687 / 689

146 ※ ※モブユン

               ともかく――今は俺もこの共謀の行為が最終的に行きつくべき目的地、すなわち今俺とユンファさんとが共に志している遂げられるべき成功、その最終目的を果たすことにのみ集中するべきなのだ。  ……とはいえ、今のところはまだ俺がでしゃばるべき場面でもなさそうである。   「…あぁケグリおじさん…♡ ユンファにいっぱいザーメンかけてぇ…♡ ユンファのこと、おじさんのザーメン臭くしてほしいの…♡ 興奮しちゃうよぉ…♡」    とユンファさんは甘ったれた声でいう。  要するに彼は今この色仕掛けをもってケグリの機嫌を取り、ひいてはノダガワの家に戻ったあとの自分の身の安全を確保しようとしている。――ここは一旦ユンファさんにすべてを任せたほうが上手くいくことだろう。    なぜならケグリにとって嫉妬の対象でありながら、それと同時に滅法(かな)うところのない恋敵(こいがたき)である俺の存在は、それこそ「二人の世界」の邪魔にしかならないためである。  のちのちにはこの二人の「ラブストーリー」の引き立て(スパイス)役を買って出るにしても、しかしそれは今ではない。――ケグリは荒々しい吐息混じりにこう尋ねる。   『はぁはぁ、どこに私のザーメンをぶっかけてほしいんだユンファ君は、…』   「……お顔…♡ ユンファのお顔にいっぱいザーメンぶっかけて…♡」    とユンファさんが恍惚とした声で答えると、ケグリは『ぶほ、…』と豚のように鼻を鳴らして喜ぶ。   『前は顔射されるとあんなに嫌そうな顔をしていたじゃないか、…全く、やっぱりお前の本性は変態マゾだったんだな……』   「…………」    と、このように……今はまた上手いことユンファさんの媚態にケグリが好い気分になってきているところだ。ここで俺がでしゃばったならまた嫉妬するだ気分が萎えるだ、あまり良い効果はもたらされないことだろう。    といったところで、さしあたり今はこの二人を存分にいちゃつかせておくべきなのである。    とはいえ、俺にも協力できることはある。  俺は組みしいているユンファさんの肩の上に片方の(ひじ)をつき、もう片手では彼のひらたい片胸をまさぐりながら、また腰を一定のテンポで動かしながら――ベッドのスプリングをギッギッギッとテンポ良くきしませながら――、その人の恍惚とゆるんだ切れ長の目、その火照った紫いろの瞳と見つめあう。  すると彼は――こうして彼の目を見つめはじめた俺の思惑どおり――、こう言うその声に恋心の奥深い艶を帯びさせる。   「ッぅ…♡ ぁ…♡ あ…っ♡ …ぁ…♡ …あ、貴方のおちんちん…きもちぃ…♡ ……っけ、ケグリ、おじさんの、ザーメンとおちんぽ思い出したら…ぁ…♡ …あんっ…♡ ユンファ…ユンファのおまんこひくひくしちゃう…♡ きもちいい…♡ んん、おじさんのおちんぽだめ、♡ ユンファが一番大好きなおちんぽ…♡ どんなおちんぽに犯されてても、…ユンファ、ケグリおじさんのおちんぽが忘れられないの…♡」    ……しかしユンファさんはこう言いながらも、その実ケグリのことを(わりと派手に)裏切っている。  というのもユンファさん、手にもっていたスマートフォンを自分の片耳の横に置き捨てるなり、そっと遠慮がちに俺のうなじに両腕をかけると――膣口を俺の恥骨にくちゅくちゅとこすりつけるように――もぞもぞとなまめかしく腰を揺蕩(ようとう)させている。    ユンファさんはそのようにして俺を誘いながら、快感にとろけた半目開きで俺の目を見つめたまま、「…あぁ…きもちいい…♡」とその肉厚な唇から恍惚とこぼす。   「ぁ…♡ ぁう…♡ ぉ、奥に欲しい…♡ 貴方のおちんちん、奥に……子宮に、欲しいです…♡ いっぱいなかに出して、ユンファのなかに…いっぱい貴方の精液をください…♡」   「……、…、…」    これは完全に――俺に言っている。