っていた頭の中は少しずつ霧が晴れていき、世界がだんだんと、鮮明になる。気づいた時には瞼を開けていた。
ずっと眠っていたせいなのか、身体がすごく怠い。身体を起こし、窓の外を見つめると、外は真っ暗で、雲間から月が顔出し、夜空を照らしていた。
誰も居ない病室。
少しだけ頭が痛む。
ふと、自分の手をみると、如月の腕時計がつけられていた。なんでだろう。いつもは親指にしている指輪は薬指にはめられている。如月かな?
薬指にはめられた指輪が愛しくて、指輪に口付けする。
心配かけちゃったよね、多分。
「如月は家かな……?」ベッドからゆっくり降り、裸足で病室を歩く。
がら。
病室のドアが開いた。
あ。
如月。
「睦月さん……」
目に涙を溢しながら、ゆっくり如月が近寄ってくる。
ぎゅ。
抱きしめられた。微かに香る、煙草の匂い。如月、煙草なんて吸ってたっけ?
「もう会えないかと思った……良かったぁ…良かったぁ……」抱きしめる腕に力が入っている。
「ごめん。ごめんね。怖かったよね」如月の背中に腕を回し、背中をポンポンと叩いた。
「心配させてほんとごめん。もう、だいじょーぶ。ほら、元気!! 俺、どれくらい寝てた?」腕の中から、如月を見つめる。
「……2日くらいですかね?」涙を流し、鼻をすすりながら喋る如月が愛しくて、きつく抱きしめた。
「泣くなって~~」
「だって……本当にもうダメかと思って……良かったぁ……」頬を伝う如月の涙を指で拭っていく。
「身体は丈夫ですから!!!」ニカッと歯を見せ、笑って見せる。
「ふぇ~~ん……」余計に泣いた。
「ちょっ……もう~~こっち向いて?」如月の頬を両手で挟み、自分の方に向ける。
眠れなかったのか、目の下は薄いクマができている。むくんだ瞼はずっと泣いていたことが分かる。俺のことをずっと想っていてくれた証拠。
「ん……」唇を触れ合わせた。
ふわっ。
身体が宙に浮き、如月の肩に乗る。
「ちょっと!!!」脚をばたばた動かす。
「安静にしないと」ベッドまで運ばれ、寝かされた。
「あっ待っ~~~っ」如月に覆い被され、啄むように唇が重なる。
「っはぁ……これが安静?!」笑いながら如月に訊く。
「立ってキスするよりは?」ちゅ。額に口付けされる。
「ん……だ、誰か来たらどうするの!!…っん」ちゅ。今度は首筋に。鼓動が速くなる。
「あぁ。2時間おきにくるので、あと1時間半は来ませんよ」Tシャツの下から手が這う。
「まぁ? 睦月さんが大きな声出さなければ、ですけど」
*
「ん……ぁっ…だめっ……ん……あっ…んっ……」指先で胸の突起を擦ると、睦月は絞り出すように甘い鳴き声をあげた。久し振りに聴く、睦月の甘い喘ぎに感情が昂る。
「声我慢してるの? 可愛いよ、睦月さん」
「こ…こんなとこで…ぁっ…だめぇ…あっ…ん……はぁ……っん…ぁあっ」指先で先端をつまむと、肩がビクッと小さく上がった。可愛い。
「私、睦月さんを失うかと思ってすごく不安だったんですよ?」Tシャツを捲り、筋肉を確かめながら、素肌に触れ、胸の先端に顔を近づけた。
「っん……~~~~っぁっやっ……」胸の突起を円を描くように舐めると、睦月が声にならない声をあげ、身体をくねらせる。
「本当に本当に愛してる……ん」胸の先端を吸い上げた。
「ぁあっ…やぁっ……ぁあ~~っんっ…はぁ……あぁっはぁん」吸ったり、舌先で撫でたりを繰り返す。ビクビクしながら感じる睦月に身体が熱くなる。
「もうこんなの2度とやめてくださいよ」睦月のハーフパンツと下着を脱がせていく。
「はぁ……気をつける……でも俺、如月に会いたかった。2日間会えないだけですごくさびしくて。如月大好き……ん~~」首の後ろに睦月の腕が絡まり、愛しくて、口付けする。
「ん……んはぁ…ん…ふ……んっん…ん…はぁ…ん…はぁっ」吐息を感じながらお互いの愛を伝えるように舌を絡め合わせた。
