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第27話 甘いため息と僕らの恋と※ 【 完 】

 すっかり慣れた準備を終わらせて、その事がこれからの期待値をもっと高まらせているのを感じながら、僕は濡れた身体をタオルで拭った。目の前の茂人さんが、そんな僕をじっと見つめながら呟いた。 「楓って、俺に愛される前からそんなに色っぽいのかな。それとも俺に愛される様になってから?」  僕はクスクス笑って、茂人さんの広げた腕の中に抱きつくと呟いた。 「僕が色っぽいとか無いでしょ。茂人さんなら、ドキドキするくらい色っぽいけど。」  すると茂人さんは僕を抱き抱えながら、ゆっくり移動して、ベッドに押し倒して言った。 「自覚ないんだね。楓はベッドの上じゃなくても最近色っぽい眼差しをするよ。まるで俺を欲しがるみたいに。」  僕は喋ってばかりで、ちっとも僕の疼きを鎮めてくれない茂人さんにイライラして言った。 「…ね。今も欲しがってるんだよ、僕。気づかない?」  するとにっこり微笑んで優しく唇を触れ合わせてきた。ああ、僕の好きな甘いキス。茂人さんはキスが上手で、僕はいつだって夢中になって蕩けちゃうんだ。啄む様なキスも直ぐに欲しがる僕のために、口の中いっぱいに征服する様なキスになった。  指先や手のひらで弄られる僕の身体は、待ちきれずにビクビクと震えた。 「…楓、可愛い。感じやすい、このツンと尖った赤い実も美味しそう。ほらこうやって舐めたら、こっちもビクビクしちゃうね。」  そう言って僕の胸を吸ったり舐めたりしながらゆっくりと僕の窄みを撫でた。僕自身には触れられず、僕は呻きながら身体をくねらせた。こうして焦らされるのも嫌いじゃないけど、しばらく会えなかったから、僕の忍耐力は低かった。 「あぁ…!ね、触ってっ!しげと…。」  思わず泣きそうな声で強請ってしまったのもしょうがないだろう。  ブチュリとジェルの粘着な音がして、直ぐに僕の後ろにヌルヌルと撫で付けられるのを感じた。胸が震えるその期待感に僕は息を浅くした。茂人さんが僕に覆いかぶさって舌を絡めていやらしいキスを繰り出すと、同時に僕の窄みにヌチヌチと指を撫でながら突き入れ始めた。  僕も思わず指の動きに釣られて、腰をヘコヘコと動かして指を迎え入れに行ってしまった。口の中を大きな舌でぐるりとなぞると、茂人さんは起き上がって僕の太腿を抱き上げた。  ぐっと突き立てられて、良い所を撫でられて、僕は仰け反って鳴いた。ああ、でも、もっと別のものがいい。僕は泣き声で茂人さんに強請った。 「もう、挿れて…。茂人さん、挿れてぇ…!」  直ぐに奥まで犯していた指が引き抜かれて、代わりに重量のあるそれを僕に押し付けてきた。僕の甘いうめき声が誘ったのか、ゆっくりと僕の中をズリズリと擦りつけるそれは、痺れる様な快感を連れてきた。茂人さんとひとつになれる事が僕をますます昂らせる。  膝を手で押さえ付けられながら、抉る様に僕を追い立てる茂人さんが、僕のあられも無い姿を怖いくらい見つめているのを感じる。僕はその羞恥心が、一方でゾクゾクする様な快感を呼び起こすのにも気づいていた。 「あぁっ、あんんっ、いいっ、あぅ!あ、あああっ、だめっ!」  荒い息遣いで執拗に繰り返される僕を突き上げるその動きに、僕はもう我慢できなかった。すかさず部屋に響く、僕の臀部へ打ち付ける水音混じりの破裂音に、僕は絞り上げられる様な絶頂へと放り出された。  ガクガクと止められない自分の身体を更に追って、茂人さんが掠れ声で僕の名前を叫んで何度も僕に腰を突き出した。ドサリと横に倒れ込んだ汗ばんだ茂人さんの身体に抱きつきながら、ズルリと僕から出て行くその感触を、甘くも寂しく感じた。  