鼻血でそ、…  しかし、すぐさまユンファさんはその切れ長のまぶたを妖艶に細めると、   「あぁ、ケグリおじさんの精液がおまんこのなかに欲しいよぉ…♡ ユンファが大好きなケグリおじさんのおちんぽ、あ…♡ あ…♡ 大好き…♡」    とあくまでもケグリに言っている体を装うが、次に彼はその半目開きの両目に切ない恋心をにじませて俺の目を見つめ、こう色っぽいかすれ声で言った。   「大好き…♡」  すると俺の心臓に、ユンファさんのその「大好き」という言葉がきゅうと心地よく絡みつき――たちまち(とら)えられた俺の心臓は、その甘い蜜に濡れた(つた)に喜ばしく締めつけられる。俺はニヤけ細められたこの青白い二つの瞳で、彼の濡れた紫の瞳を甘ったるく『可愛すぎる』とにらむ。  もちろんユンファさんは、俺のこの両目があらわした蜜の感情をその両目で受けとめて悦んだ。俺の目を見上げたまま、彼のその切れ長のまぶたはとろけんばかりに細められ、彼は「あぁ…っ♡」と深い吐息をはらんだ甲高い嬌声を発する。   「…ぁ…♡ ぁ…♡ 大好き…♡ 大好き…♡ ……ケグリおじさんのおちんぽ、だいすきなの…♡ …ユンファ、いつもケグリおじさんのおちんぽで頭いっぱいになっちゃうの…♡ あ…♡ あ…♡ あ…♡」    しかし、もちろんケグリはユンファさんのこの「裏切り」など知る由もない。  ケグリはこの世でもっとも神からほど遠い男である。よもやケグリなんぞが何ものをも見通す神の目を持ち合わせているはずもない。  すなわち、当然電話向こうのケグリの目には今の俺たち、この二人の姿――口先ではケグリに心から惚れているかのような甘言でもって媚びている彼、ケグリが欲してやまない愛する美男子は今、その実俺とあたかも恋人らしい正常位にて、惚れあった両目を目合(まくわ)わせている…というこの二人の恋人らしい姿――など、まさか見えてはいないのである。    そのためにケグリは、まさかここまでの、そしてこう言うユンファさんの声――俺への恋心を由として発せられている、甘くとろけるような蜜っぽい艶をはらんだ声――所以(ゆえん)が自分への恋心であるとは疑わない。   「…あぁケグリおじさん…っ♡ ケグリおじさん、♡ ユンファのおまんこに、早く貴方のおちんちんを挿れて……♡ …欲しいの、貴方のおちんちんが奥の奥まで欲しい…♡ ユンファの、ユンファのキュンキュン疼いてる子宮、貴方の大きなおちんちんでいっぱい突いて……♡」    ……したがってケグリは『全く、…』と呆れたふうに笑った。   『ユンファ…はぁ、はぁ、私のユンファ、…本当に排卵日になるとお前は可愛いなぁ、…そうだ、お前はどれだけ良い大学を出てたって所詮オメガなんだよユンファ、…それがお前なんだ、それこそがお前の本性なんだよ、…所詮オメガなんぞ根っからの淫乱で、お前だって本当は私のおちんちんのことしか考えられないオメガなんだから、…』   「……ふ…、……」    このケグリ、ある意味では誰よりも幸せな男である。  ……しかしこのようなオメガ属差別もはなはだしい胸くそ悪いセリフには、ともすればユンファさんも傷ついてしまったのではないか――と少し心配になった俺だが、ユンファさんは慣れているのもあるか、何ら傷ついた様子ではない。むしろケグリのこれを上手いこと活かし、彼は「えへへ…♡」と可愛く笑って自分の失態をごまかすような、いわばぶりっ子風の媚笑(びしょう)でこたえる。   「…ぁ、ぁう…♡ ごめんなしゃぃ…♡ ユンファはおちんぽのことしか考えてないバカオメガです…♡ あん…♡ あん…♡ ケグリおじさんのおちんぽ…♡ おちんぽ…♡ ユンファの淫乱おまんこいっぱいきもちくしてくれる、ケグリおじさんのおちんぽぉ…♡」    そしてユンファさんのこの甘ったるい媚態を、ケグリはまた満足げに鼻を鳴らして喜んだ。   