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第96話
俺がお兄さ……
その呼び方は倫理的にまずい。呼び方を戻そう。
俺が王様と結婚?
「婚約を提案できる子が私にはいない。独身だからね。私が君の婚約者になる事が最も合理的だろう?」
「そうじゃなくって!」
「安心おし。在位期間が長いのは、若くして王位に就いたからだよ。年の差はあるが君が考えるほど……そうだね。親子ほど年は離れていないよ」
どうしよう?王様、乗り気になっている。
「ええっと」
そうじゃなくって〜
「素顔の事かな?」
「あ、はい」
問題はそこじゃないのに、はい。って言っちゃった〜
「私と正式に結婚した暁には、仮面を外して素顔を見せるよ」
あぁ、やっぱり。
「仮面は王族の掟だ。王は仮面の下の素顔を見られたら、その相手を殺すか愛するしかない」
……どこかで聞いたような設定だ☆
「私は君を愛したい。そして……」
あれ?
なんだろう、この浮遊感〜は?
「わわっ」
足が地面についていない!
顔がっ、仮面の顔が近い。なんでっ?
……って!
俺、王様に抱っこされてる〜!
「願わくば、君も私を愛してくれる事を……」
……チュッ
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