「ん……はぁ…如月……煙草吸った? 苦い」怪訝な顔で見てくる。
「え゛」
「服も少し匂いする……」目線を逸らしながら、カバンの中からゴムとローションを取り出す。
「えっと……まぁ……そうですね……ストレスと不安で……やめていたものに手が出たいうか……もう吸わないです」ついでにカバンから煙草の箱を出し、ギュッと握り潰した。
「少し見てみたかったな~~吸ってるとこ」ゴミ箱へ煙草の箱を投げ捨て、指先にゴムをはめる。
「見てもな~~んにも面白くないですよ」指先にローションをかけ、睦月の膝を優しく割り開く。
「いつもと違う如月をみるのも……っん…んぁあっ」くちゅ。指を押し込むと、濡れた水音が静かな病室に響いた。
「……あんまり大きな声出しちゃダメだよ」4日空いているせいか、少し硬く、2本の指で押し開き、ほぐしていく。
「ぁっ…う、うん…あっ…んっ……あ……」窄まりは柔らかくほどけ、指先を飲み込む。熱が籠った中は指先が溶けてしまいそう。
「あっ…んっ…ぁあっ…やっ…んっ…あっ…だめっ…ん…あぁ~~っっ」感じる部分を探し、突くと、睦月の目尻が下がり、気持ち良さそうに顔が歪んだ。
「可愛い」4日ぶりのせいか敏感に反応する睦月が可愛くてそそられ、下半身が疼く。
「んっ…やっ…あっ…だめっあっ…ぁあっ…っだめっやっ…だめぇっぁっあっやぁっ」ここだね。前立腺を何度も突く。
「ダメじゃなくて気持ちいいじゃないの?」頬を赤らめ、トロンと潤んだ瞳で喘ぐ睦月の頬に口付けする。ちゅ。
私の問いに恥ずかしそうに顔を逸らす睦月に性的欲求が昂り、湿った内部から指を抜いた。とろとろと潤滑油が溢れる窄まりに立ち上がる幹を挿れていく。
「っんぁあっ…あ…あ…っ…ぁあっ…あっ…」本当はすぐにでも腰を振りたい。痛みを感じないように、ゆっくりと押しては、戻すを繰り返す。
「あっ…きさらぎ…あっ…もっと奥っ…んっあっ…激しくても…ぁっ…だいじょぶ…んっ気持ちよくして…」肩を小さく震わせながら蕩けた目で、そんなこと言うのは反則だよ、睦月さん。
「こんなに感じちゃって……ここでするのはダメだったんじゃなかったの?」手を重ね合い、指を絡め、深く挿れ、奥を突く。
「ぁっあっ…はぁっ…ぁああ~~~~っっあっ…はぁ…っ…あっもっと…あっ」頬を染め、瞳に涙を抱えながら喘ぐ姿にもう気持ちが止められず、激しく突き上げ続ける。
「あぁ~~~~っぁっあっ…んあっ…あっんんっ…あっやっだめっあっ…もう…あっ…イッちゃうっんっ」絡めた指が強く締まった。
「イッてもいいよ、睦月さん」突く度にぐちゅぐちゅといやらしい水音がたつ。胸の先端を指先でつまみ刺激する。
「あっあっだめぇっやあっ…あっ…きもちっはぁんっ…あっぁああ~~~~っんっあっ…~~~~っっあっはぁっぁああっ……はぁ…はぁ…ん」
「はぁ……はぁ……はぁ…んっっ」
ゾクゾクとした鋭い快感が背筋を駆け上がった。全身から汗が噴き出す。私の腹の上にあたたかい白濁が散る。ビクビク震えながら、涙を流し、甘い吐息を漏らし続ける口唇に口付けした。
「ん……」
唇から伝わる吐息の熱をすべて飲み、身体へ取り込む。深く結び合う身体を離すのが惜しい。重ねた手を離し、睦月を抱きしめる。
「……睦月さん大好き」
頬に手を添え、唇を触れ合わせる。
ちゅ。
「戻ってきてくれてありがとう」
「如月、次から出かける時は、絶対手つなごーね」
首を傾け笑う睦月の横に寝転がり、向かい合う。軽く抱き寄せ、薬指に指輪がはまる睦月の指先に指を差し込んだ。
「えぇ、もちろ……っん……はぁ……ん…ん」
再び重なり合う唇に、狭く少し古いベッドはギシッと音を鳴らした。
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