『…ぐふふ、全くおかしいなぁ…。お前のことは淫乱なヤガキの本能丸出しの、ちんぽとザーメンをもらえるなら誰相手にも何だってするような脳タリン肉便器に躾けてやったつもりだったんだがな、…すっかり私のおちんぽ無しじゃ生きてゆかれないメス奴隷になってしまって、…全く、私はそんな我儘な奴隷に躾けた覚えはないぞユンファ、――ほら忘れるんじゃない、ユンファは何だった…?』    しかしこのように何だった、と甘い声で問うケグリに、   「……、…」    途端ユンファさんは俺の両目に切ない愛を乞うような、しっとりとした半目開きで俺の目を見つめながら――『本当は彼の前でこれを言いたくはないな…、でも言わなきゃ……』と本心から切なくなりながら――悲しいかすれ声でこう言う。   「…ぼ…僕は…ユンファはぁ…、……っケグリおじさんのおちんぽ様に媚びるしか能のない、…おまんこメス奴隷の、バカヤガキです…。ユンファはケグリおじさんの性処理肉便器で、オナホで、ただの玩具(おもちゃ)で…ケグリおじさんのおちんぽ様とザーメンを頂けるなら、ゆ、ユンファは何にでもなり、どなたにも、何でもいたします……」   「……、…」    俺は音を立てずに、ユンファさんのその震えている唇にキスをした。ふに…とかるく押し付けてすぐに離れる。このキスはそう――大丈夫、俺はきちんとわかっている。貴方はまさかそんな馬鹿げた下等なものらではない、ケグリにこう言わされている、今はこう言うしかないことも俺はきちんと理解している――と、彼に伝えるためのものだった。  それから俺はふに…ふに…ともう何度かユンファさんの肉厚なやわらかい唇を唇でつつき、依然として腰を動かしながら、その人の片方の凝った乳頭を親指の腹でころがす。――するとユンファさんは多少安堵したらしいゆるみをその切れ長の両まぶたにあらわし、「ぁ、♡」とピクン、下腹部を小さく跳ねさせた。    ところで――ユンファさんはやはり賢い。  機知(きち)()んでいるとはまさにこのことである。――どういうことかというと、それこそ「今」でなかったなら、彼はここで先ほどのように「僕はおちんぽ様をもらえるのなら誰でもいい淫乱の、公衆肉便器です」とでも言ったことだろう。    しかし彼は今「ケグリおじさんの」と言った。  彼のそれの聞こえとしてはそれこそ、ケグリのモノが欲しいためだけに、そのためならば自分はケグリのみならずどのような相手にも体を許せる、どれほど(みじ)めな痴態(ちたい)をもさらせる、どれほど過酷な責め苦にも耐えうる――ケグリを興奮させるためだけに、ケグリを満足させるためだけに、自分はケグリの欲するままにどれほど惨めな役柄にもなれる――と、要は自分が誰しもに性奴隷しぐさをするのはケグリただ一人のみを求めているからだ、というようだった。    要するにユンファさんは使い分けている。  ケグリが誰しもに体を許すみだりがわしい自分を求めているのならば「公衆肉便器」に、かたやケグリが「自分(ケグリ)だけ」を自分に求めているのなら「健気で一途なメス奴隷」に、彼は今この状況と流れを完璧に把握した上で――もっといえば、今のケグリが欲しい言葉を完璧に把握した上で――、今のケグリが満足する言葉を選んだのである。  ……そしてユンファさんのそれにまんまと乗せられた馬鹿なケグリは、――ヌチャヌチャとブツを慰めながら、――すっかり己れの世界に入り込んで、こうボソボソと恥ずかしげもなく呟いている。   