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第二部 ★僕の彼氏★ 第45話 彼氏のお迎え
何となくソワソワする気持ちを隠して、僕は洗面所で鏡と睨めっこしていた。せっかく髪を切ったのだから、スタイリングしたかった。キヨくんに少しでも良い感じだと思われたかったし。
僕は慣れないワックスを手のひらに伸ばすと、美容室でやってもらった様にちょいちょいと髪を摘んで整えた。…うーん。改善の余地はありそうだけど、おでこが出た方が良いって言われたし。プロが言うんだから間違いないだろう。
僕はくすぐったい気持ちで、玄関へ急いだ。昨日の夜のメッセージ通りなら、もうすぐキヨくんが僕の家に来る頃だ。僕が靴を履いてキッチンの母さんに行ってきますと言うと、返事が来る前に玄関を出た。
髪を整えたことや、キヨくんと一緒に登校することを下手に詮索されたくなかったんだ。家の門を開ける頃に、数軒先のキヨくんの家の玄関が丁度開いた。キヨくんが出て来るのを見て、心臓がドクンと響くのは身体がおかしくなりそう…。
キヨくんは僕の方を見るとにっこり笑って、慌ててやって来た。
「今日は玲の方が早かったな。」
僕は駅に向かって歩き出しながら言った。
「言ったでしょ。いつもは遅れる様な人間じゃないんだって。…昨日はメッセージありがと。嬉しかった。僕も一緒に登校出来たらいいなって思ってたんだけど、誘うの恥ずかしくて言えなかったから。」
僕が小さい声でモゴモゴと言うと、キヨくんは大きくため息をついた。僕はハッとしてキヨくんの方を見ると、キヨくんは僕の方を睨みながら言った。
「朝からそんなに燃料突っ込まれると、俺我慢できなくなるから。はぁ、玲の可愛さ半端ないんだけど…。」
僕はハッと周囲をキョロキョロして、キヨくんを睨みつけた。
「ね、可愛いって言うの禁止ね!?誰に聞かれているか分かんないし!大体キヨくんてカッコよくて目立つんだから、注目されてるって事、自覚してもらわないと。」
すると嬉しそうに笑って言った。
「玲にカッコいいって、何度言われても嬉しいな。でも今日の玲はいつもと違うから、俺も満員電車でガードしなくちゃいけないかもな?」
そう言って、僕のおでこを指の腹で突っついた。僕が恐る恐るキヨくんに変だったか尋ねると、キヨくんは呆れた様に言った。
「玲こそ自覚ないの、何とかしてくれないと。もう一度鏡でじっくり見てみろよ。…可愛い顔映ってるから。」
僕は一気に顔を熱くして呻いた。ああ…、キヨくんてこんな感じだったっけ!?
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