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どうして僕は、中途半端なオメガ男性として生まれたのだろう。…どうして僕、男に生まれたのだろうか。僕はもう、それに何の意味もないと知っている。
どうせ男性器を受け入れるためだけの種族のくせに、と罵られ――他の種族には、おまけ程度の男性器と睾丸、不要の付属物なんて言われてしまう、ソレら。
しかも僕は、あまつさえこんな見た目だ。
普通のオメガ男性ならもっと可愛くて、綺麗で、愛されて――少なくとも、図体ばっかりデカいブス、なんて言われなかったのだろうに。
それでも僕は、自分のソレらをいらないとは決して思わない。自分のことを、本気ではブスだと思わないようにしている。――むしろ本当は、自分の男性器も睾丸も人並みにきちんと大切に思っている。……それでも僕は、もう確かにメス奴隷の体だ。…それに、人に好かれない見た目であることももう、よくわかっている。
「……んっ…ふぅ…、…ぅ…♡」
ソンジュさんの手が、僕のうしろ髪を指でやさしく梳いて撫でてくる。――それでいてもう片手は僕のうなじを掴み寄せ、逃さないと強く固定される。
彼の熱く、少しざらついた舌と僕の舌が、僕の口の中でくちゅくちゅと音を立て、ねっとりと絡み合う。
「んっ……はぁ、♡ ぁ、んん…っ♡」
重たく響くようなゾクゾクとした甘いしびれが、僕の腰を小刻みに震わせる。――とろ…と僕の膣から溢れてきた愛液が僕のお尻の割れ目を濡らし、僕の下着を濡らしている。――べっとりと濡らしている。――このキスで濡らしているのだ、僕の汚れた体を、いやしくも。
「……ん…っ♡ んん…ん…♡」
――好き…、好き…僕の耳を撫でるこの大きな手、僕の唇を食む柔らかい唇、…離れると、僕を熱っぽく見てくる、うっとりとした切れ長の間に妖しく輝く、その水色の瞳。
「…はぁ…、は……」
「……ふふ…、エロい顔してる…」
「……は……、…は…」
好き…駄目、だめ、すき…膝が抜けそうなほど下腹部がひくひくして、腰がくねり揺れてしまう。――このまま抱いて、犯して、めちゃくちゃにして、僕におちんちん挿れて、と、ゆらゆら、ゆらゆら。――浅ましく。
「……っ」
「んっ…」
僕がパッと噛み付くと、ソンジュさんは驚いたようだった。――僕は彼の髪を掻き乱すように、その人の後頭部を、彼の耳をぐしゃぐしゃに揉む。…迷惑にそうしながら、ソンジュさんの肉厚な唇を強く、何度も何度も食んで貪る。
「……、…ッ、…ッ、…」
違う、…好きじゃない、好きじゃない、好きじゃない、絶対好きじゃない…――心配いらないようだ。
僕はきっと、そろそろ迎える次のオメガ排卵期で――ソンジュさんの子供を孕むことができる。…彼もこの調子なら、きっと僕をじきに抱いてくれることだろう。
「……、……――。」
そのときはこう言うつもりだ。――『責任は一切取らなくて結構ですから。決してご迷惑はおかけしません。そのように誓約書を書いて誓っても構いません。…ですから、僕を妊娠させてください』と。
正直あまり意図していたつもりはなかったが、僕はソンジュさんの誘惑に成功したようだ。
問題ない。
これなら本当に、問題なく妊娠できる。
僕は、妊娠しないといけないのだ――。
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