『あぁユンファ、ユンファ、私のユンファ、ユンファの甘いおまんこ舐めたいなぁ、あんなに清楚だったユンファ君が、今じゃ私のおちんちんを見るだけでピンクのおまんこグチョグチョに濡らして、いやらしく発情するようになってしまったんだから、――排卵日になると私のちんぽを常にまんこに咥えてないと満足出来ない淫乱、あのいけ好かないユンファ君がこんな淫乱に、――はーっ、はーっ、いよいよ嫁の貰い手がなくなってしまったな、…こんな変態を嫁に貰ってやれるのは私くらいのもんだよ全く、…』   「ぅ゛ぐキッsy…」   「ぐ、っあんッごめんなさい、♡」    とユンファさんが俺の血反吐(ちへど)をかき消す。――男の彼に対する「嫁」という言い方もさることながら、…「貰い手」だ? 今の時代の結婚は貰うだ貰わないだではない、が、強いていうなら「貰い手」が到底無いのはお前だろこの食肉にするのさえはばかられる汚豚が、…しかし――またやってしまった(申し訳ない)……そして、彼はやはりこの男の扱い方をよくよく熟知している(せざるを得なかった)のだろう、甘えん坊ながらもまた絶妙な遠慮がちな声でこう言う。   「あん…♡ だめ、やっぱり他人棒じゃ満足出来ないよぉ…♡ お、おじさん、…ケグリおじさん、ユンファ、ユンファ淫乱でごめんなさい、…でも、お願い…♡ ユンファのわがまま、聞いてぇ……?♡」   『…ん…?』    するとケグリが、もうすでにユンファさんのいうその「わがまま」とやらを容認している上ずったやさしい声で聞きただす。――悪い人だ…――もちろんユンファさんもそれをしっかりと(さと)ったために、「捉えたり」と聡明な伏し目になる。そしてその声ばかりでは甘ったるくこうケグリにおねだりをする。   「あのね、ケグリおじさん…♡ ユンファ、かえったらぁ…♡ ケグリおじさんと、いっぱいいっぱいいちゃいちゃしたいの…♡ はぁ…あぁ…♡ ユンファね…おじさんと、ラブラブなえっち、いっぱいいっぱいしたいの……♡」   「……、…」    ぐ、ちょっと嫉妬し、…  羨ま、…――するとすぐさまケグリが(興奮気味に)欣々(きんきん)と声を大きくしてこう快諾も快諾をする。   『まぁぁったく、しょうがないなぁユンファ君は…! わかったわかった、じゃあ帰ったらすぐに()()()()を着なさい。わかったね…?』   「……、…」    あ゛? ()()()()ってなんだ。  俺は動きを止めた。……俺のユンファに何着せるつもりだ貴様、とことんまでしばいたろかこのアホドブガエ、…ユンファさんはケグリのその要求に「うん…♡」と甘えた鼻声でそれを承諾する。――が、ここでユンファさんのその伏し目に静かな焦りが漂いはじめる。   「…あれ…? だよね…?♡ あのえっちなラン…らん…パンt…いやマタd……、……、……?」   「…………」    しかし嫉妬している場合ではない。  これは愛する美男子の危機である。なんとユンファさん、ランジェリーを知らない(というかどうも覚えられない)らしい――ランは惜しかったね、パンツはまあギリギリセーフだけれど(まあそれもしいていうならパンティか)、しかしマタドールは完全なるアウトである――。俺はすぐさま彼の耳元で「…ランジェリー…?」と助太刀する。   「………えへへ、そうだランジェリー…♡ ケグリおじさんは…ユンファにどのランジェリーを着てほしいの…?」    するとケグリはユンファさんの『あれ何だっけ、何だっけあのエロ下着の名前…』という苦労に気が付かなかったのか(あるいはいつものことなのか)、何ら気に留めた様子はなく、『そうだなぁ…』と嬉しそうに少し考える。絶対こいつニヤニヤしていやがる。殺す。   『あの花嫁ランジェリーかなぁ…? ちょっとスカートが長めの方、…スカートをめくって、おじさんに丸見えのクリちんぽとおまんこを見せてご覧…? もちろん“ユンファをケグリおじさんのお嫁さんにしてください”って言いながらだよ…?』   