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第82話 解放されて
「新、シャワー浴びたい…。」
流石の俺もそれは譲れなかった。疼く身体の要求と、理性が喧嘩して、俺はイライラしていた。それと同時に、何でこんなに前向きにえっちに取り組もうとしているのか訳がわからなくなった。
新に誘われたからって、のこのこラブホテルに一緒に入るなんて…。自分の行動がよく分からない。俺は思わず呟いた。
「なぁ、俺ってすごい淫乱なのかな。だってさ、誘われたからってホテルについて来たって事は、新とやりたかったって事だよな。」
そう俺がブツブツ言ってると、新が肩をすくめて言った。
「また難しい事考えてる。岳は俺のフェロモンに惑わされて陥落しただけだ。そう思えば楽になる?」
そんな気楽なものの言いようだった新だけど、目は案外真剣だった。そうかもしれないけれど、そうじゃない。俺の本能は答えを知ってる気がした。
「どうかな。それだけじゃない気がするけど。だって新や叶斗以外のアルファにフェロモン出されたからって、ホテルについて行くのか?無理だと思うんだけど。あー、でも経験がないから、絶対無いって言い切れないんだ。ごめんな、色々言って。」
新は男臭い笑みを浮かべると俺の手を引いて浴室へ向かった。
「そんな風に我に返る岳だから、攻め甲斐があるよ。やっぱり岳は特別だ。そうか、アルファの狩猟本能がくすぐられるのかもな?」
それから俺たちは、デラックスな浴室ではしゃいだ。バブルバスで虹色に変化するお湯は珍しかったし、実際楽しかった。でかい湯船の隣のマットスペースが妙に気になったけど…。新がニヤニヤして、後で泡プレイしようかってオッサンみたいなこと言っててちょっとだけ後ずさった。
シャワーを浴びながら、俺はじっくり新に解されて洗わて、自分でも濡れているのか、ジェルなのかもう判断がつかなかった。けれど、ここまで来たら、濡れることを恥ずかしく思わなくて済む気がした。いや、むしろ濡れにきたんだから。
俺はその時、ラブホテルでエッチしてると言うシチュエーションのせいで、タガが外れ始めていた。なんか、楽しもうっていうか、期待がマックスっていうか。
マーキングとかどこか行ってしまって、単純に新と付き合いたてみたいなイチャイチャエッチに突入していたんだ。だって、新が凄いかっこよく見えたし、何ならドキドキして凄い美味そうに見えてたんだから。
そんな俺が物欲しげだったのか、新は苦笑して言った。
「はぁ、やっぱりラブホテルは正解だったみたいだな。岳にそんな顔させる事が出来るなら、本当大正解。たっぷり可愛がるからな?」
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