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4.Sell~人買い

 周囲の様子を探るため、見回してみても、他の連中の息遣いはするものの、誰ひとりとして母さんと妹の間に割って入るような人物はいなかった。  ――その理由は知っている。  彼らもできるだけ自分に降りかかるトラブルを避けたいんだ。  そしてオレが目にしているものは間違いようもなく、『トラブル』そのものだった。  オレは、ヘサームから分けてもらった大切な食べ物を持っていることも忘れ、地面に落とすと、母さんと妹の方へと駆け寄った。 「さあ、来るんだ!」 「やだっ、いやだ、おかあさんっ!!」  聞こえてくるのは野太い声をした中年男の声と、拒絶する妹の悲鳴だ。  妹の大きな目からは涙があふれ、必死に助けを求めている。 「お願いです、私からこの子を取り上げないでやってください! 借金なら必ず何とかします。ですからどうか、どうかもう少し猶予をくださいっ!!」

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