「…えぇ恥ずかしいよぉ…♡ だってあれ、綺麗で清楚な花嫁さんみたいなのに…ユンファの恥ずかしいところ、全部ケグリおじさんに見えちゃうんだもん…♡」   『ぶほ、……』   「……ぐ、…」    キッッッッッッッショ、いのと何より羨まし何「スカートが長めの方」だと、ということは花嫁ランジェリーだけでも数種あるということか許せな、…ユンファさんの嬌羞(きょうしゅう)の演技に、もともとキモいオス豚のくせに喜びすぎて更なるクソ豚の鳴き声を発したケグリがその後、『いいじゃないかぁ』と(腹立つほど)朗らかにいう。   『私のおちんぽが大好きな淫乱のユンファ君には、おまんこが丸見えのいやらしい花嫁姿がお似合いだよ…。それにあのランジェリーなら、すぐに大好きな私のおちんぽを、ユンファのおまんこに挿れてもらえるんだよ…?』   「…それもそっか…じゃあ帰ったらユンファ、あの花嫁さんのランジェリー、すぐに着るね…? えへへ…♡ だから帰ったらいっぱい…いっぱいユンファのこと可愛がってね、ケグリおじさん…♡」   「……、…」    花嫁ランジェリーを身に着けた(俺の)ユンファ…それもスカートの裾をペラリとめくったならたちまちユンファの「恥ずかしいところ」が立ち現れるランジェリー、純白の清楚とその肉体の妖艶さとがコントラストする可憐な花嫁ランジェリーを身に着けた(俺の)ユンファが恥ずかしそうに『ユンファのこと…いっぱい可愛がってね…?♡』――クソがお前のことは絶対に許さないからなケグリお前は絶対にぶっ殺す俺が可愛がりたい羨まし、…――当然だ。当然、ケグリはまたフガフガと鼻を鳴らして喜んでいる。   『まぁユンファ君がそこまで言うなら…ザーメンたっぷり溜めといてあげようか…?』   「うん、嬉しい…♡ …でもオナニーはしちゃ駄目だよ…? ケグリおじさんのザーメンは全部ユンファにちょうだい…♡ それで…ユンファの危険日おまんこのなかに、ユンファが妊娠しちゃうくらい…ケグリおじさんのザーメン、いっぱいいっぱい出してね…♡」    この絶世の美男子にこう言われては、さすがのケグリも自分の男心を刺激されたのであろう。ケグリはかえって己れの男らしさを強調したような、やわらかくも低めた声で『しょうがないなぁ』と言った。 『…じゃあ明日はもう休業にするか…』 「……、…」    俺は唖然としている。――は?  全く呆れた男である。いくら愛する美男子のあまりにも可愛いわがままとはいえど、自分の店を休業としてまで昼夜を分かたずこの美男子の肉体を貪ろうとは、さすがに淫縦(いんじゅう)もはなはだしい。が――いやわからない、実際に俺がこいつと同じ立場だったなら、案外俺でもそうするかもしれない、とふと自己嫌悪に陥る。   「……、…」    ……もちろんケグリと同じ穴の(むじな)になるとは全くの不服だが、しかし花嫁ランジェリー姿の(俺の)ユンファが『オナニーなんかしちゃ駄目…♡ だって貴方のザーメンは全部僕のものなんだから♡ …ね、だから全部僕にちょうだい♡』なんて可愛らしくも小悪魔的に誘ってきたなら、さすがの俺だって(俺の)ユンファとのセックスのために一日の予定を全放棄するね…――あぁ可愛いんだろうな、綺麗なんだろうな、えっちなんだろうn…あぁ憎い、ケグリが憎い、これは人生で一番の憎しみだ……!!    ……そうしてケグリに「明日はもう休業にしよう」だなどと言い出されたユンファさんだったが、彼は怜悧な伏し目ながらも「え、本当?」と無邪気な声で応える。   「嬉しいな…♡ じゃあ帰ったらケグリおじさんといっぱいラブラブなえっちが出来るね、ありがとう…♡」   『…ああ、お家に帰ってきたらたっぷり可愛がってあげるからね…。だからいい子で、帰りの車の中でもケグリおじさんのおちんぽのことだけを考えて、ユンファのおまんこをグチョグチョに濡らしておくんだよ…? でもユンファも、いくらムラムラしたからってオナニーなんかしないように…わかったね…?』   