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「……櫻太…すきだよ……」
俺はそれしか言えなかった。
自分の命の火が、簡単に吹き消されてしまいそうなくらい弱っていることを毎日感じていて
そうなってくると世界の全てが酷く尊く思えてしまうものだから。
フツーだフツーだと思っていたけど
そのフツーがいかにすごく幸せだったかを思い知ったから。
フツーに眠れることとか起き上がれることとか
ご飯を美味しく食べれることとか、お風呂に入れることとか、
自信を持って働けることも、友達と談笑することも、
好きな道を歩いて帰ることも、
それから好きな人に好きと伝えられることも。
全部全部、当たり前じゃなかったと思い知った。
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