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第98話

「おっと」  崩れそうになった体を王さ……お兄様が抱き止めた。 「驚かせてしまったかな?すまないね。それとも刺激が強すぎただろうか」  両方です。お兄様。 「やはり口づけは、唇と唇を合わせたいと思ってしまったものだからね」  俺っ、キスしちゃった〜〜  ヒャーーー!!  初めてのキスがっ (王さ……お兄さ……王様☆)  プシュウゥゥゥー 「おっと、大丈夫かい?」  大丈夫じゃないです。 「大丈夫……だと思います」  と言うべきだよね。大丈夫じゃなくても。 「良かった」  安堵の息を漏らして、仮面を直した。  あっ、と小さく声を上げてしまった。お兄様の顔、どんなんだったんだろう。  でも見ちゃいけないんだよな。  でも見てみたかったな。  ほんの少し、唇見えただけだったけれど、その唇は形良くて艶かしくて、それだけで誘惑するに十分な色気がある……って。 (俺、なに考えてるんだ!)  と、とにかく!  俺が想像していたよりも若いと思う。それでも十歳くらいは離れているかな?  あくまでも予想だけど。 (それとも、俺が年上の男の人に憧れているのだろうか)  ……って!  だからなにをっ。

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