「うん…♡ 正直自信ないけど…がんばる…♡」 「…………」    さて……ユンファさんのこの甘ったれた小悪魔的媚態が奏功し、ケグリが有頂天なまま、どうやら彼がノダガワの家に戻ってからの(腹立つ)プレイ内容も定まったということで――そろそろ俺の出番だろう。    ――のちのちになってケグリが俺たちの共謀を疑いはじめてもよくない。  ……というのも、先ほど口を開いたあれ以降俺は黙って腰をふり続けていた。今でこそ勃起していて冷静な判断能力のないケグリではあるが――だからこそ今はまだ不信感など抱いてはいないようだが――たとえ今はそのように世界一の馬鹿豚であろうとも、男というのは射精後にはある種の「悟り」を得る、すなわちたちまち冷ややかなほどに聡明になるものである。    つまり、この通話後に冷静になったケグリがふと「あれ…?」と思ってしまってはよくない。  ――あれ、ユンファを好き勝手レイプしているだけというのにしては何かおかしい――そもそも客の男(俺)はユンファに腹を立て、そしてユンファを無理やり犯していたはずだ。ましてや今しがた失望したとはいえ、一度は惚れたユンファが自分に惚れ込んでいる姿には余計腹を立てていたではないか。    だというのに、なぜユンファを犯していた客の男は、あたかも自分とユンファとの仲を公認している、いや、いっそ二人の気分を盛り立てるかのように(それも、あれだけ自分とユンファは客の男のことを(おとし)めるような会話をしていたにも(かか)わらず)、それを黙認していたばかりか、なぜ二人のプレイを盛り上げるためだけのように「竿役」に徹していたんだ?    それではまるで、客の男とユンファとに何かしらの「共謀」、「策略」があったようではないか。  とするとこの通話には、客の男とユンファとが図り合わせた「裏切り」があったのではないか――なんてケグリに気が付かれてしまっては都合が悪い。それこそユンファさんのあらゆる捨て身の努力が無駄になってしまう。    ということで――ではそろそろ、俺もケグリとユンファさんの「ラブストーリー」をもう少し盛り上げるためにひと芝居打つとしようか?    この度に俺が演じる役柄とはたわいもないケグリの恋敵、負け犬噛ませ犬、――愛するユンファさんのためならば、ここでよく吠える弱い犬を演じるのでさえ俺にとっては何らやぶさかではないことである。           ×××   ×××   ××× (このあとがきは「鍵」のほうにも掲載しておりますため、すでにお読みいただいた方は飛ばしていただいて大丈夫です! どちらでも本当にいつもありがとうございますm(_ _)m♡ ※ちなみに復帰二日目ですがまだ全然勘を取り戻せてません!助けて!)    いつもお読みいただき&いつも応援ほんとにほんとにありがとうございます♡    ン戻りました!! ただいマングース!!  お待ちくださいました皆さま、ほんとにほんと~~にありがとうございます( *ᴗˬᴗ)⁾⁾♡♡♡    だいぶ有意義なお休みになりましたぜ、ほんとにありがとうございました…⸜( *˙꒳˙ )⸝··¨*゜  ……なんですけれどもね、いや実はさーしばらく書かなかったせいで執筆の勘ド忘れ丸しておりましてね、「あれっど~やってたんだっけ…?」って冷や汗かいてるんすけどほんと、えー焦る、ちょっとマジで今回ちゃんとできてるか不安ですわ(白目)、なんかおかしかったらほんとすいませーん…(´;ω;`)    まあでもね、こっからは(勘取り戻し作業も含めて)また商業デビューの夢を叶えるために! そしてそして何より優しくて大好きな神さま皆さまのために!! またバリバリガリガリボリボリ(鹿せんべい)頑張ってこ~って感じでおりますので、よろしければこの鹿ヤロウの応援のほう、ぜひぜひ引き続きよろしくお願いいたしますっっm(*_ _)m    あいらーびゅーお~~る! しかしか♡    🫎藤月 こじか 春雷🦌

ともだちにシェアしよう!