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第30話

 アルファング王国  建国から国を守り、街を守り、国民を守り、幾度となく襲い来る脅威と渡り合って、戦い抜いてきた精鋭がいる。  軍事を統括する王国騎士団  その中でも、個々の能力に著しく秀で、極めて高い戦闘力と高度な技術を有する、一騎当千の実力者のみで構成されたエリート部隊  黒の守護騎士団  『シュヴァルツ・シュッツ』  彼らを率い、王国全ての騎士の頂点に立つ騎士団長  彼には特別な称号が与えられている  『シュヴァルツ』  そして、彼の持つ獲物は……  俺は空中から見下ろしている。  騎士団長シュヴァルツが、俺を上空高くに放り上げたからだ。  彼の持つ獲物の名は  『シュヴァルツ・シュッツエンゲル』  漆黒の大剣  屈強な成人男性でも持ち上げるのがやっとであろう、黒光りする両刃の大剣を彼は片手で軽々と振り上げた。  一閃  刃が落ちる。 (見えなかった)  剣が宙を駆る速度に視覚が追いつかない。  襲いかかる泥の魔物が二つに裂ける。  四つに裂ける。  八つに裂ける。  霧散した。  一呼吸して、剣圧に耐えきれなかった床が割れる。  人々は呼ぶのだ。  剣を抜けば必ず勝利する彼に恭敬を込めて  守護の大剣、と。

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