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第61話 実験結果

 目が覚めたとき、わしが見た光景は……おそろしい、実におそろしいものだった……  この世の終わりのように崩壊(ほうかい)した実験施設……研究員たちの体は引きちぎれ、その顔は恐怖にゆがんでいた……  わしはすぐに、テオドラキアのことが頭をよぎった―― 「テオドラキア、テオドラキアは……!」  施設内を探し回って、ようやく見つけた……ある小さな処置室(しょちしつ)の中に……手術台(しゅじゅつだい)のようなものの上に寝かされていて、(かたわ)らにはあの魔女グレコマンドラが倒れていた……絶命(ぜつめい)していたよ…… 「テオドラキア! テオドラキア、しっかり! いったい何が――」  すると彼女は静かに、その目を開いた。 「……あ……あ……キョウ……ゲツ……」 「そうだ、僕だ! しっかりするんだ、テオドラキア! いったい何が、何があった!?」  おぼつかない口ぶりで、テオドラキアはしゃべり出した。 「……実験は……失敗……キョウ……ゲツ……」 「なん、だって……失敗……どういうことだ……?」 「……魔王……桜……の……力……は……想像……以上……だが……」 「だが、何だ、テオドラキア……?」  すると、ああ……彼女は(・・・)……にわかに、笑い出した……気味の悪い、ひょっとすると……あの魔王桜よりも、ずっとおそろしい『笑い』を…… 「だが、わたしは、あきらめない……決して……わが悲願を果たすまでは(・・・・・・・・・・・)……」 「あ、ああ……まさか、君は……いや、お前は(・・・)……」  彼女の(・・・)『笑い』はますます、不気味なものになっていった。 「そう、ディオティマですよ(・・・・・・・・・)、ミスター・キョウゲツ……最後の力を()(しぼ)り、アルトラ『ファントム・デバイス』の能力で、グレコマンドラの体から、このテオドラキアに、乗り移ったのです(・・・・・・・・)」 「……あ……あ……」 「今回の実験は失敗した……だが、次こそは必ず……あの力を、魔王桜の力を、わが手に……ミスター・キョウゲツ……協力していただけますよね(・・・・・・・・・・・・)?」 「わあああああっ!」  わしは逃げた――  どこをどう走ったのか、それすらも覚えていないほど……  だが、わしの耳には、ずっと……あの悪魔の高笑(たかわら)いが、こびりつくように()(ひび)いていた…… (『第62話 死と誕生』)

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