目を閉じた茂人さんの横顔は長い睫毛が高い頬に映えて、僕は指先でそっとそれをなぞった。茂人さんの引き締まった唇がふいに和らいで、艶のある白い歯が覗いた。  「ふふ。楓に悪戯されるの、嬉しいかも。懐かなかった子猫が戯れてくれてるみたいな気持ち。」  そんな風にいつでも僕を可愛がって楽しんでくれる茂人さんが、大好きな気持ちで胸がいっぱいになった僕は、身体を寄せて茂人さんの顎にキスをした。微かに髭が伸びてざらついたそこは、僕たちがこうやって一緒に1日を終わらせているのだと嬉しく感じた。 「にゃあん…。」  途端に目をぱっちりと開けた茂人さんは、ぎらついた眼差しで僕を抱き寄せると、困った顔で甘く呟いた。 「そう言うところなんだよね。楓が侮れないところ。急にデレるから、ほんとキュンとしちゃう。まったく悪い子だ。」  そう言って、僕の身体を弄り出すから、僕は慌てて言った。 「あの!食事頼まないと!時間制限あったでしょ?」  すると茂人さんはチラッと時計を見て言った。 「ああ、大丈夫。まだ注文制限まで1時間以上あるから。俺は子猫を可愛がらないとね?」  僕たちは滑り込みで注文したピザやサラダを夢中で食べながら、案外お腹が空いていたんだと実感していた。 「やっぱりここにして良かったね。ここまでちゃんとした食事が届くとか予想してなかったからラッキーって感じだ。」  そう言ってサービスのドリンクを美味しそうに飲む茂人さんを見つめながら、僕はこの一瞬、一瞬を目に焼き付けておこうと思った。僕たちの一度は切れたと思っていた縁は、何の因果か繋がっていたけれど、このまま続くと思うほど傲慢にはなれない。  だからこそ、僕は自分の気持ちも怯えずに茂人さんに伝えようと思うし、そう思わせてくれる茂人さんの愛情に只々感謝していた。僕がそんな事を思いながらじっと茂人さんを見つめていると、茂人さんは片眉を上げて言った。 「ふふ、楓は付き合いだした頃よりずっと俺の愛情を信じてくれてるみたいだね。そんな顔をしてる。不安がっていた楓も可愛かったけど、今の楓はもっと好きだよ。  …信じていいからね。だって、俺のこの気持ちは今までに経験がないもので、それでいて確信めいてるんだ。楓は俺の大事な、唯一の恋人だって。先のことは誰にも分かんないけど、ゆっくりお互いの素直な気持ちで向き合って行こう。まぁ、絶対楓の事離す気はないけどね?」  僕は頷いて胸をドキドキさせて言った。 「茂人さん、愛してます。僕を好きになってくれてありがとう。」  目を見開く茂人さんは、次の瞬間顔を赤くして僕を睨んだ。 「まったく、不意打ちずるいんだから…。」  僕たちは照れて微笑みあったけど、これからの二人の関係を大事に育てていくその想いは一緒だった。僕たちは始まったばかりだ。                 【 完 】  ~後書き~  最後まで読んで頂きありがとうございました😊  こちらは丁度二年前に書いた作品で、10話ほどの短編予定が結局28話5万字で完結になりました。私にしては珍しくシリアス?でもやっぱり溺愛えちえちな作品になりました。  ある意味茂人の全然へこたれない性格が、考えすぎな楓とはぴったりな感じだなと思います。この二人を見守って下さった読者の皆様、本当にありがとうございました。  まだ未だに連載も、新作の書き溜めも、構想もいくつかありますので只々時間がない!って感じですが、こちらのサイトには完結済みの作品を投稿していく予定なので安心して読んで頂けたらと思います♪  この作品を気に入って頂けたコプラ作品初の読者様には、是非他作品も覗いてみて下さい!決して後悔させません⁉️よろしくお願いします🥰

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